学校裏サイト38000件 いじめ温床を文科省初調査
朝日新聞(2008/3/14)
 児童・生徒のひぼう・中傷が書き込まれるケースがある「学校裏サイト」と呼ばれるインターネット上の掲示板が、全国で少なくとも3万8000件に上ることが14日、文部科学省による初めての調査で判明した。東京都内で同日午後開かれる有害情報に関するフォーラムで公表される。
 九州地方を対象とした分は未集計で、最終的なサイト数はさらに増える見通し。同省は調査に当たり件数を1万5000〜2万程度とみていたため、「予想以上に多い」(青少年課)と分析している。
 調査に当たっては、学校管理者が開いた公式サイトとは別に、中高生が学校の話題などを書き込むことを想定した公開型の掲示板などを「学校裏サイト」と定義。民間に委託し、ポータルサイトから検索するなどして調べた。
 学校裏サイトは「ネットいじめ」の温床とも指摘され、学校現場でも問題視する声が高まっている。同省のいじめ調査では、ブログや掲示板でひぼう・中傷を受けた例や、顔写真とアダルト画像を組み合わせたものを勝手に掲載されたケースもあった。
 3月14日、文部科学省は都道府県の青少年行政の担当者などを集めて「ネット安全安心全国推進フォーラム」で開催し、いじめの温床になっているとして社会問題化しているインターネット上の「学校裏サイト」にかんする実態調査結果を公表しました。それによると、集計がまとまった39都道府県だけで約3万8000件が開設されていることがわかりました。その内、少なくとも2割で、「ウザイ」(うっとうしい)「氏ね」(死ね)といった特定の個人を中傷・批判する内容が確認されたといいます。
 学校裏サイトを通じた中傷やいじめは2006年ごろから目立ち始め、その年の秋には、仙台市内の中学3年の男子生徒が「この世から消えろ」などと中傷されて不登校になり、書き込んだ生徒2人が家裁に送致されました。昨年(07年)7月に神戸市の高校3年の男子生徒が自殺したケースでは、サイト上に裸の写真や悪口が投稿されており、問題化しました。
 こうした状況を受けて、文科省は今年1月から民間の調査会社とNPO(非営利組織)に委託して実態調査を開始しました。裏サイトを紹介している「全国学校サイトRANK」や、ネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」から探し出したり、中高生から直接聞き取ったりする方法で集計した結果、九州と沖縄を除く39都道府県で、学校裏サイトが約3万8000件あるとしています。
 この中の2〜3割で、「キモイ」(気持ち悪い)「消えろ」「学校来るな」などと特定の子供を攻撃する書き込みや、「顔デカイ」「ブス」「チビ」などと容姿を中傷する文言が見つかりました。
 今後文科省は、群馬、兵庫、静岡の学校裏サイトをサンプルとして、書き込み内容をさらに詳しく分析し、教育委員会やPTAに実態を周知する計画です。