5月14日、県議会総務企画委員会は閉会中調査を行い、茨城空港の利用促進について、参考人から意見を聴取しました。筑波学院大学の大島慣子教授と、ジェイティービーの清水慣一常務が参考人として意見を述べました。
 特に、大島教授はドイツやイギリス、東南アジアの空港利用を例に「首都圏に近い茨城空港は、国際チャーター便や格安航空会社(LCC)、ビジネス(プライベート)ジェットの誘致が期待できる」と話しました。
イギリス・ロンドン圏の空港利用例
空港名滑走路都心からの
距離
主要目的
Heathrow3902m
3658m
1966m
24kmヨーロッパのハブ空港
Gatwick3316m
2565m
45kmセコンド・ハブ空港
Stanstead3048m
2565m
51kmLCC、チャーター
Luton2160m45kmLCC、チャーター
London City1508m10kmビジネス

ドイツ・フランクフルト圏の空港利用例
空港名滑走路都心からの
距離
主要目的
Frankfurt
internatinal
4000m×324kmヨーロッパのハブ空港
Frankfurt-Hahn3800m120kmLCC、チャーター

タイ・バンコク圏の空港利用
空港名滑走路都心からの
距離
主要目的
Suvarnabhumi4000m
3700m
25kmアジアのハブ空港
DonMuang3700m
3500m
24kmLCC、チャーター

 大島教授は、首都圏の国際空港の容量は、2010年に羽田・成田が増便されても、15年には一日140回の発着枠に不足が発生するという国土交通省の試算や17年には羽田空港が容量に達するとする東京との試算をもとに、航空重要は拡大し続けるとしました。その上で、茨城空港や静岡空港は、首都圏空港の一部として考える必要があるとしました。
 ドイツ・ルフトハンザ航空日本地区広報室長の経験がある大島教授は、「世界的に見ると、乗り入れ航空会社のビジネスモデルにより、空港の棲み分けがなされている成功例が多い」と語り、近年の国際的な航空需要について「運賃が安ければ良いという需要と、生産性豊かな移動空間であるべきという需要に二極化している」と説明しました。
参考写真 さらに「茨城空港の優位性は、成田空港に近いこと。何を補完できるかを考えると、中国やアジア団体旅行の近距離国際チャーター便が期待できる」と語りました。
 国際チャーター便の誘致に関しては、「茨城空港は外国航空会社にとって利便性が高く、日本到着後はチャーターバスで移動するために、都心からのアクセスは問題にならない。中国からの観光客は、その大部分が団体観光客となるので、その受け皿として有望である」と指摘しました。
 LCC誘致に関しては、「なぜコストが安いかというと、都市間の単純運行、同一機種での短距離運行、オンライン予約販売、ノンフリルなどの徹底した合理化の成果である。成功しているLCCはすべて大都市圏の第二空港で、着陸料や施設使用料の安価な空港を利用している」などと強調しました。
 意見聴取の後の質疑応答では、「茨城空港を成功させるために、今時点で必要な活動は何か」との質問に対し、「まずは世論を喚起すること。消費者にどのようなメリットがあるかを説明すること。そして就航対策として、とりあえず一便決めること」と回答しました。その上で、「茨城空港を日本のモデル空港にするとの意気込みが大切」と強調しました。
 「LCCが日本に来るか」という質問の対しては、「この4月に航空運賃の7割規制、つまりLCC排除の規制が緩和された。日本には1800万人の海外渡航者いる。安い航空会社のマーケットポテンシャルは非常に高い」「LCCに対して、茨城空港に乗り入れるとどれだけのメリットがあるかを説明する必要がある」「エア・アジアに対しては、福岡空港も北九州空港もアプローチしている」「自衛隊空港と一緒なのは大きなメリットとなる。飛行機を愛する人を集める視点で空港づくりをすると、そのポテンシャルは高い」などと茨城空港の可能性を語りました。
参考:茨城空港の方向性等について