12月5日、茨城県議会の第4回定例会(12月議会)が開会し、自民党より「いばらきの快適な社会づくり基本条例(モラル基本条例)」が議員提案されました。
条例の提案理由の説明の中で、提案者の鶴岡正彦自民党県連政務調査会長は、「県民誰もが誇りに思える快適な郷土いばらきを構築するためには、私たち一人ひとりが率先して、いばらきの豊かな伝統と文化を尊重し、郷土を愛するとともに、道徳心や思いやり、公共の精神の大切さを自覚し、あらゆる場において社会生活の基本的なルールを遵守することが、きわめて重要であります。この社会生活の基本的なルールは、これまで個人の良心や地域社会の協力によって守られてきましたが、現下の憂うべき社会の状況を顧みますと、法律や条例に裏打ちされたルールとして構築し、その取り組みを、県民の幅広い理解のもとに進めていく必要があります。そのためには、社会の構成員が、自発的、主体的に守るべきルールの存在を認め、それを遵守する社会の形成に向けた取り組みの基本を定めることが重要であります。また、これまで、個々の条例において、特定の法益を守るために禁止行為などが定められてきましたが、県民の快適な生活を創造するという視点に立って、少子・高齢化や新たな社会問題に対応するため、関係する条例の制定又は改正を促す、いわば、個々の条例の基本となる条例が必要であります」と、モラル基本条例の制定の意義を語りました。
その上で、知事に快適な社会づくりの指針となる基本方針を定めることを課し、知事を会長とする推進会議の設置を規定しています。推進会議は基本条例の策定や推進、関係条例の制定や改正の必要性などについて審議。迷惑行為などを規制するさまざまな関係条例が目下制定、施行されているが、社会状況に合わせたこれらの改正や新たな対応について、総合的判断を行うとしています。
なぜ、今「モラル基本条例」なのかということを理解するには、今年(平成19年)3月議会での、鶴岡政調会長の橋本知事への自民党代表質問を振り返ることが必要です。
鶴岡議員は、この代表質問でモラル条例の制定を知事に質しています。これに対して、橋本知事は「モラル条例は宣言条例としてはともかく、実効性のあるものにしていくには、包括的な条例では無理があるのではないかと考えております」「市町村と分担、協力しながら、条例で規制するだけでなく、教育の場なども通じて、しっかりと公衆道徳の涵養を図ってまいりたいと存じます」と答え、「モラル条例」の制定に否定的な立場を明らかにしました。
自民党は知事部局からの条例提案を諦め、今回議員提案として「モラル条例」を上程したということになります。
この「モラル条例」に対しては、専門家からも否定的な意見も出されています。毎日新聞(2007/12/5付け)によると、市原昌三郎・一橋大名誉教授(公法)は、「茨城県は他の自治体に比べてモラルが著しく低下していたり、迷惑行為が多いのだろうか。抽象的な理念だけを掲げた条例の制定は無意味。意図がよく分からない。県民の基本的な人権を抑えつける足掛かりになってしまう可能性もある」とのコメントを寄せています。
歩きたばこに罰金を科したり、ペットのフンの始末を義務づけたりする具体的な条例ではなく、今回のような包括的・抽象的な「モラル条例」の実効性には、私も疑問を持ちます。推進会議の位置づけが現在ある様々な検討機関や、そもそも県議会などとどのような関係のなるのか、屋上屋を架す事にならないか、慎重な議論が必要です。
条例の提案理由の説明の中で、提案者の鶴岡正彦自民党県連政務調査会長は、「県民誰もが誇りに思える快適な郷土いばらきを構築するためには、私たち一人ひとりが率先して、いばらきの豊かな伝統と文化を尊重し、郷土を愛するとともに、道徳心や思いやり、公共の精神の大切さを自覚し、あらゆる場において社会生活の基本的なルールを遵守することが、きわめて重要であります。この社会生活の基本的なルールは、これまで個人の良心や地域社会の協力によって守られてきましたが、現下の憂うべき社会の状況を顧みますと、法律や条例に裏打ちされたルールとして構築し、その取り組みを、県民の幅広い理解のもとに進めていく必要があります。そのためには、社会の構成員が、自発的、主体的に守るべきルールの存在を認め、それを遵守する社会の形成に向けた取り組みの基本を定めることが重要であります。また、これまで、個々の条例において、特定の法益を守るために禁止行為などが定められてきましたが、県民の快適な生活を創造するという視点に立って、少子・高齢化や新たな社会問題に対応するため、関係する条例の制定又は改正を促す、いわば、個々の条例の基本となる条例が必要であります」と、モラル基本条例の制定の意義を語りました。
