1月21日、橋本昌茨城県知事は、定例の記者会見で「道路特定財源の暫定税率」が廃止された場合の影響について、記者の質問に答えました。
 それによると、茨城県としては、暫定税率が廃止されると直接的には約200億円の税収減になります。これ以外に、国からの補助金が道路財源を原資にしていることや、国の直轄事業、例えば圏央道などもこの道路財源をもとに行われているなど、他にも大きな影響が出てくると懸念されています。
参考写真 民主党は、直轄事業負担金を廃止すればいいと主張していますが、そうすると、直轄事業の進捗割合が極端に悪くなります。直轄事業負担金は1兆1,000億円程度であり、今回の廃止による減収は、国と地方合わせて約2兆7,000億円近くになるわけですから、公共事業の整備は極端に遅れていくことになります。
 直接年間200億円の減収となるだけではなく、そのほかに補助金等を加味すると、全体として茨城県への影響額としては、平成19年度の当初予算で見て378億円ぐらいに達します。
 例えば、平成19年度の場合、道路の建設費とか維持補修費に約632億円ほど使っており、そのほかに公債費(過去の道路建設の借金)があって、全部で1,030億円になっています。公債費と維持補修費は、削減が困難と思われますので、道路の建設等に充てる財源は、平成19年ですと518億円ありましたが、それが約378億円減ると、残り140億円ぐらいになってしまいます。4分の1ぐらいに減ってしまうということです。そういうことになると事業期間がかなり延びてしまう。今のスピードよりは極端に遅くなることになります。
 橋本知事は、こうした状況を避けるためにも、「何とかこの暫定税率を今後も維持してもらえるように期待をしているところであります。全国知事会としても、道路特定財源の暫定税率を確保するため『道路特定財源確保緊急対策本部』(2008/1/21設置)を設けたところであり、私も副本部長になっているものですから、国に対して、暫定税率が維持できるよう、一生懸命働きかけていきたいと思っております」と語りました。
県が暫定税率が廃止された場合の影響をとりまとめ
 県は、財源激減の影響は、道路事業にさまざまな形で現れると予測しています。国直轄事業の圏央道は2012年度中の開通見通しが、5〜10年以上遅れ、目下、都市計画決定へ向けて作業中の東関道水戸線(潮来〜鉾田間)は事業着手が、困難になるとしています。
 現在、整備中の国道6号日立バイパス、千代田石岡バイパス、牛久土浦バイパスについても6割相当の個所で延伸・拡幅工事が進まず、渋滞解消などバイパスとしての役割を果たさなくなるとしています。
 さらに、県道などでも7割以上の工事を休止せざるを得ず、危険個所の解消や通学路の整備、橋梁(きょうりょう)の耐震化などに大きな遅れとなります。
 また、市町村の道路整備にも深刻な影響が出ます。県によると、暫定税率が廃止された場合の税収減は、県(平成19年度予算ベース)が200億円、市町村全体(18年度決算ベース)で111億円です。総務省が先ごろ行った平成19年度の地方財政計画に基づく最新の試算では、県と市町村合わせて294四億円と見通しています。市町村別で税収減額の最も大きいのはつくば市の7億7000万円減で、水戸市が6億6000万円減、日立市が4億6000万円減、古河市が4億5000万円減ときな影響を受けます。
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