道路財源で整備の地下駐車場ガラガラ 天下り法人運営
朝日新聞(2008/02/14)
国土交通省が道路特定財源を使って全国14カ所の国道の地下に整備した駐車場の多くで、駐車スペース1台分の年間収入が20万円程度だったり、1日のうち1時間20分しか使われていなかったりと、利用が低迷していることがわかった。約995億円の国費で整備後、同省の天下り先でもある所管公益法人が管理・運営を担っている。「民間では考えられない低い収益率」との指摘もあり、道路整備を本来の目的とした特定財源の使い道として批判を呼びそうだ。
国道の地下駐車場は、国交省が97〜03年にかけ中心市街地の路上駐車の解消や渋滞緩和を目的に整備。建設費は道路特定財源で賄われている。
国が用意したスペースに財団法人・駐車場整備推進機構(東京)が駐車用機械などを設置。管理・運営を一手に担う。1時間200〜600円で、駐車可能台数は計2495台。
同省によると、06年度の事業収入は計約12億7000万円で、総利用台数は約185万8000台。駐車スペース1台分あたりの年間収入でみると、東京都八王子市の八日町夢街道パーキングが約16万円、三重県四日市市の四日市地下駐車場が約20万円、名古屋市の大曽根国道駐車場が約21万円と、特に低迷。東京、大阪の2カ所以外は100万円を大きく下回っていた。「八日町」の収入は1日にすれば約400円で、1時間20分しか駐車されていないことになる。
1台分のスペースの1日の利用台数を示す回転率も「八日町」が0.79台、横浜市の羽衣・伊勢佐木地下駐車場が0.81台など、7カ所が平均2台も止まっていなかった。大手駐車場運営会社は「いくら地方都市でも1台分の収入が年20万円では話にならない。税金で整備したからこそ成り立つ『お上の仕事』だ」と指摘する。
同機構は、国道の地下駐車場の整備に合わせ93年に設立。常勤役員4人は同省と警察庁からの天下りで、鈴木道雄理事長は建設事務次官、日本道路公団総裁を歴任している。
〈国土交通省道路交通安全対策室の話〉 民間駐車場の経営を圧迫しないためにも利益を目的としない公益法人が管理・運営にあたる必要があった。渋滞解消などの効果は数量的にとらえにくく、995億円の税金投入に見合うか批判もあるかもしれない。しかし、回転率は平均で2.0台あり、一定の効果は上がっている。
2月18日、衆議院の予算特別委員会では、民主党の前原誠司副代表が、この駐車場整備推進機構を取り上げました。答弁に立った冬柴鉄三国土交通相は、「いろいろと複雑な問題はあるが、民間でできないということではない。競争条件を定めて民間でやれないか検討したい」と述べ、民営化を含めた組織見直しを検討する考えを表明しました。
実は、この駐車場整備推進機構が運営する駐車場が茨城県内にもあります。県都水戸市の目抜き通り、国道50号線の地下に設置された泉町駐車場がそれです。
参考:泉町駐車場のホームページ
井手よしひろ県議は、18日午後、泉町駐車場を視察。現状を直接確かめてきました。この駐車場は、地下2階建てで収容台数は200台です。調査時には約23台の車両が止まっていました。水戸市に繁華街のど真ん中の立地にしては、すいているような気がします。30分150円の駐車料金は、決して周辺の駐車料金と比べて高いわけではないのですが、地上に出るために階段を使わなくてはならないという不便さがあります。
また、駐車場への進入や退出が一方通行(大工町から水戸駅方向からしか入場、退場ができない)であることも不人気の理由です。
やはり、不便な駐車場を使う人はいなくなってしまいます。泉町駐車場の収支は、現在問い合わせ中ですが、芳しいものではないような気がします。
一刻も早い効率的な経営への移行が望まれる物件です。