その上で、知事に快適な社会づくりの指針となる基本方針を定めることを課し、知事を会長とする推進会議の設置を規定しています。推進会議は基本条例の策定や推進、関係条例の制定や改正の必要性などについて審議。迷惑行為などを規制するさまざまな関係条例が目下制定、施行されているが、社会状況に合わせたこれらの改正や新たな対応について、総合的判断を行うとしています。

鶴岡議員は、この代表質問でモラル条例の制定を知事に質しています。これに対して、橋本知事は「モラル条例は宣言条例としてはともかく、実効性のあるものにしていくには、包括的な条例では無理があるのではないかと考えております」「市町村と分担、協力しながら、条例で規制するだけでなく、教育の場なども通じて、しっかりと公衆道徳の涵養を図ってまいりたいと存じます」と答え、「モラル条例」の制定に否定的な立場を明らかにしました。
自民党は知事部局からの条例提案を諦め、今回議員提案として「モラル条例」を上程したということになります。
この「モラル条例」に対しては、専門家からも否定的な意見も出されています。毎日新聞(2007/12/5付け)によると、市原昌三郎・一橋大名誉教授(公法)は、「茨城県は他の自治体に比べてモラルが著しく低下していたり、迷惑行為が多いのだろうか。抽象的な理念だけを掲げた条例の制定は無意味。意図がよく分からない。県民の基本的な人権を抑えつける足掛かりになってしまう可能性もある」とのコメントを寄せています。
歩きたばこに罰金を科したり、ペットのフンの始末を義務づけたりする具体的な条例ではなく、今回のような包括的・抽象的な「モラル条例」の実効性には、私も疑問を持ちます。推進会議の位置づけが現在ある様々な検討機関や、そもそも県議会などとどのような関係のなるのか、屋上屋を架す事にならないか、慎重な議論が必要です。
いばらきの快適な社会づくり基本条例(案)
私たちは、豊かな自然、優れた文化、他に誇れる歴史と伝統を併せ持つ茨城県に生活している。先人から受け継いだこの快適な社会生活環境の中で、安全安心な生活を営むことは、私たちの願いである。この郷土いばらきを愛し、守り育て、これを後世に伝えていくことは、県民すべての責務である。
しかしながら、近年、社会生活の場における規範意識の低下や欠如により、多くの県民が迷惑、不快と感じ、危険を覚える行動が増加し、平穏で快適な生活に支障が生じている。県民誰もが誇りに思える快適な郷土いばらきを構築するためには、私たち一人ひとりが率先して、いばらきの豊かな伝統と文化を尊重し、郷土を愛するとともに、道徳心や思いやり、公共の精神の大切さを自覚し、あらゆる場において社会生活の基本的なルールを遵守することが、きわめて重要である。
ここに、県民誰もが快適な生活を享受できるいばらきの社会づくりをめざし、すべての者が協働して取り組むことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、県民誰もが快適な生活を享受できるいばらきの社会づくりについて、基本理念並びに県、県民及び事業者それぞれの責務を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、県民、事業者及び市町村の主体的な取り組みを促進し、もって現在及び将来の快適な県民生活の創造に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 快適な生活を享受できるいばらきの社会づくり(以下「快適社会づくり」という。)は、次に掲げる事項を基本理念(以下「基本理念」という。)として行われなければならない。
(1)他人への思いやり及び互いに譲り合う精神に満ちた社会が形成されること。
(2)歴史、伝統及び文化が尊重され、県民が誇りを持てる魅力ある郷土が形成されること。
(3)自然を大切にし、循環型社会の形成その他の環境の保全に取り組むこと。
(4)青少年の健全育成のための環境づくりに取り組むこと。
(5)犯罪、事故その他迷惑な行為の防止に努め、平穏で快適に暮らすことができる安全安心な県づくりに取り組むこと。
