日立市の女性大学受講生メンバーによる「まちづくりについての提言」発表会が、2月22日に開催されました。女性大学は昨年の7月に開講され、市民参加のまちづくりについて、月2回の講義を受けながら、7ヶ月学びました。グループ毎にテーマを選び、まちづくりについての提言を行って修了となります。
 今回の発表のテーマは、「ペットと共生出来るまちづくり」、「身近な環境を見つめなおそう」、「文化施設構想」、「みんなが集まるまちづくり」の4つでした。
 ここでは、私の家内が係わった「ペットと共生出来るまちづくり」について、資料を転載させていただきます。

  1. 私達は犬達と供に、介護施設を訪問し、アニマルセラピーのボランティア活動をしています。
  2. 毎月、私達の訪問を楽しみに待っていてくれる、施設の皆さんの笑顔に出会うたび、犬の持っている、癒しや優しさを実感します。
  3. 犬たちも、自分の役目がわかっているのか、一生懸命頑張ります。愛犬とともに充実感を共有する幸せな時間です。
  4. 反対にこんな犬たちもいます。この写真は数日後に処分される犬たちです。
  5. 中には、首輪をしている犬もいます。人間の身勝手によって、毎日多くの犬たちが処分されています。
  6. 処分される犬の数を、茨城県とほぼ同じ人口の県や近県と比較してみました。処分数を見てみると、茨城県は一年間に12,710頭と多く、全国平均の7743頭を、大きく上回っています。また、犬の予防接種の接種率も茨城県は70%と低く、飼い主の意識の低さが表れています。しかも、これは登録頭数に対しての%で、未登録の犬も、かなり多く存在していると思われます。
  7. 日立市の犬の新規登録数を調べててみると、近年のペットブームを反映し、年々増加の一途をたどっています。このような状況を見ても、日立市は動物・ペットに対しての取り組みをもっとしていく必要があると思います。
  8. 動物愛護に取り組み、成果を出している市で、特に私たちの目をひいたのは熊本市でした。熊本市は、政令指定都市を目指す中核市であり、動物愛護法の取扱業については、県と同格の権限で行っています。これは、熊本市のHPのトップページです。この赤い枠で囲まれたところが新着情報です。
  9. この新着情報に、負傷猫の保護、犬の飼い主さん募集、迷い犬を保護と3件もの情報が掲載されています。
  10. また、トップページの「動物・ペット」をクリックすると、ペットに関する様々な情報が載っています。そして、この項目には、毎月1万件以上のアクセスがあり、熊本市HPの月別ランキングでは、常にトップ3に入っています。
  11. 熊本市は平成14年から、このような取り組みを始めています。処分率が大幅に減り、生存率が増えています。特に処分率は4年で約7分の1に激減しています。
  12. 熊本市は犬の登録から捕獲・引取り・許認可・指導・処分までのすべてを熊本市動物愛護センターで行っています。このようにすべての窓口がひとつになることで、施策施行・意思決定が容易になり、結果を出すことが出来ました。一方、熊本県ではこれらの業務が別々になっているために、県の殺処分数は、思うようには減少していません。
  13. 一方、日立市では、環境衛生課で犬の糞投棄防止看板の配布。保健センターは犬の登録・狂犬病予防接種。警察署では迷い犬、または捨て犬捨て猫の対応をし、糞・鳴き声への苦情はそれぞれの部署が対応をしています。残念なことですが、動物の愛護や住民と動物たちとの共生を目指す部署がまったくありません。この個別の業務を一括して、動物愛護の担当部署を設置することは出来ないでしょうか。
  14. 国の動物の愛護及び管理に関する法律 には、「国及び地方公共団体は、動物の愛護と適正な飼養に関し、相互に連携を図りつつ、学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動等を通じて普及啓発を図るように努めなければならない」と、あります。
  15. 茨城県が一括して動物愛護の業務をしていますが、県と連携をとりながら、市独自の情報の提供、飼い主への教育、環境の整備等の業務を行う必要があるのではないでしょうか。
  16. 情報提供では、市のホームページに「動物・ペット」の項目を載せて、情報を提供します。県内の22の市のホームページでトップページに「動物・ペット」を載せている市は12市ありました。近県を調べてみると参照のようになりました。また、市報にも「動物・ペット」に関する情報を掲載します。例えば、迷い犬が飼い主のもとに帰れないのは、登録の時に渡され、飼い主の情報がわかる犬鑑札をつけていないからです。犬鑑札やマイクロチップの装着の重要性を知らせることも大事なことだと思います。
  17. 飼い主への教育は動物愛護の普及啓発にもなります。犬を飼い始める前に、正しい飼い方などの基本的な知識をもてるように、飼い方教室を開催します。将来、日立市ではこの講習を受けないと犬を飼うことが出来ないようにすることが望ましいと思います。また最後まで責任を持って飼えるよう、しつけ教室や、咬みつき事故などペットに対しての相談も行います。こうした教育により飼い主のマナー向上につながることになります。動物の嫌いな人にとっても優しい街になることができ、ペットと共生できる街づくりになると思います。
  18. 環境整備ですが、日立市にある、きららの里と河原子北浜スポーツ広場のドッグランが、より市民に愛されるよう、整備改善をおこないます。
  19. 昨年オープンした、北浜スポーツ広場のドッグランの整備について提言をさせていただきます。ドッグランに通じる遊歩道はアスファルトになっています。ドッグランまでは徒歩で約20分 あり、夏のアスファルトは50度以上になるため肉球がやけどをしてしまいます。普段歩くにも犬の足に負担にならない犬用のウッドチップの歩道の整備をすべきだと思います。
  20. 東京の代々木ドッグランに行ってみました。多くの犬たちが楽しそうに遊ぶラン内には、犬にやさしいウッドチップがひかれていました。
  21. また、様々な催しも開催されていました。ここで注目しなければならないのは、このドッグランの整備や、運営にボランティアグループが深く関わっていることです。先程紹介しました熊本市の、処分率の減少にも愛護団体・個人ボランティアの方々の協力が大きな要因になっているそうです。
  22. 話題は変わりますが、海外の動物愛護先進国のペット事情についても調べてみました。ヨーロッパでは、「ペット動物の保護に関する欧州協定」が1987年に結ばれ、ペットの権利が規定されています。フランスでは、「1970年7月9日法」で住宅や集合住宅の契約に、ペット飼育を禁止する規約を結ぶことを、無効としています。つまり、ペットを飼っているからといって、借主を追い出すことはできないということです。ドイツでは1974年に「犬の屋外保有に関する命令」が出され、犬を外で飼育するには、収容スペース、犬小屋の素材、風向きや日当たり、散歩や遊びのための運動時間や、つないでいるリードの長さなど、詳細な規定があります。また犬税があり、市町村税として飼い主に負担させます。税額は年間で大型犬(約13,750円)、中型犬(約11,000円)、小型犬(約8,250円)です。この収益は、街や公園の清掃にあてられています。このようにペットは、家族の一員であることを認めるとともに、権利や義務も明確になっています。
  23. 動物愛護後進国と言われる日本でも、動物の持っている不思議な力が、人々の生活の中に必要とされる時代へとなりつつあります。日立市がこの時代を先取りした政策、ペットと共生できる街づくりに取り組むことが、必ず、日立市の活性化につながると確信しています。私たちも積極的に、ドッグランの維持に協力をしたり、ホームページの更新のお手伝いをしたり、譲渡会や、避妊・去勢の推進を図るなど、行政との連携、協働の輪を広げてまいりたいと思います。人もペットもHAPPYな日立になっていくことを希望し、私たちの発表を終わらせていただきます。