暫定税率の再可決を強く示唆、財政に穴は開けられない
参考写真 福田首相は、3月31日夜、ガソリン税の暫定税率期限切れについて、「政治が本気になれば防ぐことはできた。政治のツケを国民に回す結果になったことは、心よりおわびする」と国民に対して謝罪しました。
 首相は「税率が下がれば、その分だけ財政に穴が開く。穴を開けておいていいのか」と語り、租税特別措置法改正案など税制関連法案を参院での否決後、または4月29日以降に、衆院での3分の2の賛成のより再可決し、暫定税率を復活させる意向を表明しました。
 一方、小沢氏は新聞報道によると、「暫定税率分は国民の手元に返すことが経済対策、特に地方対策になる」と述べ、暫定税率の期限切れを歓迎する意向を表明しました。また「野党ができっこないといっていたガソリンの値下げが実現した」とも述べ、民主党の実績とアピールしました。
 また、政府は暫定税率撤廃による混乱の軽減策として、税収が減る地方自治体に対する財政支援策やガソリンスタンドの資金繰り対策やなどを実施する方針を明らかにしました。
 「政治のツケを国民に回す結果になったことは、心よりおわびする」との首相のことばは、重いものがあります。反面、民主党の小沢代表や鳩山幹事長から、国民に対してのお詫びの言葉は聞けませんでした。この一点に、民主党の姿勢が凝縮しています。国民の生活を第一に考えて、胸襟を開いて議論をすれば、明日からの混乱を回避する道はきっと開かれていたと思います。国民はバカではありません。この議論の顛末を、国民はじっくりと瞼に焼きづけていると確信します。
◆首相の記者会見要旨◆
読売新聞(2008/3/31)
【謝罪】
歳入のうちガソリン関連の税制関連法案は成立しない異例の事態となった。政治が本気になれば防ぐことはできた。地方財政や国民生活の混乱を防げなかったのは残念だ。政治のつけを国民に回す結果となったことを心よりおわびする。
【08年度の暫定税率】
暫定税率を廃止してガソリン税を引き下げる民主党の主張について、日本の現状、将来を考えて譲るべきではないと考えた。廃止すれば、道路建設などに必要な財源が失われ、地方自治体によっては福祉や教育など住民サービスの見直しにつながる恐れも生じる。ガソリン価格の引き下げだけを主張し、人気取りに走るのは簡単だが、子や孫の世代の将来のためにも暫定税率の維持をお願いしたい。
【道路特定財源の一般財源化】
「本当にそんなことができるのか」という意見もある。しかし、国民のための改革に反対する人がいるか。自民党の立党宣言にあるが、「政治は国民のもの」という原点が共有される限り、結論は自ずと明らかだ。
【混乱回避策】
ガソリンスタンドにおける混乱や地方の財政運営への支障を生じることがないよう、必要な措置を講じるべく、関係閣僚に指示した。直ちにできるものは措置し、必要があれば追加的な措置も講じる。
【与野党の党首会談】
私は申し入れたいが、中身も考えなければいけない。良い結論が得られるなら、喜んで会談したい。
【衆院での再可決】
税率が下がれば、その分だけ財政に穴が開く。開けておいていいのか。赤字国債発行もあるが、財政状況を考えれば時期ではない。
【09年度以降の税率】
環境問題、社会福祉(の支出)が年々増加する状況を考えて、今の暫定税率水準が来年も維持される可能性が高いと考える。
【ねじれ国会の打開策】
日本の国民に何がいいかを国会全体で考えて頂きたい。解決には、話し合いでお互いによりよい方向を探ることだ。(民主党が)非常に限定的な政策を打ち出し、取り付く島がないのは決していい状況ではない。

暫定税率切れ:ガソリンスタンドに資金繰り支援 緊急対策
毎日新聞(2008/3/31)
 政府は3月31日、ガソリン税の暫定税率が失効し、ガソリンにかかる税が4月1日以降1リットルあたり25.1円下がることを受けた緊急対策を発表した。中小、零細企業が多いガソリンスタンドの経営が値引き競争で悪化することを防ぐため、石油販売業者に対する資金繰り支援などを実施する。
 ガソリンスタンドが金融機関から資金を借り入れる場合、ガソリンスタンド1カ所あたり520万〜1000万円を限度に経済産業省の外郭団体「全国石油協会」が利子を補給する。また、金融機関から借りた運転資金の返済ができなくなった場合に備え、同協会による債務保証の限度額を現行の2000万円から最高7000万円に引き上げる。
 暫定税率の期限切れで、地方自治体は大幅な減収となるため、総務省は地方交付税の上乗せや減収額の一部を補てんする特例交付金などを検討している。
 更に総務省消防庁は、ガソリンの買いだめで火災が発生する危険性が高まるため、都道府県などを通じ、灯油用の20リットル容器によるガソリン保管の禁止などを徹底するよう文書で通知した。