11月20日、75歳以上の全高齢者を対象に来年4月から始まる「後期高齢者医療制度」の保険料について、県後期高齢者医療広域連合(連合長・石塚仁太郎坂東市長)は、一人当たり年間平均6万9355円とする方針を決定しました。29日に水戸市内で開かれる広域連合の臨時議会に提案し議決を経て正式決定されます。
 「後期高齢者医療制度」は、医療制度改革の一環として、国民健康保険や社会保険から独立して来年4月からスタートします。
 今までは、子供の扶養家族として保険料を負担していない高齢者も、健康保険の保険料を支払う仕組みになります。保険料は都道府県ごとに設置した広域連合がその地域の実情に即して独自に定めまする。
 保険料は、均等割と所得割から構成されます。茨城県の75歳以上の高齢者(被保険者)が一律に支払う「均等割額」は年間3万7462円。所得に応じた「所得割率」は7.6%としています。県の平均は年間6万9355円(月額約5800円)となります。高額所得者の支払額上限は50万円とします。
 厚生労働省が当初試算した保険料の全国平均は7万4000円です。茨城県の保険料は高齢者の一人当たり医療費が全国と比べ低いため、全国平均を下回りました。
 被保険者数は制度が始まる来年四月に約30万5900人、翌2009年度は31万5500人となる見込みです。均等割額は所得に応じて軽減されます。
 保険料の徴収方法は、年金受給額が年間18万円以上の被保険者は年金からの天引き。これ以外は市町村発行の納付書をもとに徴収することになります。
 この後期高齢者の医療制度の財源は医療機関での窓口負担を除き、本人の保険料1割、現役世代が加入する健保組合などからの「支援金」が4割、税金5割で賄うことになります。
参考写真
参考:茨城県後期高齢者医療広域連合のホームページ
 保険料徴収に関する激変緩和措置として来年度に限り4月から半年間は均等割額が全額免除されます。さらに、加入後2年間は5割が軽減されることになっています。
 その上で公明党は、高齢者の負担が重いとの声を真摯に受け止め、保険料全額を半年間免除し、その後の半年間は9割軽減するという与党合意を引き出しました。
 日本の医療費は急増しています。医療費の総額を表す国民医療費(保険料と税金、窓口で払う実費などの合計)は、厚労省の推計によると、後期高齢者保健制度の導入などの改革をしなかった場合、25年度には65兆円と06年度の約2倍に増え、このうち老人医療費の割合は5割近くまで膨らむとされています。
 高齢者が増える一方、現役世代が減る中で、負担に限界が訪れるのは誰の目にも明らかです。その意味では、06年の医療制度改革で医療費の伸びの抑制と負担の見直しを図ったのは当然の措置です。
 しかし、医療だけでなく、年金や介護保険、税制などの改革を一気に進めた結果、個別の改革を議論していた時には想定していなかった負担増が高齢者らに生じてしまう場合があったのも事実です。今一度立ち止まって全般的な点検をすることは“民意”に沿うものといえます。
 公明党は、一年間の暫定措置にとどまらず、負担をより軽減できるよう来年度一年間をかけ、与野党の同意を形成していく決意です。