茨城租税債権管理機構が武富士に過払い金返還請求
 県内の市町村と県がつくる一部事務組合「茨城租税債権管理機構」は、地方税の税滞納者が法定利息を超えてサラ金会社に支払った過払い金約160万円の債権を差し押さえ、業者に支払いを求める訴訟を起こすことを決定しました。過払い金をめぐり、自治体が金融業者を訴えるのは全国初となります。
 茨城租税債権管理機は、今年4月、県内の滞納者の男性の過払い金を差し押さえ、サラ金大手の武富士に支払いを求めたが拒否されました。同機構は、過払い金は滞納者が保有する唯一の資産で、回収して滞納税に充当する方法を確立し、市町村に還元するため、提訴に踏み切ります。
 サラ金の過払い金は、出資法の利息上限の29.2%近くの高金利で回収していた利息相当分を、利息制限法の上限(15〜20%)で再計算した際に出る差金のこと。最高裁は、利息制限法の上限を超える利息分は、実質的に無効との判断を示しており、各地で過払い金の返還訴訟が続発しています。
 これまでに、神奈川県や兵庫県芦屋市などでも、地方自治体によって税滞納者の過払い金の差し押さえが行われています。
参考:茨城租税債権管理機構のHP
管理機構が武富士提訴へ
読売新聞(2007/8/31)
税滞納者の過払い利息求め
 利息制限法(年15〜20%)の上限金利を上回るグレーゾーン金利による過払い利息をめぐり、県内の一部事務組合「茨城租税債権管理機構」(水戸市)は30日、市町村税の滞納者が借金返済のため支払っていた過払い利息の取り立てを求め、消費者金融の武富士(本社・東京都新宿区)を相手取って提訴することを決めた。同機構によると、過払い利息の差し押さえで公共団体が業者を訴えるのは全国初という。
 機構は県内の市町村の負担金で運営されており、2001年から、市町村に代わって滞納整理に当たっている。ある個人滞納者が約160万円を武富士に過払いしていることが分かったため、今年4月に差し押さえを通知したところ、武富士側が異議を申し立てた。機構側が6月に申し立てを却下した後も支払いに応じないため、提訴に踏み切ることにした。
 滞納整理を目的とした公共団体による過払い利息の差し押さえは、神奈川県や兵庫県芦屋市が今年3月から着手するなど、一部自治体で先駆的な取り組みとして広がっている。武富士は「訴状が届けば、弁護士と協議の上で対応したい」と話している。