空床情報提供システムの確立が最大の課題
 昨年11月から12月にかけて、公明党の救急医療対策推進本部は、全国の二次救急病院の実態調査を行いました。井手よしひろ県議も、茨城県医師会、国立病院機構水戸医療センター、日製日立総合病院、愛宣会秦病院など地域医療の拠点病院の院長先生から、様々なご意見を直接伺いました。
 この程、全国集計の結果がまとまり、1月28日に公表されました。調査対象となったのは各都道府県から任意に選んだ計1140の2次救急病院と都道府県・政令市の関係団体(医師会、看護協会、助産師会、消防本部)202団体です。
 その結果によると、救急医療に対応する勤務医などスタッフの勤務ローテーションについて、27.4%が「極めて厳しい」、57.0%が「厳しい」と回答。8割以上の病院が救急スタッフに過酷な勤務を課している現状が明らかになりました。また、救急医療が病院経営にとって「重荷である」と答えた病院は66.0%にも上りました。
 ヒアリング調査では、「夜間救急の多くが軽症の小児といわれており、2次・3次救急医療を担う病院勤務医の過重労働の一因となっている」「小児科・産科などの夜間救急診療ができない医療機関が多く、現場で搬送医療機関の選定に苦慮し、遠隔地への搬送を余儀なくされている」などの声が寄せられました。
 救急医療現場の過酷さとともに深刻なのは、一刻を争う救急医療にとって重要な、空床情報を消防機関に提供するシステムが整っていないことです。調査では情報提供システムが「ない」が36.3%に上り、導入を予定しているところも1.9%にとどまっています。
 こうした現状は、消防本部の救急医療情報システムが十分に機能していない問題につながっています。総務省消防庁の17日のまとめによると、救急医療情報システムを備える43都道府県の745消防本部のうち、約53%の394本部がこのシステムを利用していないことが分かりました。
 利用されない主な理由は、病院側が情報の更新を頻繁に行っておらず、「リアルタイムの情報でない」ためです。消防庁によると、空きベッドや当直医などの情報の更新回数は、多くの病院で朝、夕の2回程度しかありません。
 病院が空床情報提供システムを整えられない、整えても頻繁に更新できない理由は、スタッフ不足が大きな原因です。しかし、救急患者の“たらい回し”を防ぐには、早急にシステムを整備し、消防機関と医療機関の連携を密接にしていくことが何よりも重要です。