参考写真 道路特定税源に関する民主党の考えが、どうしても理解できません。民主党は、「暫定税率の撤廃」を盛り込まない、修正協議には応じないと言っています。このままでは、3月31日に、暫定税率は日切れになり、4月1日からガソリンであれば25円安くなることになります。(実際は、揮発油税は蔵出し税なので石油メーカーから出荷される際に課税されます。したがって、25円下がったガソリンの販売にはタイムラグが発生することになります。一方、軽油は販売実績に課税するために、4月1日販売分から17円安くなります)
 しかし、60日以上参議院が採決をしなくれば、暫定税率の存続を求める法律は否決されてものとして、衆議院での3分の2条項で、再可決が可能となります。政府・与党が再可決する方針を選べば、4月29日以降、暫定税率が再び適用されることになります。
 わずか1ケ月のうちに値下げと値上げが繰り返されることになります。自動車取得税や重量税の関係では、自動車販売や車検の特需が起こるかもしれませんが、とにかく大きな混乱を国民に与えることは火を見るより明らかです。
 民主党の道路特定財源に対する対応は、国民生活を蔑ろにした党利党略に他なりません。与野党は真摯に、国会での議論を積み重ねるべきです。
「最悪事態」募る不安 ガソリン暫定税率 東北
河北新聞(2008/3/9)
 国会で与野党のにらみ合いが続く中、道路特定財源になる揮発油税などの暫定税率の期限切れが、現実味を帯び始めた。このまま暫定税率が3月末で「日切れ」となった場合、自治体の新年度予算には歳入欠陥が生じ、ガソリンスタンドでは、消費者にとって分かりづらい二重価格の発生が予想される。暫定税率が失効した4月1日、その日に一体何が起きるのか―。最悪のシナリオに備え始めた東北の「現場」を追った。
◎迫られる予算減額補正/自治体
 「苦渋の決断だ」
 3日開会した福島県相馬市議会。市が提出した新年度予算案は、暫定税率による税収見込みを歳入から除外する異例の編成となった。暫定税率の期限切れを折り込んだ対応だ。
 立谷秀清市長は「国会の現状は絶望的だ。暫定税率の延長法が成立しないという最悪の事態を想定せざるを得ない」と説明する。
 市町村の道路関連予算は、国や県から地方道路譲与税、自動車重量譲与税、自動車取得税交付金として入ってくる。
 このうち暫定税率による上乗せ分を相馬市は、約1億5500万円と算出した。「市道整備や起債償還は待ったなし」(立谷市長)。予算案では財政調整基金を取り崩して歳入の欠損部分を穴埋めした。
 予算は衆院の議決が優先されるため、参院の審議が空転しても3月末には自然成立する。だが、予算の根拠となる暫定税率延長などの税制改正案の成立は、衆院での再議決を待たなければならない。
 相馬市は、衆院の再可決で暫定税率が復活すれば「9月市議会で歳入を増額補正する予定」(財政課)と段取りを整える。
 しかし、相馬市のように「最悪の事態を想定」して新年度予算案を編成した自治体は全国的にも少ない。大半の自治体は「日切れ」が確定した段階で歳入、歳出を減額補正しなければならない事態に陥る。
 「そんな事態は考えたくもない」。宮城県幹部は渋い表情だ。
 宮城県は、暫定税率が廃止された場合の減収を310億円と試算(2005年度決算ベース)。財調基金で穴埋めしようにも「もう、ほぼ全額取り崩してしまった」(宮城県財政課)。
 残る手段は、教育や福祉などの歳出を減額して予算を組み直すしかない。「日切れ」となれば「何カ月もかけ、苦心に苦心を重ねてつくった予算がパーになる」と宮城県幹部。かたずをのんで国会の成り行きを見守っている。
◎二重価格「差損も覚悟」/ガソリンスタンド
 若手国会議員が「ガソリン値下げ隊」を結成して全国キャラバンを続ける民主党。だが、仙台市宮城野区でガソリンスタンドを経営する社長(53)は「それほど単純な話ではない」と話す。
 暫定税率の期限が切れると、確かにガソリン価格は一リットル当たり約25円安くなる。
 ただ、ガソリン税は製油所から出荷する時点で課税される「蔵出し税」。3月中に出荷された分は、4月以降も暫定税率による上乗せ分25円が課税されたままで店頭販売される。
 4月以降に出荷したガソリンを即座に売り出すスタンドが現れれば、3月以前に入荷した在庫をさばききれないスタンドとの二重価格が発生する。
 ガソリン出荷時と販売時、暫定税率の失効時と復活時。二重の「時差」とユーザー動向を見極めながら的確に仕入れ時期を決めなければならない。
 前述の社長は「お客さまに『何で安くしないのか』と聞かれたら説明できない。差損をかぶってでも値下げするしかない」とため息をつく。
 また、トラックなどディーゼルエンジンの燃料となる軽油は、販売時に課税される「店頭税」だ。4月1日の販売分から暫定税率上乗せ分の17円が安くなる。ここでも消費者からは「軽油は値下げしたのにガソリンは高いままだ」とのクレームが舞い込むかもしれない。
 石油会社が懸念するのは、生産調整の難しさだ。製油所では、原油からガソリン、軽油のほか重油や灯油、さらに原料石油などを一度に精製する。ガソリンの精製だけを調整するのは困難だ。
 国内の石油精製・元売り会社で構成する石油連盟は「日切れ」前後に起きる最悪のシナリオに言及した。
 「31日までは消費者もスタンドもガソリンを買い控える。従って製油所も生産量を減らす。4月1日になると消費者やスタンドから買いが殺到する。その時、製油所には出荷すべきガソリンがない。品薄状態の現場で何が起きるのか…」