全国で「偽装」の“食物連鎖”が止まりません。
 8月、北海道のブランド菓子「白い恋人」(石屋製菓)の賞味期限の改ざんが発覚。10月には、伊勢名物で知られた「赤福」(三重県)の34年にもわたる消費期限の改ざん、地元の比内地鶏だと偽って別の肉の燻製や卵を出荷した食肉加工製造会社「比内鶏」(秋田県)、ラベルを張り替えて消費期限切れのプリンやゼリーなどを販売した高級料亭のグループ会社「船場吉兆」(大阪府)、製造日や原材料の重量順表示を偽った御福餅本家(三重県)などと相次いでいます。
 これらは、いずれも全国に名の通った老舗や高級店の商品であり、その地域を代表する特産品やブランド品にまで“食の偽装”が及んでいたことを意味しています。特に、赤福や比内鶏は、売れ残った商品を不正に再利用したり、安価なニセモノの廃鶏を比内地鶏だと偽って商品にするなど、極めて悪質な点も判明。背景として、急激な販路拡大で生産をエスカレートさせた実態や、地鶏ブームに便乗した実態が浮き彫りになりました。
 10月末には、6月に発覚したミートホープ社の偽装に本格的な捜査のメスが入り、元社長らを逮捕。関係者の猛省とともに、企業のコンプライアンス(法令遵守)確立が強く求められています。
さらなる監視体制の強化を
原材料や消費期限など業者間での表示義務化も必要

 再発防止策では、生産から流通までの経過を明示する履歴管理制度(トレーサビリティー)の導入拡大など、一層の監視体制強化が求められています。ミートホープ社が偽装した「ひき肉」は、既存の牛肉トレーサビリティーでは「対象外」だったことも指摘されました。秋田県では、比内鶏の偽装問題を受け、同制度導入の検討を開始しました。
参考写真 一方、日本農林規格(JAS)法が定める加工食品の原材料や消費期限などの品質表示義務は現在、消費者向けに限られ、原料製造や中間加工、卸売などの業者間では対象外になっているため、その義務化を急ぐべきだとの指摘もあります。10月25日の参院農水委で、公明党の谷合正明氏が政府の対応を求め、若林農水相が「義務付けすべきと思っている」と答弁しました。
 また、農水省が各地の出先機関に設けている「食品表示110番」に寄せられる内部告発などの情報提供が急増しており、その情報の一つが赤福の偽装を突き止める結果になったとされています。
参考:食品110番のホームページ
期限表示の正しい理解を!、『消費期限と賞味期限』 
参考写真 食品の期限表示には「消費期限」と「賞味期限」の2種類があります。
 消費期限とは、定められた方法で保存した場合、腐敗などの品質劣化で安全性を欠く恐れがないとされる年月日のことです。その年月日までは「安全に食べられる」という意味。対象となる食品は、製造日を含めて、おおむね5日以内で品質が急速に劣化するものであり、例えば、弁当、サンドイッチ、総菜、生菓子類、食肉、生麺類、生カキなどが対象となっています。なお、弁当や総菜は、年月日に加え、時間まで表示するのが望ましいとされています。
 一方、賞味期限とは、定められた方法で保存した場合、期待されるすべての品質の保持が十分に可能な年月日で、その年月日までは「品質が保たれ、おいしく安全に食べられる」という意味です。製造日を含め、おおむね5日を超えても品質が劣化しにくい食品に付けられ、3カ月を超えるものは「年月」、それ以外は「年月日」で表示されます。
 なお、賞味期限は、その日付を過ぎても、すぐに食べられなくなるわけではありません。おおよその目安ではあるが、なるべく早いうちに食べることが望ましいとされています。対象となる食品は、牛乳、乳製品、ハム、ソーセージ、冷凍食品、即席めん類、清涼飲料水などです。
 写真は、井手よしひろ県議が11月8日、自宅事務所近くの食品スパーで購入したパック入りの豆腐です。同じメーカーの豆腐ですが、木綿豆腐には『賞味期限』が、絹ごし豆腐には『消費期限』が表示されていました。使われている原材料や添加物によって日保ちが違うために、こうした表示の違いが生まれるものと考えられます。
消費期限賞味期限
定められた方法により保存した場合、腐敗、変敗その他の品質の劣化に伴い安全性を欠くおそれがないと認められる期限を示す年月日。定められた方法により保存した場合、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日。ただし、当該期限を超えた場合でも、これらの品質が保持されていることがあるものとする。
製造日を含めて概ね5日以内で品質が急速に劣化する食品製造日を含めて概ね5日を超え、品質が比較的劣化しにくい食品
「年月日」で表示。(弁当、惣菜は年月日に加えて時間まで表示することが望ましい)3ケ月を超えるものにつては「年月」で、それ以外のものは「年月日」で表示。
弁当、サンドイッチ、惣菜、生菓子類、食肉、生麺類、生カキ等牛乳、乳製品、ハム、ソーセージ、冷凍食品、即席めん類、清涼飲料水等
必ず期限内に消費する必要があります。期限を過ぎても直ちに「食べられなくなる」ということではありません。およその目安として下さい

参考:知って安心!食品表示(政府公報オンライン映像)