後期高齢者医療制度 保険証1313人届かず 県内、再発行は4600件
茨城新聞(2008/04/12)
 75歳以上を対象に4月1日から始まった後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で、同制度の新しい保険証が10日現在、県内の対象者(被保険者)1313人に届いていないことが、制度を運営する県後期高齢者医療広域連合の調べで分かった。保険証は県内の被保険者約30万5900人に各市町村を通じて郵送されたが、1313人については転居や本人不在で返送となった。このほか、紛失などによる保険証の再発行も同日現在、県内合わせて4652件に上ることも判明した。
 同連合によると、保険証が対象者に届いていないのが分かったのは県内全44市町村のうち計41自治体。こうした自治体では保険証を「転送不要」の配達記録郵便で送り、返送になったことから未達が確認された。残る3自治体では、返送のない普通郵便で送っていた。
 同連合は、保険証のサイズを紛失防止の狙いから、はがき大に設定。三月中に市町村を通じて約30万5900百人の被保険者に郵送した。
 ただ、旧来の保険証は、健康保険組合によってはカードサイズもある。紛失は従来と異なる大きさのため存在に気づかなかったり、通知を他のダイレクトメールと勘違いして捨ててしまうケースがあるとみられる。
 また、新しい保険証は「薄紫色」と周知されていたが、実際は「文字が見えやすいよう」(同連合)限りなく白に近い。ある自治体では「はがき大の『白い紙』を探してください」と説明するなど、色をめぐっても一部で混乱を招いている。
 同連合会は、保険証を紛失したり誤って破棄した人に対しては再発行に応じている。
 同連合には7日以降、保険料の算定根拠や制度そのものへの苦情など1日約150件の問い合わせがあり、一本だった事業課の電話回線を同日から8本に増設した。
 県内の被保険者のうち3分の2(約20万人)は年金から保険料を支払う。4月15日が保険料を天引きされた年金の最初の支給日となる。
 厚生労働省の11日の発表によると、保険証が届いていない被保険者は全国合わせて計6万3468人に上る。最多は大阪府の1万4650人。次いで愛知県8713人、宮城県3238人など。逆に、最少は栃木県で18人。山形県(47人)と秋田県(91人)も百人未満。舛添要一厚労相は「(保険料凍結の)暫定措置を入れたりしたので、市町村によっては準備が遅れた。指導を徹底すべきだった」と経緯を説明した。

もし保険証が届いていなければ、市町村の窓口に一方を
長寿医療保険(後期高齢者医療保険)保険証 長寿医療制度が新たにスタートして、全国では保険証が届かないというトラブルがマスコミで大きく報道されています。現場での混乱を避けるために、厚労省では、医療機関に対して万が一、保険証が無くても1割負担での診療を行うよう要請しました。
 確かに長寿医療制度については準備不足、説明不足が強く感じられます。反面、マスコミの不安を煽る報道に対しては、少なからず違和感を覚えます。例えば、茨城新聞の「保険証1313人届かず」との見出しですが、総数30万5900件の0.4%あまりです。転居や不在のため本人の手に届かなかったのですから、この機会にしっかりと住所確定が出来たことになります。また、配達記録郵便で送ったということは、間違いなく本人または、家族に手渡されてということです。一部自治体が行ったように、普通郵便で送られた保険証は、果たして本人にわたったのかどうか確証はないわけです。こう考えると、新制度のスタート時には、いたずらに不安を煽る報道ではなく、保険証が届いていなくても今まで通りに診療が受けられることや、その際は、免許証や古い保険証など身分を証明するものを持参することなどを、積極的に告知する必要があると思います。