民主「ガソリン値下げ隊」が水戸の駐車場視察
産経新聞(2008.2.21)
 民主党の「ガソリン値下げ隊」のメンバーが20日、水戸市泉町の「泉町駐車場」(200台収容)を視察した。同駐車場は道路特定財源を含む国費約69億円を投じて整備されたが、地下2階部分には空車が目立ち、メンバーらは「これ以上の無駄遣いはない」(渡部恒三・党最高顧問)と感想を話していた。
 同駐車場は平成9年12月に開業。財団法人「駐車場整備推進機構」(理事長・鈴木道雄元建設事務次官)の直営。
 この日は渡部氏、岡田克也副代表ら同党衆院議員6人が視察。地下1階部分は駐車が目立ったが、地下2階部分はガラガラの状態で、渡部氏は「私は40年近く国会議員をやっているが、道路特定財源が駐車場建設に使われているなんて初めて知った。まるで『幽霊駐車場』だ」とあきれていた。

「無駄遣い」の一言で片付ける民主党幹部の軽薄さ
参考写真 2月20日、衆院予算委員会の地方公聴会に参加する民主党のメンバーが、財団法人「駐車場整備推進機構」が運営する水戸泉町駐車場を視察しました。
 民主党の最高顧問ともあろう渡部恒三氏の「私は40年近く国会議員をやっているが、道路特定財源が駐車場建設に使われているなんて初めて知った」とのことばには呆れてものが言えません。勉強不足も甚だしいことです。
 水戸市泉町の国道50号地下に、旧建設省関東地方建設局が建設した「泉町駐車場」と横断地下道が完成したのは、1997年12月。慢性的な道路渋滞と駐車場不足に悩まされた水戸市の中心市街地にとっては、地域活性化の“起爆剤”になるものと期待されてのオープンでした。
 当時、建設省が進めてきた地下駐車場は、青森、名古屋、三重県四日市の各市で建設され、水戸が4番目。大規模小売店が集中している大工町から水戸駅までの路上駐車の解消や駐車需要の増加に対応するため、約60億円をかけて1995年末から工事が進められていました。
 駐車場は長さ約264メートル、幅約20メートル、高さ約10メートルの鉄筋コンクリート地下2階で延べ約1万平方メートル。200台が収容可能で、高齢者や身体障害者への配慮から、エレベーター2基が横断地下道に接続されています。営業時間は午前7時から午後10時で、料金は30分150円、全日利用で月額2万円などとなっています。
 開業した97年度以降、年間の利用台数は増加を続けました。2002年度には19万5000台を上回り、一日当たり549台が利用しました。
 しかし、この02年度をピークに利用台数は減少に転じました。04年度は15万3000台、一日平均で419台まで落ち込みました。直近の数値は把握していませんが、下落傾向に歯止めは掛かっていません。
 利用客が減少した大きな要因は、中心市街地それ自体の地盤沈下にあります。ボンベルタ伊勢甚水戸店の閉店と周辺地域への相次ぐ大型スーパー出店が挙げられます。
 事実、ボンベルタ伊勢甚閉店の前後を比較すれば、03年度は02年度より2万3000台も利用台数が減少。05年春のJR赤塚駅南口前への大型スーパー開店の前後2カ月でも700台以上減少しました。06年にボンベルタ伊勢甚跡に京成百貨店が移転オープンしましたが、駐車台数の増加には結びついていません。
 加えて、周辺商店が店じまいした後に跡地を駐車場にするケースが少なくなく、駐車場が少ない地域から一転して「駐車場激戦地になった」ことも減少傾向に拍車をかけています。
 「これ以上の無駄遣いはない」と切って捨てる渡部議員のことばに、地元の悩みに共感する温かみは聞こえません。建設当時、地域の商店街や行政は、まさに起死回生の施設としてこの駐車場を誘致しました。中心市街地の没落と共に、この駐車場の利用率は低迷しています。こうした地方の構造的な問題を考慮せずに、短絡的な道路特定財源の無駄遣いとすることには、違和感を感ずるのは私一人ではないと思います。
 道路特定財源がこうした地下駐車場に使われていたことを、国会議員までが知らない。こうした議員が最高顧問を務める政党が道路特定財源の見直しを叫ぶ。地方議員の一人として、ため息が出る思いがあります。
参考:効率的経営が望まれる「駐車場整備推進機構」