震災の教訓(中)「救える命へ急げ」
朝日新聞(2008/1/16)
 災害直後に日本中から現場に向かい、命を救う災害派遣医療チーム「日本DMAT」(ディーマット)が2007年7月、新潟県中越沖地震で初出動した。95年の阪神大震災では医療の手が回らず、500人程度が平時なら助かっていた可能性が高いとみられている。13年たった今、ようやく「防ぎ得た死ゼロ」を目指して第一歩を踏み出した。

参考写真 「日本DMAT」(ディーマット)は、アメリカの「Disaster Medical Assistance Team」制度を手本に、阪神大震災の教訓を受けて、2005年にスタートしました。国の認定のもと、災害医療の訓練を受けた医師や看護師など5人一組のチームです。全国に約2000人の隊員がおり、404のチームが結成されています(2008/1/15現在)。
 茨城県には11チームのDMATが編成されています。県の運営要綱が策定され、今後、DMAT指定医療機関が指定されることになります。
 DMATの主な任務は、1.現場活動(倒壊した建物の下などの災害現場での医療活動、トリアージなど)、2.域内搬送(災害地内での患者搬送および搬送中の治療)、3.広域搬送(ヘリや飛行機を使った重症患者の被災外への搬送)、4.病院支援(多くの傷病者が来院している病院でのトリアージおよび診療の支援)、などです。
 一刻を争う災害医療の現場では、いかに早く現場に到着して治療を開始するかが大きな課題となります。中越沖地震の際は、地震発生後わずか20分で全国の隊員に厚生労働省から出動待機の要請メールが発信されました。しかし、新潟県が近隣各県に派遣の要請を出したのは、4時間後になっていました。千葉県北総病院では、初めてドクターヘリを災害現場に派遣しましたが、昨年夏に井手よしひろ県議らが視察した際、「要請を待たずに自主的な判断で出動した」と担当医は語っていました。
 DMATの質量ともの充実と活動を円滑に行うための環境整備とが必要です。
(写真は、日本DMATのパンフレットより転載させていただきました)
参考:日本DMATのホームページ