不正引き出し、ネット取引も被害補償・金融機関が自主ルール
日本経済新聞(2008/2/7)
 インターネットを使って振り込みなどができる「インターネットバンキング」で預金を不正に引き出される被害が増えていることを受け、大手銀行などが被害額を原則として補償することになった。ネット取引の被害は預金者保護法の対象外で、現在は補償されない場合が多い。預金者に過失があれば補償は一部にとどまるが、金融機関の責任は大幅に重くなる。
 全国銀行協会が補償基準を定めた自主ルールを策定。2月19日に正式決定して会員銀行に通知する。三井住友銀行やみずほ銀行、三菱東京UFJ銀行など各行は約款を改定して補償に応じる見通しだ。全銀協非加盟の信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、ゆうちょ銀行などにも金融庁が約款の改定を要請する。
 自主ルールではネット取引の預金者が過失なく被害に遭った場合には引き出された全額を補償する。IT(情報技術)や犯罪の手口は日々変化しているため、どういった場合にどの程度補償するかは規定せず、預金者と金融機関が個別に話し合う。

公明党:盗難通帳、ネット不正引き出しへの被害補償の徹底を要望
参考写真 2月13日、公明党の財政・金融部会(石井啓一部会長=衆院議員・茨城県本部代表)と金融問題調査会(上田勇委員長=衆院議員)は、参院議員会館で、全国銀行協会(全銀協)の奥正之会長あてに、不正預金引き出しなどへの対応に関する申し入れを行いました。全銀協の和田耕志理事(事務局長)らが応対しました。
 公明党は、全銀協が先ごろ、預金者保護法の対象外となっている盗難通帳やインターネットバンキングによる不正引き出しなどの被害について、原則補償するとの「申し合わせ」を行うとしたことを評価する一方、法的拘束力のない業界ルールで実効性が担保されるか懸念もあると指摘。その上で、「申し合わせ」による対応が預金者保護法の趣旨に沿って適切に実施されるよう、(1)各銀行の運行実態の情報公開と法改正も含めた再検討(2)過去の被害に対する補償(3)偽造、盗難キャッシュカード被害の救済範囲(4)銀行と捜査機関との連携強化――などの項目について要望しました。
 これに対し、全銀協の和田理事は、「しっかりと持ち帰って検討する」と答えました。