2月14日、消防庁は「消防機関と医療機関の連携に関する作業部会」で、全国の消防本部を通じ、救急医療機関が情報を更新する頻度などについて調査した結果を公表しました。
 それによると、全国44都道府県で稼働している医療機関が空きベッド情報などをオンラインで消防本部に伝える「救急医療情報システム」で、情報をリアルタイムで更新している医療機関は全体の約1割に止まっていました。平成20年2月1日現在でシステムに参加している救急医療機関は全体の89%に当たる4358施設。このうち、情報更新をリアルタイムで行っているのは全体の11%です。取り組みが進む東京都を除くと、リアルタイム更新を行っているのはわずか4%でした。「1日2回」(31%)、「1日1回」(29%)が多数を占めた一方で、25%の医療機関では更新頻度が1日1回未満でした。
参考写真 茨城県の「救急医療情報システム」の更新も1日2回で、大きな問題となっている実態が明らかになっています(「救急医療情報コントロールセンターを実地調査」2007年12月18日掲載)。特に、県都水戸を中心とする水戸医療圏でのメディカルコントロール体制充実は喫緊の課題となっており、厚労省の補助金制度などを活用した再整備が強く望まれます。
救急病院検索、「使えない」と消防の53%が活用せず
読売新聞(2008/2/14)
 救急隊員が患者搬送時に病院の受け入れ態勢を検索するための「救急医療情報システム」を備えている44都道府県757消防本部のうち、53・2%に当たる403本部でほぼ活用されていないことが、総務省消防庁のまとめで分かった。
 情報を即時更新する医療機関が少ないことが一因。厚生労働省は2008年度、医療機関側に情報の更新を促す表示などができるようにするシステム改修の補助事業を実施する。
 消防庁のまとめによると、同システムを「全く利用していない」が23・9%、「ほとんど利用していない」が29・3%で、合わせて半数を超えた。
 利用しない理由で最も多かったのは「リアルタイムの情報でない・情報の信頼性が低い」という回答で、104本部あった。一方、情報更新が1日1、2回だけの医療機関は6割を占めた。消防庁は医療機関側の人手不足などが原因とみている。
 同システムは、医療機関側が入力した手術の可否や空きベッドの有無などの情報を、消防本部の端末装置で確認出来る仕組み。国の補助事業とした1977年以降に普及した。
 昨年12月、大阪府富田林市で89歳の女性が府内の複数の病院に受け入れを断られ死亡したケースでは、市消防本部は当初、同システムを利用。「受け入れ可能」の16病院に連絡を取ったが、満床などを理由に受け入れを拒否されていた。

救急医療情報システム 県内は「2回以上」8割
茨城新聞(2008/02/15)
 救急医療情報システムの入力について、県内では「一日二回」が六割を超えて最も多く、県が求めている一日二回以上の入力をしていたのは八割近くに上った。ただ、消防関係者からはシステムについての不満も寄せられており、県は来年度、システムの使い勝手を高めていく考えだ。
 県医療対策課によると、調査は二次救急病院に指定されている県内六十五病院のうち五十三病院が回答した。その結果、入力回数は「二回」が三十三病院(62・3%)で最多。「一回」が八病院(15・1%)、「三回」が五病院(9・4%)、「四回」が二病院(3・8%)で、「ゼロ回」も三病院(5・7%)あった。一−三回と不確実なところも二病院あった。
 県内二十六の消防本部のうち、昨秋の調査でシステムを「全く利用していない」「ほとんど利用していない」と回答したのは五本部にとどまり、八割以上が利用してると答えている。
 ただ、リアルタイムの情報が分からないため、病院の状況を電話で確認したり、一週間分の医師の当直予定を送ってもらうなど「各本部の“工夫”で乗り切っている」(県消防防災課)のが実態という。
 県は来年度、システムの改善に着手し入力回数の増加や、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)に特化したシステムの構築を考えており、病院側が入力しやすく消防側が使いやすい「使えるシステムづくり」を目指す。