分娩予約の一時中止につきまして
日製日立総合病院(2008/8/8)
患者さま各位
 当院の産婦人科におきましては、現在、誠に残念ながら2009年4月以降の医師の人員が明確になっておりません。医師の確保に向けて全力を傾けているところではありますが、現時点としては、4月以降の分娩予約をお受けすることは困難であるものと判断いたしました。
 従いまして、誠に恐縮ながら本日以降当面の間は新規の分娩予約をお断りさせていただきます。
 尚、妊娠の判定のみ当院でも対応は可能ですが、妊婦健診以降の診療は分娩予定の医療機関が継続的に受け持つことが安心につながると考えておりますので、妊娠初期の時点から紹介先医療機関をご受診いただくようお願い申しあげます。
 患者さまには大変なご迷惑とお足労をおかけいたしますが、この地区の産科医療を守るべく医師の確保につきましては鋭意努力中でありますので、何卒ご理解のほどよろしくお願い申しあげます。
 ご不明な点、あるいはご相談などがございましたら、総合案内窓口までお問い合わせ願います。

参考写真 今年春から危惧されていた日立製作所日立総合病院の産婦人科医師の確保問題が、いよいよ表面化してきました。2006年の日立地域(日立・高萩・北茨城三市)の出生数は計2257人ですが、日製日立病院は、このうちの半数超の1215人の出産を手掛けています。この地域の合計出生数はこの10年間で700人減っていますが、日製日立総合病院が引き受けた出産数は、逆に300人以上増えています。
 現在、日立地域で出産が出来る医療機関は、病院が2(日立製作所日立総合病院日立総合病院:日立市、北茨城市立病院:北茨城市)、医院1(瀬尾産婦人科医院:日立市多賀)、助産院1(加茂助産院:日立市十王)の4施設しかありません。その基幹病院が深刻な医師不足に曝されています。
参考写真 日製日立病院の常勤産婦人科医は現在6人。産科医は24時間体制の宿直や休日当番、緊急の呼び出しなどがあり、過酷な労働条件の中働いています。来年の4月以降、医師を派遣している東大医学部との交渉が不透明な状況になっているようです。
 6月以降、茨城県、日立市をはじめとする地方自治体や国会議員、地元県議会議員などが水面下で支援のあり方を検討していました。しかし、来年4月まで8ヶ月を切った現在、医師確保の確証のないままに、分娩の予約を受けることは出来ないとの判断から、8月8日付で予約の一時中止を公表したものです。
 県北の周産期医療環境を守るため、私も全力を挙げて病院の努力を支援してまいります。
参考:日立製作所日立総合病院のお知らせ

日立の日製病院 分娩予約一時中止
産科医確保不透明 来年4月以降の分

読売新聞(2008/8/15)
 日立市の日立製作所日立総合病院が、来年4月以降の分娩(ぶんべん)予約の受け付けを「一時中止」していることが14日分かった。4月以降の産科医確保が流動的で、「現時点で予約を受けることは困難」と判断した。産婦人科の閉鎖はしない方針。
 日製病院は、県北地域の中核的な周産期母子医療センターに位置付けられ、県内では最も多い年間約1200件の出産を担っている。
 病院によると、現在、常勤の産科医は6人いるが、医師を派遣している大学から「来年4月以降の派遣は難しい」と伝えられた。大学との間で派遣継続に向けた折衝を続けているが、現時点で結論は出ておらず、来年4月以降の体制は不透明な状況だ。病院は「不確定な状況で予約を受けるのは、不誠実になる」と一時中止の理由を説明。「一時中止は暫定的なもので、10月ごろには大学側との間で結論を出し、方向性を決められれば。医師確保が確実になれば一時中止は撤回する」としている。
 産科医は全国的に不足し、24時間体制の勤務や緊急呼び出しなどの過酷な条件下で、お産の現場を支えている。日製病院でも、現在、常勤医1人当たり年間平均200件の出産を担っており、「現在の6人でも足りない」のが実情。県北地域は特に産科医不足が深刻で、県医療対策課などによると、日立地域で分娩ができるのは、高萩協同病院、日製病院、北茨城市立総合病院など5施設。日製病院と大学側との折衝結果によっては、地域のお産に大きな影響が出ることにもなりそうだ。