参考写真 8月1日、アメリカ中西部ミネソタ州ミネアポリスのミシシッピ川に架かる高速道路が、突然崩落し、通行していた約50台の乗用車やトラックが橋とともに川に落ち事故が発生しました。現在までに、8人の死亡が確認されており、橋を管理する州当局の財源難による「補修不足」が原因と推定され、大きな社会問題となっています。
 この橋は鉄筋コンクリート製で、上下8車線の高速道路の橋梁です。全長300メートルほどで、高さ約20メートル。橋は1967年に建造され、ミネアポリスとセントポールを結ぶ幹線道路として通勤などで一日平均約20万台もの車が利用していました。
橋梁の崩落の危険性は日本にも存在
 こうした橋梁の「高齢化問題」は日本にも現に存在しています。1960年代からの高度成長期に急造された橋は、今建築後30年から40年が過ぎました。一般道路の橋14万カ所のうち、建て替えの目安となる「50年以上」が経過した橋は06年度は全体の6%でしたが、16年度に20%に急上昇し、2026年度に約半数・47%に達します。
参考写真 国土交通省道路局は1月に作成したパンフレットで、「管理を怠れば日本も米国と同じ状態に陥る」と警鐘を鳴らしています。国交省は定期点検で亀裂などの兆候を見つけ、約60年とされる橋の寿命を100年以上に延ばすことを目指しています。
 米国の2年に1度よりも頻度は少ないが、国道は5年に1度の定期点検で橋の裏側まで調べています。しかし年間約1000億円の国の補修費の多くは大規模補修が必要な緊急対策に使われ、予防保全には十分に回っていないと、専門家は現状を指摘しています。
 地方の実態はより深刻です。国交省が2月に実施した調査によると、回答があった市区町村の約9割にあたる1567自治体が定期点検を行っていませんでした。
 国地方を含めたすべての橋梁の安全点検を、計画的に進める必要があります。
参考:「荒廃する日本」としないための道路管理