益々進む県内市町村の財政硬直化
水戸・結城・下妻・筑西・北茨城の5市が起債許可団体

 9月5日、茨城県は県内44市町村の「実質公債費比率」の07年度速報を発表しました。「実質公債費比率」は、昨年度より公表されるようになった、自治体の財政規模に対する公債費(地方債の返済に係わる費用)の割合を示す指標です。通常、過去3年間の平均値で示されます。18%を超えると、新たな地方債の発行に知事の許可などが必要になります。
 18年度の結果によると、県内では水戸市など5市が18%を超え、前年度を下回った(財政状況が好転した)市町村は約4分の1にとどまるなど、財政の硬直化が進んでいる状況が明らかになりました。
 県内では水戸、結城の両市が20.5%で最悪となり、逆に東海村は7.4%と借金の依存比率が最も低くなっています。
 結城市は前回まで18%を割っていました、85年から進めてきた宅地造成への公債費支出がピークを迎えたことなどが要因で、今回を3.4%も上昇しました。
 県内全体の比率の平均値は15.0%で前回から0.4ポイント上がっています。
 国からの補助金などを使って事業をする場合、起債をすることが前提となる場合もあります。公債の発行をゼロにすることは出来ませんが、事業の選別をより厳しくしたり、長期的な返済計画のもと、無理にない事業展開が望まれます。
平成19年度 実質公債費比率の算定結果(速報値)
順位市町村名実質公債費
比率(%)
H18比率H19−H18
1水戸市20.520.20.3
1結城市20.517.13.4
3下妻市19.519.30.2
4筑西市18.918.80.1
5北茨城市1818.5-0.5
6行方市17.817.60.2
7五霞町17.616.80.8
8守谷市17.416.90.5
9ひたちなか市17.316.60.7
10潮来市1717.5-0.5
11大子町16.916.20.7
12龍ケ崎市16.817.5-0.7
13土浦市16.716.40.3
13阿見町16.716.10.6
15高萩市16.317.2-0.9
15鹿嶋市16.315.70.6
17那珂市16.214.81.4
18城里町15.917.2-1.3
19つくば市15.813.72.1
20取手市15.315.9-0.6
21常陸大宮市15.213.91.3
21利根町15.2141.2
23古河市14.914.70.2
24桜川市14.814.20.6
25常総市14.714.50.2
26つくばみらい市14.613.51.1
27常陸太田市14.313.40.9
28大洗町14.215-0.8
29鉾田市14.1140.1
30石岡市13.913.60.3
31八千代町13.611.52.1
32坂東市13.513.10.4
33笠間市13.312.50.8
34小美玉市13.112.80.3
35河内町12.812.10.7
36日立市12.712.8-0.1
37境町12.612.10.5
38茨城町12.511.51
39牛久市11.812.8-1
40かすみがうら市11.110.11
41美浦村1111.3-0.3
42稲敷市10.59.70.8
43神栖市9.410.1-0.7
44東海村7.48.4-1
平均〔単純平均〕1514.60.4
※数値は平成16年度から平成18年度までの単年度数値の3ヶ年平均です。
※この数値は,平成19年9月5日現在の算定結果を速報として取りまとめたものですので,今後変動する場合があります。

参考:平成18年度の算定分の実質公債比率
07年度「実質公債費比率」 平均0.4ポイント悪化
茨城新聞(2007/9/6 総合面1面)
進む財政硬直化
 自治体財政の借金体質度合いを示す「実質公債費比率」について、県は5日、県内市町村の2007年度の算定結果(速報値)を発表した。自己責任性となった起債で、知事の許可を受けなければならない起債許可団体となるのは前年度からの水戸、下妻、筑西、北茨城に結城を加えた5市。44市町村平均でも前年度より0.4ポイント悪化、財政の硬直化が進行している傾向を裏付けた。
起債許可団体県内5市
 市町村による起債は前年度、知事の許可を必要とする「許可制」から知事と協議する「協議制」に移行。実質公債費比率はこれに伴って導入された財政指標で、自治体の収入に対する借金返済の負担割合を示す。18%以上になると「公債費負担適正化計画」を策定し、知事の許可を得た上でなければ起債できない起債許可団体となる。
 算定結果によると、起債許可団体となった五市の実質公債費比率は水戸20.5%、結城同、下妻19.5%、筑西18.9%、北茨城18.0%。県内平均は15.0%で、最高は水戸、結城の両市、最低は7.4%の東海村となった。
 前年度から起債許可団体となっている水戸、下妻、筑西、北茨城の四市は既に公債費負担適正化計画(原則7年以内に18%を下回るよう目指す)を策定して県から進行管理を受けているが、前年度から改善したのは北茨城市が0.5ポイント下がったのみで、残る3市は悪化した。新たに許可団体となった結城市は、前年度から一気に3.4ポイントも上がった。
 県内全体でも前年度から改善したのは12市町村にとどまり、32市町はいずれも悪化した。また、行方市(17.8%)、五霞町(17.6%)、守谷市(17.4%)などが起債許可団体基準値に迫っており、県では注意を促す方針。こうした結果について、県市町村課では「ほとんどの市町村が近年の厳しい財政状況から起債を抑制しているが、過去から積み重なった公債費負担がここへ来て重くのしかかっている」としている。
実質公債費比率
 総務省が06年度から導入した借金返済金負担の指標。従来指標の起債制限比率が自治体の一般会計に占める借金返済金の負担割合だけを示していたのに対し、自治体出資の公営企業(水道事業など)への繰り出し金や、他の自治体と共同でつくる一部事務組合(ごみ処理、消防など)の借金返済金の負担なども反映させ、より実態に近い指標とされる。25%を超えると一部の起債、36%を超えるとほとんどの起債が制限される。