5月13日、国会では道路財源特例法が再可決され、道路特定財源を来年度から一般財源化する閣議決定が行われました。
 今後、2009年度の税制改革の議論の中で、5兆4000億円(国と地方の合計額)の特定財源をどのように活用するか、具体的な使途の検討が始まることになります。
 そもそも道路特定財源は、「受益者負担」を大原則に車の所有者や利用者に負担をいただいてきました。使途を道路以外に広げるためには、ドライバーの理解をどのように得ていくかが最大の課題となります。特に、生活にマイカーがなくてはならない地方に住む人にとって負担が重い特定財源が、自動車を使う頻度の少ない都市住民により重く配分されることには強いアレルギーがあります。その意味では、地方に重点的に配分されるような仕組みづくりが必要です。
 こうした背影のもと、様々な方面から「環境税」への転換案が浮上しています。ヨーロッパを中心とする各国は、温室効果ガス排出抑制にガソリンなどへの課税を強化しています。日本のガソリン小売価格は、5日5日現在で159円/リットルですが、この内、61円が税負担分となっています。これに対してイギリスは248円(税負担分157円)、ドイツ224円(同142円)、フランス219円(134円)と、日本よりも相当割高です。お隣の韓国でも193円(111円)です。
これは、温暖化対策として二酸化炭素(CO2)の排出量が多いガソリンなどに高税率を課す「環境税(炭素税)」が定着しているためです。ガソリンや軽油など自動車燃料に加え、家庭・産業用天然ガスや重油、電力などにも幅広く課税されており、税収は一般財源になっています。
 例えば、ドイツでは環境税に当たる「エネルギー税」から得た歳入のうち道路整備に回るのは1割程度です。大半は公的年金など社会保障に充てています。
 日本では、環境省が2004年からヨーロッパをお手本に、温室効果ガスの排出源に幅広く課税する環境税創設を提唱してきたものの、与党や産業界の反発で議論は本格化していません。今回、道路特定財源を衣替えする形で、この環境税構想が再浮上しているのです。
参考写真 また、自動車の利用に関する税金に関しては、一般財源化の議論の中で、環境や広く少子高齢化対策などに使っていくことは必要だともいますが、所有に関する税金=自動車所得税や重量税に関しては、暫定税率の見直しを含む議論が必要だと思います。
 公明党は、国政選挙のマニフェストで「重量税」の暫定税率の見直しを明記しています。(<公明マニフェスト>自動車諸税の見直し2005/8/25
 カローラクラスの小型車の場合、本則の重量税は年額7500円ですが、暫定税率を加算すると現在は18900円が課税されています。本格的な一般財源化の議論の中で、利用者への還元を検討すべきだと考えます。