5月13日、道路特定財源を維持する改正道路整備費財源特例法(道路整備財政特別措置法)が衆院本会議で、憲法59条の規定に基づき与党などの3分の2以上の賛成多数で再可決、成立しましたた。
この法律のポイントや再議決について、公明党広報局長の高木洋介衆議院議員が説明しています。
「道路財源特例法」とは。また、4月30日の再議決との違いは。
4月30日に再議決したのは、ガソリン税などの暫定税率を復活させる歳入の法律。今回は税金の支出にかかわる歳出法で、暫定税率で上乗せされた5兆4000億円の使い道を決める法律だ。
法律の中身は。
道路特定財源を10年間維持するという点がマスコミで主に報道されているが、それ以外に四つの大きな柱がある。
一つは、地方道路整備臨時交付金。財政の厳しい地方自治体にガソリン税の4分の1、約7000億円を交付する。次に、国からの補助金である国庫補助負担率の引き上げで、道路を造るときの国と地方の負担割合について、国の負担を増やす。
三つ目が地方道路整備臨時貸付金。これは、無利子で地方自治体に貸し付けるもの。そして四つ目の柱が、高速道路料金の引き下げとスマートインターチェンジなどの整備で、この四つの柱が今回の法律に書き込まれている。すでに成立した2008年度予算は道路特定財源の維持を前提としているため、法律の成立によって初めて使うことができるようになる。
野党の対応については。
衆院で法案審議を約21時間行い、3月13日に可決して参院に送付した。一方、野党が主導権を握る参院では、約2カ月間にわたりほとんど審議せず、4月24日に2時間、5月9日に4時間、合計6時間しか質疑していない。
この間、地方自治体は予算を予定通り執行できず、さまざまな影響が生じていた。
地方議会では「暫定税率維持」を前提とした各都道府県の08年度予算が成立しているが、38都府県議会の民主党系の会派は賛成した。地方の民主党と国会の民主党で対応がねじれるという矛盾した状況だった。
なぜ与党だけでも法案の修正を行わなかったのか。
民主党は道路財源の一般財源化の方針には賛成だが、与党からの修正協議の要請に応じなかった。仮に与党だけで修正案を出したとしても、今の民主党は政局を優先し審議や採決をしないので、結局、成立は2カ月も先になってしまう。そうすると、地方への交付金や貸付金が7月にならないと渡せなくなるため、ますます地方に影響が出てしまう。
実際、4月以降、生活道路の整備事業が4000カ所もストップしている。さらに47都道府県のうち36道府県が道路整備を凍結。この結果、工事や入札が中止となり、資金繰りなどをめぐって中小建設会社が倒産の危機に瀕する状況になったほか、雇用や地方経済にも悪影響を与えている。
公明党は、地方の暮らしを何としても守らなくてはならないという観点から道路財源特例法の再議決は、やむを得ないと判断した。
道路特定財源を10年間維持するのは、福田首相が表明した「09年度からの一般財源化」の方針と矛盾しないか。
矛盾しない。今月13日の政府の閣議決定では、道路財源特例法における道路特定財源の規定は、09年度から適用しないことを明記している。民主党が法案の修正協議に応じない上、与党だけで修正しても60日近くかかってしまうことから、再議決という形になった。今後、与党は道路財源等に関する協議会を設置し、一般財源化の法案をつくり、成立させることにしている。
再議決は昨年の参院選で与野党逆転をもたらした直近の民意を否定するものだとの批判もあるが。
野党は、衆院で3分の2を超える与党の議席は05年の「郵政解散」で得たものだと批判している。一方、昨年の参院選も、道路特定財源の問題を争点にして戦ってはいない。国会は、さまざまな課題を議員に託していく代議員制度であり、責任ある政権与党として、地方の混乱を回避するため、衆院の再議決を行った。
自民党内の抗争で、「結局は道路財源などの改革が進まないのでは」という心配もあるが。
