9月25日、自民党の福田康夫総裁と公明党の太田昭宏代表は国会内で会談し、15項目からなる連立政権合意を交わしました。
公明党HPヨリリンク 政治とカネの問題では、公明党の強い働きかけにより、1円以上のすべての支出(人件費を除く)に対し、政治資金収支報告書に領収書添付を義務付けることを明記しました。ただ、領収書の公開方法については、領収書のチェックを行う第三者機関の新設を含め、与野党で協議して今国会で結論を出すとするにとどめました。
 また、社会保障に関する負担軽減では、来春4月に予定される高齢者医療費の窓口負担の引き上げや、母子家庭への児童扶養手当の一部削減の凍結について、「早急に結論を得て措置する」としました。福祉サービスの利用料の1割の自己負担を求める障害者自立支援法についても、抜本的見直しの検討を打ち出しました。
 さらに、年金記録漏れ問題の徹底的な問題解決を図ることやインド洋での海上自衛隊の給油活動を継続するために臨時国会で法整備を行うことなどを盛り込みました。
 先のブログで指摘した都市と地方の格差の問題は、短期間の政権協議の中では、結論がでませんでしたが、今後の税制協議などで真剣に議論されることを望みます。
自民・公明 連立政権合意全文
(公明新聞:2007年9月26日などから転載)
 われわれは、今般、自由民主党において新総裁が選出されたことに鑑み、自由民主党、公明党両党の連立政権発足以来の政権合意を尊重し、先の参議院選挙で示された民意を真摯に受けとめ、新たな連立政権において若者が希望を持って未来を切り開き、お年寄りが安心して暮らせるくにづくりを進め、国際社会への平和と安定に一層貢献する。
 参議院選挙で与党である自由民主党、公明党に対して示された民意について両党は、構造改革路線は確固として継続させなければならないが、改革を急ぐ余り、そこから取り残された人たちや地域、弱者に対するセーフティネットが十分でなかったことを率直に反省し、負担増・格差の緩和など国民生活に重きを置いた方向の政策を断行することが必要と考える。
 その実現をめざすため、まず「政治とカネ」の透明化を進め、政治に対する国民の信頼を取り戻さなければならない。
 両党はこれまでの成果の上に、以下に掲げる重点政策の課題に全力で取り組む決意を改めて確認する。
〔今後取り組むべき重点政策課題〕
1、経済財政運営
 名目成長率2%台を達成するための成長戦略を継続させるとともに、財政再建に向けた方針を着実に進める。
 国際競争力強化のための取り組みを強化する。
 中小零細企業に対する金融・経営支援の強化や事業承継税制の抜本見直しなど、中小企業支援策の拡充を図るとともに、下請けいじめや不当なダンピング等市場における競争の過熱により生じた歪については、放置することなくこれを是正する。また、原油など原材料高騰を価格転嫁できる取引慣行の適正化を促す。
2、地域再生
 地方と都市の格差を是正し、地域コミュニティの再生や必要なインフラの整備など、地域活性化推進のための施策を大胆に講じるとともに、地域に必要な財源を確保しつつ、地方自治体間の財政力格差の是正に向け早急に対応する。
 また、地方分権を一層推進するため、国と地方の役割分担や国の関与のあり方の見直し等に徹底的に取り組む。
3、年金
 年金記録問題について、徹底的な問題解決を図るとともに、社会保険庁の日本年金機構への円滑な移行に万全を期す。
 平成16年の年金改革の道筋に沿って、平成21年度までに基礎年金の国庫負担割合を2分の1に引き上げる。無年金・低年金を防止する施策の充実等を図るとともに、引き続き年金制度のあり方を含め社会保障制度の一体見直しの検討を進める。
4、医療
 医師不足に対応して先に決めた緊急対策に加え、ドクターヘリの配備促進、救急患者の受入れを確実に行うためのシステム作りなど救急医療の整備等、更なる医療体制の整備強化について検討する。
 また、高齢者医療制度については、来年4月に実施が予定されている70歳から74歳までの窓口負担の1割から2割への引き上げ及び75歳以上の新たな後期高齢者医療制度における被扶養者からの保険料徴収の凍結について、早急に結論を得て措置する。
5、少子化対策・子育て支援
 出産・育児に安心して取り組めるよう産科医・小児科医不足を解消し、児童手当の拡充、保育サービス・妊産婦支援の充実など子育て支援策を強化する。
 平成20年度に実施予定の母子家庭に対する児童扶養手当の一部削減の凍結について、早急に結論を得て措置する。
6、障害者施策等
 障害者自立支援法について抜本的な見直しを検討するとともに、障害者福祉基盤の充実を図る。
 「ユニバーサル社会形成推進法(仮称)」の制定について検討する。
7、雇用
 若者が希望をもてるよう、フリーターの常用雇用化や、ニートの自立支援、正規雇用への転換促進策など総合的な雇用対策を推進する。
 派遣労働や短時間労働など雇用形態による処遇の格差是正を図る。
8、男女共同参画社会の実現
 雇用・家庭生活・地域社会における男女共同参画を促進する。
9、教育再生
 国民一人ひとりが所得や地域に関わらず、人格の向上を目指すとともに、豊かで充実した生活を享受し、社会の発展に寄与するため、教育再生と科学技術の振興に必要な施策及び財源措置を講じる。
10、農林水産
 食料自給率の向上、担い手育成策の充実、経営安定化対策など農業の構造改革を推進するとともに、環境・国土の保全などに役立つ農林水産業のさまざまな役割に着目した支援策を拡充する。また、国産材の活用を誘導するなど林業育成策を推進する。
11、環境
 京都議定書の6%削減約束達成のため温暖化対策を抜本的に強化するとともに、洞爺湖サミットの成功を目指し、米中など全ての主要排出国が参加する枠組みの構築に主導力を発揮する。わが国の優れた省エネ・環境技術による国際協力を推進する。
12、外交・安全保障
 強固な日米同盟と国連中心主義を踏まえ、積極的な「アジア重視の外交」を展開する。また、核軍縮・不拡散体制の維持・強化を推進し、「核廃絶」を目指し、世界をリードする。
 国際社会と協力して「テロとの戦い」を継続することを確認し、このため、今国会において、海上自衛隊による対テロ抑止活動を引き続き可能とするための法整備を行う。
13、拉致問題
 拉致問題の一日も早い解決をめざす。
14、行革
 歳出削減と税金の無駄遣いを一掃するため、事業仕分け作戦等を徹底し、内閣における推進体制を確立する。
 権限・予算を背景とした「天下り」の根絶など公務員制度改革を推進し、国民に奉仕する行政サービスを徹底する。
 頑張った者が報われる能力・実績主義の徹底など公務員がやる気を出し、持てる能力を存分に発揮できる制度と環境を整備する。
15、政治資金
 政治資金については、1円以上の全ての支出に領収書等添付を義務付け、その公開のあり方については、独立した第三者機関の設置など国民の理解が得られるよう、内外の意見を十分に勘案して具体的な成案を得るべく政党間において協議し、今国会で成案を得ることを目指す。