9月11日に行われた県議会代表質問での、井手よしひろ県議の質疑を掲載いたします。なお、最終の議事録とは異なりますのでご了承下さい。
出先機関の再編整備
井手県議:県民生活の利便性向上のための出先機関の見直しを
参考写真 財政再建のための県総合事務所をはじめとする出先機関の統廃合および県単独補助金の見直しについてお伺いいたします。
 総合事務所および出先機関の統廃合の検討は、実に約30年ぶりの大改革となります。市町村合併やIT社会の進展、高速交通網の整備などの様々な面で社会環境が大きく変化したことを踏まえ、本庁との役割分担を見直して、廃止も視野に入れた大胆な検討を進めることは当然必要なことです。
 しかし、私ども公明党は、こうした統廃合の議論は、単なる経費節減の視点だけで進めてはならないと考えています。この場でそのあるべき検討の視点を整理しておきたいと思います。
 その第1点は、県民の生活や利便性にマイナスがあってはならないということです。その意味では、受付や相談窓口は地域的な利便性を考慮しながら、出来るだけワンストップサービスが実現できるよう集約化が必要だと考えます。
 第2点は、市町村への権限と機能の移譲を積極的に行い、地方分権の流れを促進するものであることが重要です。
 第3点は、不法投棄防止などの環境保全や農業の振興など、今まで以上に強化すべき課題に対しては充実強化を行う、こうしたメリハリの効いた再編整備でなくてはならいと思います。
 県議会でも財政再建等調査特別委員会での活発な議論が続いています。こうした議論を十分に尊重した上で、知事の思いきった決断を期待するところです。

橋本知事:出先機関の再構築は、県民サービスを第一に、財政再建にも役立つように
 総合事務所が設置された時代と現在とでは、市町村の数や事務権限、交通基盤等の整備状況、さらには県民の生活圏などが大きく変わってきておりますし、また、危機的な財政状況下にあって、簡素で効率的な組織体制を再構築するためにも、出先機関のあり方を原点から見直す時期にあると認識しております。
 見直しに当たりましては、県民へのサービス低下を極力招かぬよう配慮しつつ、本庁での処理が効率的な事務は、本庁へ集約するとともに、県民に身近な市町村が行うことにより住民サービスの向上が図られる事務は、市町村の受け入れ態勢も考慮しながら、積極的に権限移譲を進めてまいりたいと考えております。
 一方、不法投棄対策など現地性が高い事務は、迅速な対応が可能となるよう執行体制を整備していくほか、将来的に、各出先機関の管轄区域・所在地をできるだけ統一していく方向でのワンストップサービス化についても検討を進めていきたいと考えております。
 さらに、総合事務所について、本庁が直接事務を行う地域を設けることや、農業関係出先機関の再編統合により農業振興に一層強力に取り組む推進体制を検討していくことなど、従来の枠組みにとらわれない新たな視点での方向性を先日の財政再建等調査特別委員会にお示ししたところであります。
 特別委員会でのご審議を踏まえ、さらに検討を深めながら、県民サービスを第一に考え、同時に財政再建にも役立つよう、出先機関の再構築に鋭意取り組んでまいります。

県単独補助金の見直し
井手県議:県補助金の見直しには、市町村の理解が必要
 一方、市町村への県単独補助金削減では、市町村が徴収する個人県民税の徴収率の結果に基づき、徴収率の低い市町村に対し、県からの補助金を削減する方針が示されています。個人県民税の徴収率は全国下位レベルに低迷し、県財政への影響が大きいことから、市町村がより真剣に取り組むように誘導することが狙いであると報道されています。
 既に制度設計の検討に着手し、本年度の徴税実績も考慮しながら、早ければ21年度にも導入する考えと聞き及んでいます。併せて、市町村の財政力に応じた補助金削減も検討していく方針と伺っています。
 ただし、この補助金削減に対しては、多くの市町村が難色を示しており、先に毎日新聞社が実施したアンケート調査では、賛成はわずか12市町村で、全体の48%に当たる21市町村が反対の姿勢を示しております。
 以上のような状況を踏まえ、出先機関の統廃合と補助金の支給基準の見直しについて、知事のお考えをお示しいただきたいと存じます。

橋本知事:税負担の公平性からも徴税率向上を目指す
 まず、徴収率による県単補助金の見直しについてでありますが、本県の平成18年度の個人県民税徴収率は89.9%、全国46位と依然低迷している状況にございます。
 県平均で10%強、団体によっては約20%が滞納になっている現状については、税負担の公平性の観点から到底看過することができず、また、地方の自立に向け今後さらなる税源移譲が求められる中で、地方行政に対する住民の信頼を揺るがしかねないものと危慎しているところであります。
 県といたしましては、市町村の徴税力向上を図るため、税務職員を派遣するなど様々な助言及び支援を行ってきておりますが、依然として十分な成果の見られない市町村がありますので、市町村の主体的な徴税努力を強く促すとともに、住民の税への理解と関心を高めて頂く方策として、徴収率による県単補助金の削減を検討しているところであります。
 削減に当たっては、徴収率が全国最下位に近い本県平均をさらに大幅に下回るような市町村のみを対象として考えており、医療費助成制度のように県民に直接給付されている補助金は対象から除くなど、慎重に検討を行ってまいります。
 また、既に一部の補助金において導入している財政力に応じた補助金の割落しについては、県財政が極めて危機的な状況にありますことから、財政力が特に高い市町村に限って、一定の補助金について適用していくことなどを検討してまいりたいと考えております。

警察署の統廃合
井手県議:警察署の統廃合は慎重に
 一方、県出先機関の統廃合と同時に警察署の統廃合の議論も進んでいます。県民の安心安全を守る立場からは非常に重要な問題であり、効率論だけでは解決できない課題でもあります。
 そこで、今回の大子警察署を始めとする3つの警察署の統廃合について、橋本知事はどのようなご見解をお持ちなのか、あえて、お伺いいたします。

橋本知事:警察署の統廃合は時間を掛けて検討
 警察本部が先般取りまとめた構想の中で、小規模警察署につきましては、管轄区域の移管・編入、配置のあり方などを見直し、効果的に機能する体制を確立するとともに、同一行政区域内に複数わ警察署が配置されている場合は、行政区域を分断しない体制とすることを目指して検討した結果、三警察署の統合を打ち出したと聞いております。
 この構想につきましては、治安維持の観点から現時点での警察本部としての考え方を県民の皆様にお示ししたものであり、厳しい財政状況の中で、再編の時期や財源確保の方策などについては、これから総合的な検討を行っていく必要があるものと考えております。
 私としましては、今後、警察署の統廃合を検討するに当たっては、当該地域の将来をしっかりと見通した上で、統廃合の是非やその影響、統廃合に伴う財政負担といった点について、十分時間をかけて議論していく必要があり、パブリックコメントの結果や各地域からの賛成・反対の様々なご意見などを踏まえていかなければならないと考えております。