暴力団の生活保護 不正受給防止で協定 県と県警 身分照会手続き定める
東京新聞(2008/4/19)
 暴力団関係者による生活保護費の不正受給を防ぐため、県と県警は4月18日、情報交換と連携強化のための協定を結んだ。受給申請者の身分照会手続きを明確化し、行政対象暴力にも協力して対処する。暴力団の資金源を封じ込める狙いもある。
 県内で生活保護を受けているのは、1万2500世帯の1万6700人(2月現在)。県内35カ所の福祉事務所が申請者の資産や家族構成などを調査し、14日以内に支給の可否を決めている。暴力団関係者については原則、認めていないが、行政だけの調査には限界があり、事前チェックの態勢が不十分だった。
 協定によると、福祉事務所から地元警察署に身分照会があった場合、県警は文書で回答する。暴力団を名乗って支給決定を迫るといった行政対象暴力の恐れがあれば、警察官が現場に立ち会うなどの支援を行う。
 これまでは具体的な取り決めがなかったため、相談を受けた警察署の対応がまちまちだったり、福祉事務所職員がトラブルを抱え込んでしまったりしていたという。
 県庁で行われた協定締結式で、山口やちゑ県保健福祉部長は、北海道滝川市の元暴力団員らが介護タクシー代として2億円超をだまし取っていた事件に触れ、「不正受給がある現状を踏まえ、県警と連携して生活保護制度の適正運用に努めたい」とあいさつ。石井孝県警刑事部長も「資金源を遮断することで、暴力団の弱体化や壊滅につなげたい」と述べた。
 県からの身分照会は2007年が30件、06年が23件。県福祉指導課は「枠組みができたことで問い合わせやすくなり、今後は件数も増加するだろう」と話している。

 先のブログ「暴力団の生活保護費不正受給を断て」(2008/2/26)で記載したように、4月18日、茨城県と茨城県警本部は、生活保護の申請に関する新たな協定を締結しました。
 生活保護の申請は、市に設置されている福祉事務所と県の総合事務所(町村の場合)が受付窓ロです。申請者などが暴力団関係者と疑われる場合、警察署を通して県警本部に照会することになっていました。しかし、その回答の様式が明確化されていなかったことや、データーベースが整備されていないなどの課題がありました。
 今回の協定のポイントは、県警が文書で回答することになったことです。照会の結果、暴力団関係者と判明した場合は申請を却下し、生活保護を現在受けている場合も生活が極めて切迫していなければ、保護を取りやめるとしています。
 また、要請があれば、受付の窓口に警察官が立ち会うなどの支援も行うこととしました。
 さらに、一連の措置結果は県に報告されデータべース化されることになりました。そのため現状では把握していない暴力団の受給実態をつかむことができるようになります。
 井手よしひろ県議は、3月議会の文教治安委員会にあたって、県警本部に対し協定の早期締結や具体的な支援内容について申し入れ等を行ってきました。