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地図上の目印はあくまでも集落の目安であり具体的な場所を特定するものではありません。


 近年の農山村地域における人口の過疎化・高齢化の進行は、地域における集落機能や社会活動の低下をまねき、特に存続が危ぶまれるような「限界集落」については、集落機能の著しい低下や、農地・山林などの地域資源管理の問題が深刻化しています。
 そうした地域では今後、農業・農村の多面的機能の発揮に支障をきたすことが懸念され、地域資源保全や環境保全の観点からもその対策を検討することは喫緊の課題となっています。
 「限界集落」の定義は、必ずしも明確な定義が確立している訳ではありません。最初にこの「限界集落」を提唱した大野晃氏(北見工業大学教授、高知大学名誉教授)によると、1)65歳以上の高齢者が集落人口の半数を超えている、2)冠婚葬祭をはじめ田役、道役などの社会的共同生活の維持が困難な状態に置かれている集落、という2点がその定義となります(大野晃氏著「限界集落−その実態が問いかけるもの」、『農業と経済』2005年3月号)。
 茨城県内の「限界集落」の対応を検討する場合に、どの地域がこのような状況に至っているかを明確にすることは大事なことです。反面、統計上の手法で、高齢化率が50%を超える集落を特定することはある程度できるとしても、集落としての共同生活の維持が困難になっているか否かの判定は、かなり難しいともいえます。
 また、この地域が「限界集落」であるというレッテルを貼られることは、現にその場所に住む住民にとって、様々なマイナス効果を惹起させることにもなり、慎重な対応が望まれます。
 統計的に茨城県内の過疎地域に指定されている2市2町を分析してみると、常陸太田市で2箇所、常陸大宮市で2箇所、大子町で1箇所の合計5箇所が、集落住民の高齢化率が50%を超えています。今後、こうした客観的な指標をもとに、具体的な調査、対応策の検討などが望まれるところです。その主な役目は、市町村が担う必要がありますが、国や県の積極的な関わりも非常に重要です。