年金を抜本改革――消えた年金も補償
(民主党マニフェスト2007より)
危機的状況にある国民皆年金制度を立て直し、将来にわたって堅持するため、以下の原則に基づいて、年金制度の抜本的な改革を断行します。
〜瓦討稜金を例外なく一元化します。
基礎(最低保障)部分の財源はすべて税とし、高額所得者に対する給付の一部ないし全部を制限します。
所得比例部分の負担と給付は、現行水準を維持します。
ぞ暖饑任倭干枅金財源(基礎部分)に充当します。
 民主党の年金改革構想のずさんさが、7月11日行われた党首討論会などで、明らかになってきました。
 民主党マニフェストには、年金基礎部分(最低保障)へ消費税全額投入すると明記されています。65歳以上全員が受け取る最低保障年金をまかなうため、現在の消費税率5%での税収13.3兆円を当てるというものです。これまでテレビ番組では月額「7万円弱」「6万円」などと数字を挙げていた民主党だが、マニフェストでは一転、数字を明示しなくなりました。ただ、65歳以上全員となれば今までの水準の最低保障年金を支給するためには「22兆円」は必要となります。しかし、民主党は13.3兆円で済むといい、単純計算で約4割の人がこの年金受給からこぼれ落ちてしまいます。
 この点を追及された小沢代表は「年収1200万円超の方々には最低保障年金を我慢していただく」「年収600万円以上の人は支給額を段階的に減額する」と「所得制限」を導入する考えを示しました。しかし、4割もの多くの国民が恩恵にあずかれない年金制度を基礎年金と言えるでしょうか。
 さらに、これまで保険料を払ってきた人への対応をどうするのか?報酬比例年金の保険料率の設定は?など、肝心な点は不透明なままです。「年金は保険料でなく税方式で」という民主党のこれまでの主張からすれば、消費税率を大幅に上げれば整合性は出てくるのかもしれませんが、消費税は「据え置き」と明言しており、数字のつじつまが合いません。
 また、消費税を年金に回すと主張していますが、消費税の実情を考えると容易ではありません。国と地方の税源配分では消費税率5%のうち1%は地方消費税。国には8割分の約10.6兆円しか入りません。しかも、国の消費税収のうち、約3.1兆円は地方交付税の財源として地方に配分されています。消費税は地方財政を支える大きな柱なのです。
 「地方分権の推進」を掲げる民主党だが、“消費税を年金に”では地方財政は破綻してしまいます。「消費税の据え置き」「基礎年金はすべて消費税」「地方固有の財源を保証」「補助金削減」など並び立たない公約であることは誰が見ても明らかです。
 もともと、年金制度は国の基本であり、老後の国民の安心を提供するものである。ところが、小沢・民主党は外交、内政すべてにわたって、与党との対立を演出しようという戦術を取っています。このため、年金で不安をあおり、単に選挙の道具に「年金制度」を使ったものと言わざるを得ません。
 先日発表された政府の年金記録問題検証委員会の中間報告では、年金記録紛失では社会保険庁の「親方日の丸的な組織体質」を批判するとともに、業務に消極的な労働組合(旧自治労国費評議会)の体質があったことも厳しく指摘しています。
 民主党がこうした組合に選挙で支えられてきたのは、紛れもない事実です。政府挙げて年金記録紛失の責任を取り、改革に着手しているなかで、野党第一党の民主党が無関係を装い、年金制度を破壊するような主張を続けることは許されません。
年金制度 精密な設計と財源論で競え
MSN-Mainichi INTERACTIVE 社説(2007/7/15)
 年金問題の焦点は記録漏れの処理策から制度論へ移ってきた。持続可能な年金制度とは4、5年先を論じるわけでない。何十年先でも信頼の置けるものかどうかが問われている。社会保険庁の後始末論争一本やりから抜本改革や財源論に踏み込んできたのは歓迎すべき展開だ。
 安倍晋三首相が「打てる手段はすべて打った」という処理策は、手法、スピードに多少の違いはあっても、与野党とも差がない。本来の年金額をもらえる人にきちんと払い、騒動の原因と責任を明らかにし、あとは全員に加入履歴を通知してチェックしてもらうことに尽きる。社保庁への怒りとは別に、このことだけを選挙の争点にしても生産的ではなかろう。
 党首討論会を境に、年金制度の将来像にスポットライトが当たり出した。その前提には、3年前の「百年安心」の年金改革が看板倒れだったということがある。
 民主党が公約した改革案は、各制度を一元化し、基礎年金部分(最低保障年金)を全額税でまかない、保険料は2階の所得比例部分に充てるというものだ。基礎年金部分の費用を13兆円と見込み、現行5%の消費税率を据え置いたままでも行政の仕組みを根本的に変え、無駄を省けばやっていけるとしている。
 安倍自民党は「財源の根拠がいいかげん」と批判、公明党も「65歳以上の人すべてがもらえるなら22兆円が必要だ。民主案では4割の人が年金をもらえないことになる」と追及する。対して民主党は、年収1200万円を超える人には支給しないという構想を明らかにし、あくまでも13兆円の消費税投入で済むと反論。財源論をめぐって論争が激しさを増している。
 民主党は走りながら考えたのだろうか。前回参院選で公約した税率アップの年金目的税を財源に充てるアイデアを引っ込めた経緯も説明されていない。保険料と税のミックス方式を全額税に切り替えた場合、これまでまじめに保険料を払ってきた人も、払ってこなかった人も一律同額の基礎年金を受け取る。過去の納付実績が考慮されないとかえって不公平感が生じることになる。民主案にその対応策が用意されているのか、これまでの説明ではわからない。
 安倍首相も財源論でブレている。消費税について、いったん「税率を上げないとは一言も言っていない」と口火を切った。反響の大きさに驚いたのか、その後「上げないで済む可能性もある」と軌道修正している。
 少子高齢が進む人口減少社会で、年金も医療も介護も現在のサービス(給付)を維持するには、みんなの納得する負担割合が最後のよりどころとなる。財源を景気に依存する風まかせでは頼りなく、持続可能とはいえない。選挙戦では各党ともあいまいさを排し、制度設計も財源もより精密なものを提示しないと国民の信頼は得られない。