(県の責務)
第3条 県は、基本理念にのっとり、快適社会づくりに関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、この条例の目的を達成するため、必要な関係条例の制定又は改正を行うとともに、これらを効果的に運用するものとする。
3 県は、快適社会づくりに関する施策について、県民、事業者及び市町村と相互に連携して取り組むよう努めるものとする。
(県民の責務)
第4条 県民は、基本理念にのっとり、主体的に快適社会づくりに努めなければならない。
2 県民は、県及び市町村が実施する快適社会づくりのための施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、地域社会を構成する一員として、その社会的責任及び役割を認識し、基本理念にのっとり、快適社会づくりに努めなければならない。
2 事業者は、前項の責務について、従業員に対し周知徹底を図るとともに、県及び市町村が実施する快適社会づくりのための施策に協力するよう努めなければならない。
(基本方針)
第6条 知事は、快適社会づくりの総合的かつ計画的な施策の実施に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
(快適な社会づくり推進会議)
第7条 県は、次に掲げる事項を調査審議するため、快適な社会づくり推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。
(1)基本方針の策定に関すること
(2)基本方針の実施の推進に関すること
(3)関係条例の制定又は改正に関すること
(4)前3号に掲げるもののほか、この条例の施行に関する重要な事項
第8条 推進会議は、会長及び委員25人以内で組織する。
2 会長は、知事をもって充てる。
3 委員は、次に掲げる者のうちから知事が委嘱し、又は任命する。
(1)県議会の議員
(2)市町村の長
(3)市町村議会の議長
(4)学識経験を有する者
(5)関係行政機関の職員
(6)前各号に掲げる者のほか、知事が必要と認める者
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。5 委員は、再任されることができる。
6 前各項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、推進会議で定める。
(広報啓発)
第9条 県は、快適社会づくりに関する県民及び事業者の関心と理解を深めるために必要な広報啓発を行うものとする。
(県民等に対する支援)
第10条 県は、県民及び事業者が行う快適社会づくりに関する自発的な取組を促進するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(市町村に対する支援等)
第11条 県は、市町村が行う快適社会づくりに関する施策の実施について、市町村に対し、必要な技術的な助言及び協力を行うものとする。
2 県は、県が実施する快適社会づくりの推進に関する施策について、市町村に対し、協力を求めることができる。
(委任)
第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、知事が定める。
付則
この条例は、平成20年4月1日から施行する。
しかしながら、近年、社会生活の場における規範意識の低下や欠如により、多くの県民が迷惑、不快と感じ、危険を覚える行動が増加し、平穏で快適な生活に支障が生じている。県民誰もが誇りに思える快適な郷土いばらきを構築するためには、私たち一人ひとりが率先して、いばらきの豊かな伝統と文化を尊重し、郷土を愛するとともに、道徳心や思いやり、公共の精神の大切さを自覚し、あらゆる場において社会生活の基本的なルールを遵守することが、きわめて重要である。
