矢祭町長が町議に現金 「当選祝いの返金」
朝日新聞(2008/3/25)
 福島県矢祭町の古張允(まこと)町長(67)が、3月23日に投開票された町議選の当選者に当選祝いとして現金を渡していたことが、25日わかった。古張町長は「町長選の際にもらった当選祝いの返金」と話している。県警は公職選挙法(寄付行為の禁止)に抵触する可能性もあるとみて関心を寄せている。
 今回の町議選で当選した議員には報酬の日当制が初めて導入されるとして話題を集めていた。告示前には候補者有志が当選祝いなどを断る意見広告を地域紙に掲載。「カネをかけない選挙」がスローガンになっていた。
 古張町長によると、23日夜、当選した10人のうち、初当選者を含む8人の自宅を回り、うち4人に現金を入れたのし袋を渡した。2人は受け取りを拒んだが、ほかの2人は、それぞれ3万円と1万円を受け取った。受け取った2人からは24日に「現金書留で返した」と連絡があったという。
 古張町長は、金は私費から出したといい、額については「初当選した町長選でもらった当選祝いと同じ」と説明。「田舎の町なので義理を返したつもりだったが、うかつだった。今になって思えば不適切だった」と話している。
 古張町長は、「合併しない宣言」をし、住基ネットへの接続も拒んだ根本良一・前町長のもとで助役、副町長を務め、昨年4月に無投票で初当選した。

参考写真 地方自治のお手本とも称されている矢祭町で、考えられないような騒動が起きています。町議選の当選者に、町長が現金を渡す。それも、自分の当選祝いと同じ金額を返したという。つまり、町長は当選祝いとして町議から現金をもらっていたことを宣言してしまっているのです。
 日当3万円の議員報酬では、生活が成り立ちません。つまり、議員以外の本業を持った人しか町議を務められないという結果になるのではないかと、私は指摘しました。こうした閉ざされた町政の中では、民主主義の腐敗が起きないか、心配でなりません。
 今回の町長の祝い金が、矢祭町の再生のための一石になることを期待します。