「暫定税率廃止」に地方から怒りの声
1月23日、政府は道路特定財源となる揮発油(ガソリン)税の暫定税率維持を柱とする国税関連の税制改正法案を国会提出しました。これに対し、民主党は暫定税率廃止を狙って、運動を強めています。
同じ日、暫定税率維持をめざして都内に全国から450人余りの都道府県議会議員が集い、暫定税率の維持を求める総決起大会が開かれました。市長や議員、家庭の主婦などから切実な訴えがなされ、「廃止」に怒りの声が上がりました。
茨城県議会では民主党も賛成し、暫定税率撤廃に反対の意見書を可決
昨年(2007年)の12月議会では、34府県で暫定税率維持を求める意見書などが採択されていおり、地方の声は「暫定税率を維持して、地方の道路を充実させるべき」との意見でまとまっています。12月の茨城県議会でも、民主党県議も賛成の上、も含めて暫定税率の維持を求める意見書を可決しています。
地方にとって、道路は災害時や救急医療時の“命の道”であり、住民の足である自動車を走らせる上で欠かせない生活必需施設でもあります。冬季の除雪費用の一部や、なだれ予防対策、都市部の交通渋滞解消や開かずの踏切対策にも、道路財源は活用されています。
万一、暫定税率が廃止されると、道路特定財源の税収は国と地方合わせ2008年度試算で約2兆6000億円減少します。総務省の試算では、地方の税収減は9064億円に上ることになります。都道府県別では北海道が578億円と最も多く、次いで愛知県、東京都と続き、最も少ない鳥取県も52億円減少することになります。道路財源は地方ほど手厚いため、減収の影響も地方ほど影響が大きくなります。
さらに、暫定税率が廃止されると、同税率分を原資とする7000億円の地方道路整備臨時交付金もなくなります。加えて、国庫補助金や地方債発行も道路事業の予算規模に対応して減少。道路整備予算全体としてみれば、暫定税率による税収減の数倍の減少となることが懸念されます。
茨城県の場合、暫定税率の撤廃で約380億円の財源が無くなることになります。平成19年度の道路関係予算1030億円は、建設分(新規の道路整備)に520億円、維持分(道路や橋梁・トンネルなどの維持管理)に110億円、公債費(道路整備に使った借金の返済)に400億円と分類されます。暫定税率が撤廃されると、維持分と公債費はほとんど削減できないので、新たな道路の整備を行うための予算は520億円から140億円程度に、一挙に4分の1に激減することになります。これでは、生活関連道路も含めて、県内の道路整備はまったくできない状態になってしまうことになります。
福祉、教育予算にもシワ寄せ
こうした税収減の影響について、1月22日の衆院本会議で公明党の太田昭宏代表の質問に答えて増田寛也総務相は「住民の日常生活に重大な影響が生じることが懸念される」と述べ、福田康夫首相も「福祉、教育など住民サービスの見直しにつながる恐れがある」と重大な危機感を示しました。
暫定税率撤廃を巡る議論は、民主党の中でも統一されたものではありません。民主党執行部の暫定税率撤廃の主張に、何ら具体的な財源の根拠がないことがその原因です。地方の道路整備の遅れを危惧するまじめな民主党議員は、民主党執行部の方針に、一歩身を引いているのが現実です。
選挙の勝つための空手形との批判を、しっかりとした財源まで示し、地方の道路整備の財源を確保することを補償しない限り、民主党のジレンマは続きます。
暫定税率は撤廃する、高速道を無料にする、この費用だけでも4兆円を超えます。そのお金をどこから捻出するのか、考えを聞きたいものです。
1月23日、政府は道路特定財源となる揮発油(ガソリン)税の暫定税率維持を柱とする国税関連の税制改正法案を国会提出しました。これに対し、民主党は暫定税率廃止を狙って、運動を強めています。
同じ日、暫定税率維持をめざして都内に全国から450人余りの都道府県議会議員が集い、暫定税率の維持を求める総決起大会が開かれました。市長や議員、家庭の主婦などから切実な訴えがなされ、「廃止」に怒りの声が上がりました。
茨城県議会では民主党も賛成し、暫定税率撤廃に反対の意見書を可決