ここに、県民誰もが快適な生活を享受できるいばらきの社会づくりをめざし、すべての者が協働して取り組むことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、県民誰もが快適な生活を享受できるいばらきの社会づくりについて、基本理念並びに県、県民及び事業者それぞれの責務を明らかにするとともに、その施策の基本となる事項を定めることにより、県民、事業者及び市町村の主体的な取り組みを促進し、もって現在及び将来の快適な県民生活の創造に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 快適な生活を享受できるいばらきの社会づくり(以下「快適社会づくり」という。)は、次に掲げる事項を基本理念(以下「基本理念」という。)として行われなければならない。
(1)他人への思いやり及び互いに譲り合う精神に満ちた社会が形成されること。
(2)歴史、伝統及び文化が尊重され、県民が誇りを持てる魅力ある郷土が形成されること。
(3)自然を大切にし、循環型社会の形成その他の環境の保全に取り組むこと。
(4)青少年の健全育成のための環境づくりに取り組むこと。
(5)犯罪、事故その他迷惑な行為の防止に努め、平穏で快適に暮らすことができる安全安心な県づくりに取り組むこと。
(県の責務)
第3条 県は、基本理念にのっとり、快適社会づくりに関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、この条例の目的を達成するため、必要な関係条例の制定又は改正を行うとともに、これらを効果的に運用するものとする。
3 県は、快適社会づくりに関する施策について、県民、事業者及び市町村と相互に連携して取り組むよう努めるものとする。
(県民の責務)
第4条 県民は、基本理念にのっとり、主体的に快適社会づくりに努めなければならない。
2 県民は、県及び市町村が実施する快適社会づくりのための施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、地域社会を構成する一員として、その社会的責任及び役割を認識し、基本理念にのっとり、快適社会づくりに努めなければならない。
2 事業者は、前項の責務について、従業員に対し周知徹底を図るとともに、県及び市町村が実施する快適社会づくりのための施策に協力するよう努めなければならない。
(基本方針)
第6条 知事は、快適社会づくりの総合的かつ計画的な施策の実施に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
(快適な社会づくり推進会議)
第7条 県は、次に掲げる事項を調査審議するため、快適な社会づくり推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。
(1)基本方針の策定に関すること
(2)基本方針の実施の推進に関すること
(3)関係条例の制定又は改正に関すること
(4)前3号に掲げるもののほか、この条例の施行に関する重要な事項
第8条 推進会議は、会長及び委員25人以内で組織する。
2 会長は、知事をもって充てる。
3 委員は、次に掲げる者のうちから知事が委嘱し、又は任命する。
(1)県議会の議員
(2)市町村の長
(3)市町村議会の議長
(4)学識経験を有する者
(5)関係行政機関の職員
(6)前各号に掲げる者のほか、知事が必要と認める者
4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。5 委員は、再任されることができる。
6 前各項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、推進会議で定める。
(広報啓発)
第9条 県は、快適社会づくりに関する県民及び事業者の関心と理解を深めるために必要な広報啓発を行うものとする。
(県民等に対する支援)
第10条 県は、県民及び事業者が行う快適社会づくりに関する自発的な取組を促進するため、情報の提供その他必要な措置を講ずるものとする。
(市町村に対する支援等)
第11条 県は、市町村が行う快適社会づくりに関する施策の実施について、市町村に対し、必要な技術的な助言及び協力を行うものとする。
2 県は、県が実施する快適社会づくりの推進に関する施策について、市町村に対し、協力を求めることができる。
(委任)
第12条 この条例の施行に関し必要な事項は、知事が定める。
付則
この条例は、平成20年4月1日から施行する。
茨城県議会自民党(鶴岡正彦議員)代表質問(2007/3/5)
次に、公衆道徳の涵養への取り組みについて、知事に伺います。
