
それによると、平成18年の出動件数は10420件で、前年を279件上回わりました。これは率にすると2.75%の増となっています。
また、搬送人員は9816人で、前年の9609人を207人、2.15%上回わりました。最近の傾向としては、高齢者や軽度患者の搬送が増えており、高齢者は全体の35.3%を占め、入院の必要がない軽傷患者の割合が55.9%と高くなっています。
現状の課題としては、119番通報を受けてから、患者を病院に収容するまでの収容時間が35分と県の平均を上回っていることや、その要因の一つでもある応需率(収容率:救急隊員が患者を搬送する病院を決める際、病院が救急隊員の要請を受け入れる割合)の低下がみられることです。
水戸消防本部は、水戸地区救急医療圏に属する10消防署の中核として機能しています。この地域は救急医療施設が水戸市内に集中しているために、救急患者は、大部分が市内の救急病院に搬入され、空きベットの情報などが十分に各消防署で共有されていません。そのために、収容する病院の決定に時間を要することになります。
水戸消防本部の説明では、2箇所以下の通信で収容病院が決まる率が、90%、3箇所以下で95%が決まりますが、5%は4箇所以上に収容を要請してはじめて搬送先が決まる現状があります。
これは10の消防署(消防本部)が別々で収容先の病院を探すという旧来のシステムの弊害と救急病院間の輪番制など受入体制の不備という二重の欠陥があるために発生しています。
抜本的な解決策は、国が進めている消防の広域化をはかり、救急患者の円滑な収容をはかる広域メディカルコントロールセンターを整備する必要があります。また、救急病院の輪番制や第三次救急の拠点病院整備を検討する必要があります。