昨年(2007年)の12月議会では、34府県で暫定税率維持を求める意見書などが採択されていおり、地方の声は「暫定税率を維持して、地方の道路を充実させるべき」との意見でまとまっています。12月の茨城県議会でも、民主党県議も賛成の上、も含めて暫定税率の維持を求める意見書を可決しています。
地方にとって、道路は災害時や救急医療時の“命の道”であり、住民の足である自動車を走らせる上で欠かせない生活必需施設でもあります。冬季の除雪費用の一部や、なだれ予防対策、都市部の交通渋滞解消や開かずの踏切対策にも、道路財源は活用されています。

さらに、暫定税率が廃止されると、同税率分を原資とする7000億円の地方道路整備臨時交付金もなくなります。加えて、国庫補助金や地方債発行も道路事業の予算規模に対応して減少。道路整備予算全体としてみれば、暫定税率による税収減の数倍の減少となることが懸念されます。
茨城県の場合、暫定税率の撤廃で約380億円の財源が無くなることになります。平成19年度の道路関係予算1030億円は、建設分(新規の道路整備)に520億円、維持分(道路や橋梁・トンネルなどの維持管理)に110億円、公債費(道路整備に使った借金の返済)に400億円と分類されます。暫定税率が撤廃されると、維持分と公債費はほとんど削減できないので、新たな道路の整備を行うための予算は520億円から140億円程度に、一挙に4分の1に激減することになります。これでは、生活関連道路も含めて、県内の道路整備はまったくできない状態になってしまうことになります。
福祉、教育予算にもシワ寄せ
こうした税収減の影響について、1月22日の衆院本会議で公明党の太田昭宏代表の質問に答えて増田寛也総務相は「住民の日常生活に重大な影響が生じることが懸念される」と述べ、福田康夫首相も「福祉、教育など住民サービスの見直しにつながる恐れがある」と重大な危機感を示しました。
民主、ガソリン「造反」に苦慮
産経新聞(2008/1/23)
都道府県議らが23日に開いた「道路特定財源堅持を求める総決起大会」には、民主党から参院議員の大江康弘、渡辺秀央、山下八洲夫の3氏が参加し、民主党の暫定税率廃止、道路財源の一般財源化の方針に反対の態度を表明した。暫定税率維持を含む歳入関連法案の参院採決で造反が出る可能性が浮き彫りになり、民主党執行部は党の方針への同調を促す構えだが、対応に苦慮しそうだ。
「わが党の案はむちゃくちゃだ。このまま選択肢がなければ政府案に(賛成の)意思表示をさせていただくことになる。可決されないと意味がないから、(同調する)人数を確保しないといけない」
大江氏は、総決起大会後、記者団に「造反宣言」を行った。大江氏は民主党の道路特定財源に関する小委員会の座長で、昨年末、同党が税制改革大綱で一般財源化と暫定税率廃止を盛り込んだときも反発していた。
渡辺氏も同日、国会内で民主党の暫定税率廃止案を「絵に描いたモチだ。党税制調査会がまとめた自治体への財源手当は、重箱の隅(すみ)をつつくようなもので到底足りない」と批判した。
大会には、渡部恒三最高顧問ら民主党議員7人が招待されたが4人は出席を避けた。大江氏らに対しては、民主党内からは「自民党と同じ道路族議員だ。一般財源化こそ改革じゃないか。ガソリン値下げのどこが悪い」(衆院若手)との反発が出ている。
だが、「暫定税率の廃止で、道路事業費が減るのを危ぶむ自治体関係者の意向をまったく無視するわけにいかない」(参院若手)と苦慮する議員もいる。23日の参院議員総会でも「財源を自信を持って説明できるようにしてほしい」「執行部は地方に出向いて説明すべきだ」との要望が出た。執行部の対応が遅れれば、党内が混乱する可能性もある。
暫定税率撤廃を巡る議論は、民主党の中でも統一されたものではありません。民主党執行部の暫定税率撤廃の主張に、何ら具体的な財源の根拠がないことがその原因です。地方の道路整備の遅れを危惧するまじめな民主党議員は、民主党執行部の方針に、一歩身を引いているのが現実です。
選挙の勝つための空手形との批判を、しっかりとした財源まで示し、地方の道路整備の財源を確保することを補償しない限り、民主党のジレンマは続きます。
暫定税率は撤廃する、高速道を無料にする、この費用だけでも4兆円を超えます。そのお金をどこから捻出するのか、考えを聞きたいものです。