水戸市の経費負担はゼロ
 水戸市は、市の窓口業務や施設の利用案内など市民生活に必要な情報をまとめた「水戸市民ガイドブック」を、民間事業者(サイネックス:本社大阪)と協力して発行することになりました。
 市は9月13日、公募で選ばれた大阪市の広告出版会社と「協働発行に関する協定」を締結。ガイドブックに広告掲載が認められる代わりに、印刷や配布などに掛かる経費はすべて事業者の負担で、市の財政負担は全くありません。自治体のガイドブックで、民間との協定を結び発行をするのは県内で初めての試みです。
 ガイドブックは、水戸市が行政情報を提供し、事業者が独自に集める観光や歴史などの地域情報や広告を含めた総合地域情報誌として発行します。A4判オールカラーで約200ページを予定し、発行部数は12万部。来年4月ごろ、同市内の全世帯に無償配布されます。
 市はこれまで別々に発行していた「健康づくりガイドブック」や「ごみ分別事典」なども加えて一冊にまとめる方向です。
 広告の内容は、事業者に市の広告掲載基準の順守が義務付けられ、風俗営業法や貸金業規制法の適用を受ける業種のほか、政治や宗教活動などの宣伝は認められません。
 契約期間は2年間で、ガイドブックを毎年発行できることや、加入者が減少傾向にある町内会などを通じて配布する市の広報紙に比べ、ポスティングなどにより全戸配布できるのが利点です。また、市の試算では財政負担が二年間で約4000万円軽減される見通しです。
参考:株式会社サイネックスのHP
水戸市のガイドブック作って ただし無料で 2000万円節約へ
東京新聞(2007年8月31日)
 「無料で自治体のガイドブックを作ってください」−。水戸市は市民や転入者に窓口業務や施設の利用案内などの情報をまとめた「水戸市民ガイドブック」の発行と配布を民間事業者に委託することを決め、公募で事業者を内定した。ただし委託料は無料で全額が事業者の負担。地域経済の活性化と財政負担の軽減が目的で、事業者は企画、編集、印刷などの費用すべてを負担する珍しい試みで、他の自治体からも注目を集めそうだ。
 ガイドブックは市が提供する行政情報に加え、事業者が独自に収集する観光や歴史、地図など地域情報と、広告を合わせた総合地域情報誌とする意向。発行数は十二万部のA4判オールカラーで、百五十から二百五十ページのうち、行政情報は百ページ以上を割くことが条件。
 水戸市は公募で決まった事業者に行政情報を提供するとともに、企画、編集業務を協議し、文字の大きさやレイアウトなどについては市民に見やすい出来とするよう気を配るという。また、掲載する広告内容については市の広告掲載要綱に従い、公序良俗に反するものなどの掲載は認めない。
 水戸市によると、自治体が業者に無料でガイドブック作製を委託する試みは那覇市や大阪府和泉市でも始めているという。水戸市はこれまで別々の冊子で紹介してきたごみの分別方法や保健福祉関係の情報も新たなガイドブックに盛り込む方針で、従来は市が負担してきた約二千万円の支出を節約できるとしている。
 市幹部らによる審査委員会が三十日、企画書と五ページ程度の作製見本を添えて申し込んだ業者の中からすでに選定。九月上旬に市が業者と協定を結ぶ予定で、本年度末にはガイドブックが完成し市民らに配布できるという。
 市広報広聴課は「オールカラーとすることで市民サービスの向上にも役立てたい」と話している。