国の世論調査で、少年非行が起きる社会風潮の最も大きな問題点として、社会全般の規範意識や公衆道徳、すなわちモラルの低下を挙げた人が6割近くに達しております。私は、これらが低下した大きな理由は、放任とも思われる個人主義思想の浸透ではないかと思います。
宗教家の山折哲雄氏は、公と私というときは混同すべからずという禁止のメッセージとなるが、公共と個人となると、その両者をどう調和させたらよいのかが難しい問題となる。しかし、戦後60年、個人、個性、個の自立を言い続けながら、その個の定義について具体的に問いかける努力をしてこなかったことが、「私」の中に閉じこもった個人主義の暴走を招いていると嘆いております。
自分の個を押し通せば、他の人の個を妨げることになります。社会のだれもが平等に尊重されるには、相手を思いやる心、みずからを抑制することが必要となってきます。すべての人が心やすらかに暮らせる健全な社会を築くためには、それは義務であり、これまでは公衆道徳、マナーとして人々の心に宿っておりました。しかし、今、ところかまわず他人に迷惑をかける、不快な思いを抱かせる行為が行われております。迷惑駐車やピンクチラシ、ごみや空き缶のポイ捨て、歩きたばこ、落書き、電車内での携帯電話など、目に余ることもしばしばであります。これまでは、マナー違反は犯罪ではなく個人の価値判断の問題であるとされ、公が介入する問題ではないとされてきたと思います。
私は、個人を追い続けた反面、公共の垣根を下げることにつながったのではないか、法に触れなければ何をやってもよいという風潮が間違った認識を増幅させたのではないかと思います。今や、個人に対しては、法や条例に裏打ちされたモラルが求められているのではないかと思うのであります。
既に、青少年のための環境整備条例、集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例、屋外広告物条例、さらには、卑猥な行為などを規制する公衆に著しく迷惑をかける行為の防止に関する条例など、関連する多くの条例があります。私は、これらを包含するような条例を制定すべきであり、それによって子供から大人まで、県民すべてのモラルの共通認識をつくり上げることができるのではないかと思います。
導入に当たっては、対象とするマナー、そして、何よりも県民の合意など、さまざまな課題はあると思いますが、モラル意識の向上に向けて、県は公衆道徳を涵養し、普及浸透させるためのモラル条例の整備に向け検討を行うべきと考えますが、御所見を伺うものであります。
国の世論調査で、少年非行が起きる社会風潮の最も大きな問題点として、社会全般の規範意識や公衆道徳、すなわちモラルの低下を挙げた人が6割近くに達しております。私は、これらが低下した大きな理由は、放任とも思われる個人主義思想の浸透ではないかと思います。
宗教家の山折哲雄氏は、公と私というときは混同すべからずという禁止のメッセージとなるが、公共と個人となると、その両者をどう調和させたらよいのかが難しい問題となる。しかし、戦後60年、個人、個性、個の自立を言い続けながら、その個の定義について具体的に問いかける努力をしてこなかったことが、「私」の中に閉じこもった個人主義の暴走を招いていると嘆いております。
自分の個を押し通せば、他の人の個を妨げることになります。社会のだれもが平等に尊重されるには、相手を思いやる心、みずからを抑制することが必要となってきます。すべての人が心やすらかに暮らせる健全な社会を築くためには、それは義務であり、これまでは公衆道徳、マナーとして人々の心に宿っておりました。しかし、今、ところかまわず他人に迷惑をかける、不快な思いを抱かせる行為が行われております。迷惑駐車やピンクチラシ、ごみや空き缶のポイ捨て、歩きたばこ、落書き、電車内での携帯電話など、目に余ることもしばしばであります。これまでは、マナー違反は犯罪ではなく個人の価値判断の問題であるとされ、公が介入する問題ではないとされてきたと思います。
私は、個人を追い続けた反面、公共の垣根を下げることにつながったのではないか、法に触れなければ何をやってもよいという風潮が間違った認識を増幅させたのではないかと思います。今や、個人に対しては、法や条例に裏打ちされたモラルが求められているのではないかと思うのであります。
