参考写真 最近、薬のテレビコマーシャルの中で、最後に「OTC薬品です」という言葉が流れるのを聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。
 この「OTC」とは“オーバー・ザ・カウンター”の略で、町の薬局のカウンター越しに買える市販薬のことをあらわしています。なぜそのようなことをわざわざいうのでしょう?
 調べてみると、「OTC薬品です」というメッセージが流れる薬はただの市販薬ではなく、スイッチOTCと呼ばれる転用薬のようで、「転用薬だからよく効きますよ」というニュアンスが言外に含まれているようです。転用薬(スイッチOTC)と市販薬の違いは何なのでしょう。
切れ味の良い薬“スイッチOTC”
 これまで市販薬は誰でも使えるように安全性が最も重視されたものになっていました。ということは効き目が弱いということでもあります。これに対して転用薬(スイッチOTC)は医療用として使われてきた医薬品の成分を市販薬に転用できるようにしたものです。それまでは医師の処方がなければ入手することができなかった薬の一部が、処方箋なしで薬屋で買えるようになったわけです。もちろん転用が認可された医薬品は数あるものの中の一部で、薬効・安全性がきちんと評価されてきたものに限られますが、“切れ味のよい薬”が簡単に買えるようになったというのは大きな変化です。
セルフメディケーションという考え方
 市販薬の役割は、医者にかかるほどではない軽い症状を改善することです。たとえば風邪の引きはじめとか食べ過ぎなどで、いちいち病院に行っていては時間もお金ももったいないという場合に、市販薬を買って済ませてしまおうというのはよくあることです。このように自分で治すことをセルフメディケーションというのですが、スイッチOTCの増加は、これまでより効き目のある薬を薬局で買えるようにして、自分で治療することのできるものは自分で治せるようにしようという流れにそったもののように思われます。
使用するときは薬剤師によく相談して
 スイッチOTCとして承認された薬品は95品目にのぼります。主なものとしては水虫薬の成分「硝酸スルコナゾール」や外皮用消炎・鎮痛薬の成分「フェルビナク」、解熱鎮痛剤の成分「イブプロフェン」など、おなじみのものも多くあります。製品名とは異なりますが、CMなどで成分名を聞いたことのある方も多いでしょう。
 スイッチOTCは以前は医師の処方が必要とされたような成分が入っているわけですから、効き目が強いのですが、それだけに使い方を間違えると副作用などのリスクも考えられます。
 購入するときは薬剤師のいるお店でご自分の症状、服用時に注意すること、副作用の注意などをよく相談することが大切です。
参考:薬局の薬・OTC薬の豆知識