11月15日、公明党は、来年4月に予定されている母子家庭を対象にした児童扶養手当の削減について、実質的に完全凍結する案を提出しました。削減の対象者を「健康なのに就労せず、働く意欲もない母親」に限定することで、事実上の完全凍結に近い内容となっています。
 自民・公明の与党プロジェクトチームは、16日午後の会合で、この公明党案で合意しました。
 民主党も手当削減を撤廃する改正案を提出する方針ですので、与野党の調整がつけば、今国会で凍結案が成立する可能性が出てきました。
 児童扶養手当は、所得に応じて月額9850〜4万1720円(児童1人の場合)が支給されています。02年度の児童扶養手当法改正で、受給後5年を超える場合、08年4月から手当を最大半分まで減らすことがすでに決まっていました。しかし、福田内閣の発足に伴う自公の連立政権合意で、削減凍結の検討が盛り込まれていました。
 なお、与党案で必要な財政負担は160億円程度となります。
児童扶養手当 削減を凍結
公明新聞(2007/11/17)
公明推進 「政権合意」実現の第2弾
 自民、公明の与党児童扶養手当に関するプロジェクトチーム(長勢甚遠座長=自民党、福島豊座長代理=公明党)は16日、衆院第1議員会館で、2008年4月から予定されている児童扶養手当の一部削減を凍結することで合意した。今後、自民、公明両党の党内手続きに入り、来週にも政府に申し入れる。
 ただ、合意では、母親や子どもの障害や病気などで就業が難しいといった事情がないのに、「就業意欲がみられない者」は削減対象とするが、極めて少ないと想定される。また、合意では母子家庭の母に対する就労支援策の拡充・強化も盛り込んだ。必要な財源は、来年度予算編成で対応する。
 厚生労働省の06年度全国母子世帯等調査結果によると、母子世帯の05年の平均就労年収は171万円。児童扶養手当や生活保護費など政府からの給付を含めた平均収入も213万円にとどまり、全世帯の平均年収である564万円の4割にも満たない。さらに、年間就労収入の内訳は、100万円未満が31・2%、100万円から200万円未満が39・1%となっており、7割以上が200万円未満を占める厳しい生活実態が浮き彫りになっている。
 児童扶養手当の一部削減は、離婚後の生活の激変を一定期間内で緩和し、自立を促進させるため、02年の法改正で受給開始から5年後に削減することを決定。しかし、公明党は一部削減の前提である就労支援が不十分であることから、一部削減の凍結と就労支援の充実を推進。9月の連立政権合意では「一部削減の凍結について、早急に結論を得て措置する」ことを盛り込んだ。
 会合終了後、福島氏は、「連立政権合意に基づいて、02年の法改正の趣旨を踏まえつつ、実質凍結という合意に至った。引き続き、就労支援の充実に向けて努力していく」と述べた。