軽減基準を世帯単位から個人にすることも継続して検討
長寿医療制度の改善策について合意した与党プロジェクトチーム=10日 衆院第1議員会館:公明新聞より 6月10日、与党高齢者医療制度に関するプロジェクトチーム(PT)は、75歳以上を対象に4月からスタートした長寿医療制度(後期高齢者医療制度)について、低所得者の保険料軽減を7割から9割に拡大することを柱とする改善策に続き、
(1)年金からの保険料天引き(特別徴収)を一部見直し、口座振替による普通徴収を可能とする
(2)診療報酬における終末期相談支援料は凍結を含め検証をする――ことなどで合意しました。
 この合意では、年金からの保険料の徴収については、申し出によって普通徴収(窓口や銀行などでの振込)できることとしました。その対象は(1)収入に関わらず、国保の保険料を確実に納付していた人で、本人の口座振替により納付する場合、(2)世帯主または配偶者がいる人(年金収入が180万円未満)で、世帯主や配偶者の口座振替により納付する場合――など、範囲を拡大しました。
 また、今年10月から始まる65歳から74歳の国保に加入する世帯主の年金からの保険料徴収についても、同様の扱いとすることがきまりました。
参考写真 医師が患者と延命治療の方針などを事前に話し合い、文書に残した場合に医療機関に支払われる診療報酬「終末期相談支援料」については、凍結を含め中医協で議論を行い、必要な措置を講じることになりました。
 さらに、制度についての広域連合および市区町村の果たすべき役割と責任分担を明確に規定し、特に保険料に関する相談対応については、市区町村の役割を明確にします。
 この他、(1)自治体独自の医療費助成事業や人間ドック補助事業のあり方については、高齢者への情報提供など適切な対応を求める、(2)同制度に基づく各種事務事業の実施に当たっては分かりやすい説明、見やすい印字など高齢者に配慮する、(3)資格証明書の発行は、相当な収入があるにもかかわらず保険料を納めない悪質な場合に限り運用する――ことを明記しました。
 一方、同PTは今後の検討課題として、(1)保険料軽減判定を個人単位で行うことについては、引き続き検討し、早急に結論を得る、(2)保険料の年金からの徴収の対象要件(年額18万円以上)の引き上げ――などを決めました。
長寿医療制度見直しに関する与党合意事項
  • 平成20年度は、年金収入が年168万円以下の人について、10月から半年間、保険料徴収を凍結し、保険料を実質8割5分減額する
  • 平成21年度以降は、年金収入が年80万円以下の人は9割減額する。210万円以下の人については、保険料の「所得割」を50%減額する。財源は政府の責任で適切に対処する
  • 年金からの保険料の徴収については、申し出により、国保の保険料を確実に納付していた人が本人の口座振替により納付する場合と、世帯主または配偶者がいる人(年金収入が180万円未満)で、世帯主らの口座振替により納付する場合は、普通徴収ができる
  • 診療報酬における終末期相談支援料については、凍結を含め必要な措置をとる。後期高齢者診療料も検証する
  • 保険料に関する相談対応について、市区町村の役割を明確にする
  • 自治体独自の医療費助成事業や人間ドック補助事業のあり方については適切な対応を求める
  • 各種事務事業の実施に当たり、分かりやすい説明、見やすい印字など高齢者に配慮する
  • 資格証明書は、相当な収入があるのに保険料を納めない悪質な場合に限り運用する

継続して検討する課題
  • 保険料の減額判定を世帯単位から個人単位に変えることについては、他の制度(介護保険など)との関連も含めて引き続き検討する
  • 保険料の年金からの天引き対象要件(年金収入が年18万円以上)引き上げなどは、引き続き検討する
  • 今まで保険料を支払っていなかった会社員などの扶養になっている高齢者の保険料負担を来年度以降どのように軽減していくかを引き続き検討する(9月までは全額免除、来年4月までは9割削減)
  • 来年(H21年)3月まで1割に据え置かれている70〜74歳の高齢者の医療費窓口負担のあり方を引き続き検討する