民主党前原前代表、TV番組で「テロ特措法」容認発言

 8月4日、民主党の前原誠司前代表は日本テレビの番組で、インド洋で海上自衛隊が行っている給油活動の根拠である、テロ対策特別措置法について「(テロ特措法の延長は)必要だと思います」と述べ、11月1日に期限が切れる同法を延長する必要性を語りました。前原氏は、民主党が賛成しなかったのは、国会での事前承認が認められなかったからであるとし、の問題があるからとし、「我々も党内で議論します」と明言しています。テロ特措法に関しては、決して民主党は一枚岩でないことが露呈しています。
 小沢一郎民主党代表は、テロ特措法の延長に応じない立場を明確にしています。その理由について、シーファー駐日米大使との会談で、「直接的に国連安全保障理事会から承認されていない」と説明しています。
 これに対して、読売新聞は8月9日付け社説で、「これでは民主党に政権担当能力がない、と判断されても仕方が無いだろう」と、小沢代表の姿勢を強く批判。「この(小沢代表の)主張は明らかにおかしい」とし、テロ掃討作戦は「米国の戦争」ではなく「国際社会による対テロ共同行動」であるとして、「小沢代表は、日本自身が国際テロの標的にされている当事者であることを忘れたのではないか」と批判しています。
 テロ特措法は、2001年9月の米同時テロ後に全会一致で採択された国連安保理決議第1368に基づいて、国際社会の中で、日本がテロ対策に主体的に取り組む意思を示すということが明確に記載されており、国連安保理決議を根拠としていることは明白です。11月1日に失効する同特措法の対応について、民主党は大きな責任を担っています。議論のスタートから反対ありきの頑なな姿勢を転換すべきだと思います。
小沢VS米大使 政権担当能力に疑問符がついた
読売新聞社説(2007/8/9付)
 これでは民主党に政権担当能力はない、と判断されても仕方がないだろう。
 民主党の小沢代表とトーマス・シーファー駐日米大使が、テロ対策特別措置法の延長問題をめぐって党本部で会談した。
 シーファー大使は、海上自衛隊が多国籍軍への洋上給油活動を継続することに、民主党の協力を要請した。
 しかし、小沢代表は「ブッシュ大統領は『これは米国の戦争だ』と、国際社会のコンセンサスを待たずに戦争を始めた」と強調した。「日本は米国中心の活動には参加できないが、国連に承認された活動には参加したい」とも語った。
 国連安全保障理事会決議の承認を得ていない現在の海自の活動には反対する、という理屈のようだ。
 この主張は明らかにおかしい。
 海自の活動は、多国籍軍のテロ掃討作戦の一環である。2001年9月の米同時テロ後に採択された安保理決議1368に基づいている。アフガン国内で米英仏加韓など約20か国が、インド洋では日米英仏独パキスタンなど8か国の17隻がそれぞれ活動している。
 テロ掃討作戦は、小沢代表が言うような「米国の戦争」ではない。国際社会による対テロ共同行動である。
 小沢代表は、国連安保理決議1386に基づくアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)への参加は可能だ、との考えを示した。
 しかし、それは、日本にとって、現実的な選択肢ではあるまい。
 米政府は再三、陸上自衛隊の輸送ヘリコプターのISAF派遣を打診しているが、日本側は「危険だ」と断っている。現在の海自の給油活動は、はるかに危険が小さい。国際的な評価も高く、国益に合致した人的貢献策と言える。
 アフガンでは、旧支配勢力タリバンが勢いを盛り返している。国際社会の対テロ活動は、今が正念場だ。
 シーファー大使は会談で、「日本の貢献は、日本と世界の治安にとって重要だ」とも指摘した。小沢代表は、日本自身が国際テロの標的とされている当事者であることを忘れたのではないか。
 民主党は参院選公約で、「相互信頼に基づいた、強固で対等な日米関係」の構築を訴えた。小沢代表と大使の会談は、民主党の要請で、報道機関に全面公開された。「米国に言うべきことは言う」という姿勢を示し、民主党の存在感をアピールする狙いなのだろう。
 だが、小沢代表から、日本が「国益」を踏まえてどう行動するか、という発言はなかった。極めて残念である。