既に、青少年のための環境整備条例、集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例、屋外広告物条例、さらには、卑猥な行為などを規制する公衆に著しく迷惑をかける行為の防止に関する条例など、関連する多くの条例があります。私は、これらを包含するような条例を制定すべきであり、それによって子供から大人まで、県民すべてのモラルの共通認識をつくり上げることができるのではないかと思います。
導入に当たっては、対象とするマナー、そして、何よりも県民の合意など、さまざまな課題はあると思いますが、モラル意識の向上に向けて、県は公衆道徳を涵養し、普及浸透させるためのモラル条例の整備に向け検討を行うべきと考えますが、御所見を伺うものであります。
橋本昌茨城県知事の答弁(2007/3/5)
次に、公衆道徳の涵養への取り組みについてであります。
議員御指摘のとおり、国民の多くがモラルの低下を強く感じているのではないかと考えております。私も、社会全般の規範意識やモラルの低下については、極めて憂慮しているところであり、これまでも、学校でのさわやかマナーアップ運動や、地域、家庭でのあいさつ声かけ運動、親も変われば子どもも変わる運動など、モラル向上の取り組みを実施しており、さらに来年度からは、全県立高等学校で道徳を必修とすることとしたところであります。
議員から、モラル条例を制定してはとの御提案をいただきましたが、私は、モラル条例は宣言条例としてはともかく、実効性のあるものにしていくには、包括的な条例では無理があるのではないかと考えております。また、モラルの種類によっては、県レベルでは対象地域が極めて広範にすぎ、監視や取り締まりのための人員の配置、経費をどうするかといった多くの課題がありますことから、市町村において、地域の実情を踏まえながら対応していくことがよいものもあるのではないかと考えております。
実際、他県の市町村では、たばこの吸いがらや空き缶のポイ捨て、チラシやごみを散乱させるなどの迷惑行為を規制する条例を制定し、路上喫煙など一部行為については罰則を設け、地域の環境保全や住民の安全確保に努めるところが増加しており、県内市町村でも、こうした動きが活発になってきているところであります。
いずれにいたしましても、モラル意識の向上に努めていくことが必要であることは議員御指摘のとおりであり、市町村と分担、協力しながら、条例で規制するだけでなく、教育の場なども通じて、しっかりと公衆道徳の涵養を図ってまいりたいと存じます。
議員御指摘のとおり、国民の多くがモラルの低下を強く感じているのではないかと考えております。私も、社会全般の規範意識やモラルの低下については、極めて憂慮しているところであり、これまでも、学校でのさわやかマナーアップ運動や、地域、家庭でのあいさつ声かけ運動、親も変われば子どもも変わる運動など、モラル向上の取り組みを実施しており、さらに来年度からは、全県立高等学校で道徳を必修とすることとしたところであります。
議員から、モラル条例を制定してはとの御提案をいただきましたが、私は、モラル条例は宣言条例としてはともかく、実効性のあるものにしていくには、包括的な条例では無理があるのではないかと考えております。また、モラルの種類によっては、県レベルでは対象地域が極めて広範にすぎ、監視や取り締まりのための人員の配置、経費をどうするかといった多くの課題がありますことから、市町村において、地域の実情を踏まえながら対応していくことがよいものもあるのではないかと考えております。
実際、他県の市町村では、たばこの吸いがらや空き缶のポイ捨て、チラシやごみを散乱させるなどの迷惑行為を規制する条例を制定し、路上喫煙など一部行為については罰則を設け、地域の環境保全や住民の安全確保に努めるところが増加しており、県内市町村でも、こうした動きが活発になってきているところであります。
いずれにいたしましても、モラル意識の向上に努めていくことが必要であることは議員御指摘のとおりであり、市町村と分担、協力しながら、条例で規制するだけでなく、教育の場なども通じて、しっかりと公衆道徳の涵養を図ってまいりたいと存じます。
注意しなければと思うのですが、トラブルに巻き込まれるのではと懸念して躊躇しています。
彼らは誰も見てはいないと思って、やっているのでしょうけど、周りは、ちゃんと見てますよ。
ただ、誰も、注意しないだけで・・・。
見て見ぬふりの大人達が悲しいです。
勇気のない自分にも悲しいです。