9月25日に開催された県議会予算特別委員会で、日立市を中心とする県北臨海部の産婦人科医療機関の状況が話題となりました。
 日立市、高萩市、北茨城市の3市での出生数2257名(平成18年人口動態調査)です。この地域で出産を受け入れる医療機関は、病院が2(日立製作所日立総合病院日立総合病院:日立市、北茨城市立病院:北茨城市)、医院1(瀬尾産婦人科医院:日立市多賀)、助産院1(加茂助産院:日立市十王)の4施設しかありません。
参考写真 その内、日製日立総合病院(日製病院)は同地域の出産数の5割以上(1215人)を占め、新生児集中治療室(6床)を備えるなど、地域の中核周産期医療センターとして、重要な役割を果たしています。
 現在は6名の常勤医で運営されていますが、来春には一部医師が大学病院に戻り、産婦人科の医療体制に深刻な影響が出るのではないかと、心配の声があがっています。
 9月議会には、茨城県医師会より県北地域の産婦人科医療に関する陳情が寄せられ、県の日製病院への支援強化が求めれています。井手よしひろ県議ら地元県議も、日製病院へ産婦人科の充実への働きかけを行い、県の一層の支援拡大を求めてまいります。
(写真は日立製作所日立総合病院)

(2007/10/2更新)
 10月1日、茨城県医師会(原中勝征会長)や茨城県産婦人科医会(石渡勇会長)などは、県庁で記者会見を開き、県北地域で産婦人科医が不足している現状を訴えました。また、県に医師の確保や増員への支援を求める陳情を行いました。
産婦人科医不足 県北の窮状訴え・医師会など知事に陳情
読売新聞(2007/10/2)
 県医師会(原中勝征会長)や県産婦人科医会(石渡勇会長)などは1日、県庁で記者会見を開き、県北地域で産婦人科医が不足している現状を訴え、県に医師の確保や増員への支援を求める陳情を行ったことを明かした。原中会長らが先月12日、県庁を訪れ、橋本知事に窮状を伝えたという。
 陳情内容は、〈1〉県北地域の中核医療施設である日立製作所日立総合病院(日立市)産婦人科の医師確保と増員への支援〈2〉同病院の労働環境の改善と労働に見合う給与の保障〈3〉県北地域のお産を扱う医療機関への支援〈4〉筑波大医学部の定員増への配慮〈5〉医師不足が顕著な産婦人科医、小児科医などを目指す医学生への奨学金の貸与など経済的支援の充実――の5点。
 県医師会などによると、日立地域(日立、高萩、北茨城の3市)にある出産施設は、日製日立総合病院、瀬尾産婦人科医院(日立市)、加茂助産院(同)、北茨城市立総合病院の4施設だけ。特に中核の日製日立総合病院は、年間の分娩(ぶんべん)数がここ10年で、約900人から約1200人に増えるなど負担割合が年々高まっている。
 しかし、一方で、医師不足は深刻化。同病院の産婦人科医は昨年から2人減って現在は6人だが、来年にはさらに減少する見込みで、現行の体制を維持することも難しくなっているという。
 石渡会長は「個々の医師の負担が大きく、今もギリギリの状態。早く手を打たなければ茨城全体の産婦人科医療が崩壊してしまう」と訴える。県医療対策課は「県としても重大な問題と受け止めている。財政支援など具体的な対策を検討していきたい」としている。
 同課によると、県内の人口10万人当たりの産科医師数(2004年12月現在)は、6・6人と全国平均(8・3人)を下回り、全国42位。全県を9地域に分割した医療圏ごとで見ると、つくば地域(11・0人)や水戸地域(9・7人)などに比べ、日立地域は4・9人、常陸太田・ひたちなか地域は4・3人と少なく、県北地域の産婦人科医不足が著しい。