確かに自民党内にも道路整備を優先すべきだという考え方や、改革していくべきだという意見の両方がある。だからこそ、連立政権に公明党が入っている理由がある。財政が厳しい中、道路だけでなく福祉にも使える一般財源化を求める世論が圧倒的だ。公明党は連立政権の中で、そうした国民の声を代弁し、抵抗勢力があるならば押し返し、国民の声にこたえていく。
4月30日に再議決したのは、ガソリン税などの暫定税率を復活させる歳入の法律。今回は税金の支出にかかわる歳出法で、暫定税率で上乗せされた5兆4000億円の使い道を決める法律だ。
法律の中身は。
道路特定財源を10年間維持するという点がマスコミで主に報道されているが、それ以外に四つの大きな柱がある。
一つは、地方道路整備臨時交付金。財政の厳しい地方自治体にガソリン税の4分の1、約7000億円を交付する。次に、国からの補助金である国庫補助負担率の引き上げで、道路を造るときの国と地方の負担割合について、国の負担を増やす。
三つ目が地方道路整備臨時貸付金。これは、無利子で地方自治体に貸し付けるもの。そして四つ目の柱が、高速道路料金の引き下げとスマートインターチェンジなどの整備で、この四つの柱が今回の法律に書き込まれている。すでに成立した2008年度予算は道路特定財源の維持を前提としているため、法律の成立によって初めて使うことができるようになる。
野党の対応については。
衆院で法案審議を約21時間行い、3月13日に可決して参院に送付した。一方、野党が主導権を握る参院では、約2カ月間にわたりほとんど審議せず、4月24日に2時間、5月9日に4時間、合計6時間しか質疑していない。
この間、地方自治体は予算を予定通り執行できず、さまざまな影響が生じていた。
地方議会では「暫定税率維持」を前提とした各都道府県の08年度予算が成立しているが、38都府県議会の民主党系の会派は賛成した。地方の民主党と国会の民主党で対応がねじれるという矛盾した状況だった。
なぜ与党だけでも法案の修正を行わなかったのか。
民主党は道路財源の一般財源化の方針には賛成だが、与党からの修正協議の要請に応じなかった。仮に与党だけで修正案を出したとしても、今の民主党は政局を優先し審議や採決をしないので、結局、成立は2カ月も先になってしまう。そうすると、地方への交付金や貸付金が7月にならないと渡せなくなるため、ますます地方に影響が出てしまう。
実際、4月以降、生活道路の整備事業が4000カ所もストップしている。さらに47都道府県のうち36道府県が道路整備を凍結。この結果、工事や入札が中止となり、資金繰りなどをめぐって中小建設会社が倒産の危機に瀕する状況になったほか、雇用や地方経済にも悪影響を与えている。
公明党は、地方の暮らしを何としても守らなくてはならないという観点から道路財源特例法の再議決は、やむを得ないと判断した。
道路特定財源を10年間維持するのは、福田首相が表明した「09年度からの一般財源化」の方針と矛盾しないか。
矛盾しない。今月13日の政府の閣議決定では、道路財源特例法における道路特定財源の規定は、09年度から適用しないことを明記している。民主党が法案の修正協議に応じない上、与党だけで修正しても60日近くかかってしまうことから、再議決という形になった。今後、与党は道路財源等に関する協議会を設置し、一般財源化の法案をつくり、成立させることにしている。
再議決は昨年の参院選で与野党逆転をもたらした直近の民意を否定するものだとの批判もあるが。
野党は、衆院で3分の2を超える与党の議席は05年の「郵政解散」で得たものだと批判している。一方、昨年の参院選も、道路特定財源の問題を争点にして戦ってはいない。国会は、さまざまな課題を議員に託していく代議員制度であり、責任ある政権与党として、地方の混乱を回避するため、衆院の再議決を行った。
自民党内の抗争で、「結局は道路財源などの改革が進まないのでは」という心配もあるが。
確かに自民党内にも道路整備を優先すべきだという考え方や、改革していくべきだという意見の両方がある。だからこそ、連立政権に公明党が入っている理由がある。財政が厳しい中、道路だけでなく福祉にも使える一般財源化を求める世論が圧倒的だ。公明党は連立政権の中で、そうした国民の声を代弁し、抵抗勢力があるならば押し返し、国民の声にこたえていく。