6月17日開催された県議会財政再検討調査特別委員会では、自治体財政健全化法に基づいて、県の07年度決算見込額から財政指標を試算した結果が公表されました。
参考写真 自治体財政健全化法とは、北海道夕張市のような地方自治体の財政破綻を未然に防止するため、「早期健全化」、「財政再生」、の2段階で自治体の財政悪化をチェックする仕組みを規定したものです。1.実質赤字比率(単年度の一般会計の赤字比率)、2.連結実質赤字比率(公営企業会計などを含めた全会計の赤字の比率)、3.実質公債費比率(元利償還期などの借金返済額の一般会計に占める比率)、4.将来負担比率(公営企業や出資法人を含めて一般会計が将来負担しなければならない負債の比率)の4指標のうち一つでも一定基準を超えると、外部監査のほか財政健全化計画の策定を義務付けて改善努力を促します。さらに悪化すれば破綻とみなし、一部起債を制限するなど国の関与を強める内容となっています。2007年6月に成立し、2008年度決算から正式に適用されることになっています。
 今回、健全化判断比率となる財政指標を仮試算した結果、「実質赤字比率」と「連結実質赤字比率」は、一般会計などに赤字がないため該当なしとなりました。「実質公債費比率」は、2007年度決算の標準財政規模が5153億円に対し、公債費などの元利償還金等が747億円あり、約15%になりました。早期健全化基準の25%以上はクリアしている結果となりました。
 将来負担比率は約290%となり、早期健全化基準の400%を大きく下回る見通しとなりました。
 将来負担額の具体的な内容は、県債残高が1兆7689億円、公営企業債が1700億円、出資法人負債額の負担見込み額が700億円となっています。
 将来負担比率の試算にあたって茨城県は、地域開発や区画整理、港湾土地造成事業の将来負担見込額を取りまとめて公表しました。つくばエクスプレス沿線開発の将来負担見込額は、約850億円と試算されました。利用者が順調に伸び、地域活性化の起爆剤となっているTXの沿線開発ですが、伊奈谷和原地区では土地を取得した89年と比べて地価が39%も下落(将来負担見込180億円)、つくば地区も94年と比べて4割も下がるなど(将来負担見込670億)、損失額が膨らみ約850億円に達するとされたものです。
 その他では、常陸那珂港土地造成工事が約240億円、住宅供給公社が約500億円などが大きな負担となるとされています。
 読売新聞の報道(2008/6/18)によると、橋本昌県知事は17日の記者会見で、「(各基準を)一応クリアしているが、現実的に財政は大変厳しい。精いっぱい行革を進めていく」と語っています。
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