11月15日、文部科学省が公表した2006年度の問題行動調査結果で、06年度に全国の小中高校が認知した「いじめ」は前年度の6.2倍に増え約12万5000件であったということが分かりました。6.2倍の増加という数字は衝撃的です。
 実は昨年、いじめによる自殺が相次いだため、被害者の気持ちを重視する形にいじめの定義を変更したことや、調査方法を変えたことが増加の大きな要因です。今まで教師に聞いていた調査を、子どもに聞くことによって6倍という数字になってきたことは重要です。「いじめ」の現場にいるのは「子ども」です。その「子どもに聞く」という現場主義に視点を移したことは画期的です。その結果が急増につながり、6.2倍という数字の変化に象徴されます。「子どもに聞く」という調査自体に公明党のこれまでの主張が反映しています。
 ただ、手放しで評価することはできません。認知件数を児童生徒1000人当たりで比較すれば、全国最多だった熊本県(50.3件)と、最少の鳥取県(2.1件)では25倍の開きがあります。実際のいじめの多寡と関係するのか、日常の取り組みや調査への対応姿勢に差があるのか、慎重な検証が必要です。また、調査結果では全学校の45%は「1件もない」ことになっていますが、「いじめゼロ」という数字はにわかに信頼できません。対策の前提はしっかりとした現状認識です。その意味でも、本当に児童・生徒の側に立った調査が不可欠です。
学校におけるいじめの定義
 1993年度までの調査では「自分より弱い者に対して一方的に、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、相手が深刻な苦痛を感じているもの」と規定。その上で、学校としてその事実を確認しているケースを集計しました。
 94年度調査から、学校がいじめを確認していなくても、いじめ被害者の申告があれば計上できる形に変更されました。
 さらに今回の2006年度調査からは「継続的」「深刻」といった条件を削除して「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」と改め、より被害者の気持ちを重視するように変更しました。

参考:平成18年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について(文部科学省のHPにリンク)