参考写真 9月27日、ひたちなか市内を走る茨城交通湊線(勝田〜阿字ヶ浦:14.4km)の存廃問題で、茨城交通とひたちなか市とが出資する第三セクター方式の別会社を設立し、港線を存続させることが決まりました。橋本昌知事、本間源基ひたちなか市長、竹内順一茨城交通社長が県庁内で会談し、最終的に合意したものです。
 別会社は茨城交通から鉄道事業を分離し、基本的に市と同社が出資して2008年4月に設立。国から鉄道事業の認可が下り次第、茨城交通から運行を引き継ぎます。ひたちなか市と茨城交通の出資比率は1対1になる見込みで、県は市の出資額の三分の一を補助する仕組みです。市民からの出資希望があった場合は、市への寄付として受け付け、市出資に含める方針です。茨城交通は、車両などの鉄道資産を現物出資する予定です。
 平成20年度から5カ年間で発生する約5億4000万円の設備投資費については国・県・市が3分の1ずつ補助します。約1億1000万円と見込まれる営業赤字については、県と市は補助します。
 茨城交通は今年10月下旬に安全対策に対する国の補助制度適用を受けるため、これら設備投資と収支計画を盛り込んだ再生計画を提出することにしています。
参考写真 茨城交通湊線は、1913年開通した全長14.3キロの単線鉄道で、電化はされていません。ひたちなか市中心部の勝田駅から、旧那珂湊市街地の阿字ケ浦駅まで9駅を結んでいます。当初は貨物輸送にも力を入れていましたが、1984年に廃止されました。利用者は60年代半ばには、海水浴客なども含み年間350万人にも上りましたが、昨年は約70万人と、最盛期の5分の1まで落ち込んでいます。鉄道事業は1991年以降、恒常的な赤字に陥っています。
 2005年12月に茨城交通が、ひたちなか市に対して廃止を前提とする協議を申し入れてから1年9カ月あまり。県と市が積極的に支援の姿勢を示したために、三セク方法式での存続に至りました。
 存続が決まったとはいえ、湊線を取り巻く環境の厳しさに変わりはありません。利用者数に増加の兆しが見えるものの、地域に必要な鉄道として存在し続けるには、恒常的な利用者数の確保が不可欠です。県は、DMVなどの導入を検討すると表明していますが、全く新しい発想での再建計画の立案が望まれます。
参考:茨城交通湊線