アメリカ大統領選挙を3ヶ月後に控え、「悲惨指数(ミザリー・インデックス)」という言葉がクローズアップされているそうです。
 この指数は、1970年代にアメリカの経済学者ロバート・バローが考案したもので、インフレ率と失業率(パーセント)を合算した数値が「悲惨指数」となります。前年比の物価上昇率と、労働力人口に占める失業者の割合という性格の異なる2つの数字を単純に足しただけであり、数字自体に理論的な意味はありません。しかし、失業率かインフレ率、もしくはその両方が高ければこの指数が高くなるので、その国や地域で暮らす人々の困窮度を表す目安として利用されています。
参考写真 一方アメリカでは、「悲惨指数」が10%を超えると、政権が危うくなるといわれています。今年に入ってアメリカの「悲惨指数」は11.3%と92年以来16年ぶりに10%を超えています。民主党のオバマ候補は、共和党のブッシュ大統領の経済政策を厳しく批判し、早速思いきった経済対策を発表しています。
 日本の現状を見てみると、総務省が7月29日発表した7月の全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く)は前年同月比2.4%上昇となり、10カ月連続のプラスとなりました。同日発表された7月の完全失業率(季節調整値)は、前月より0.1ポイント低い4.0%でした。すなわち、日本の「悲惨指数」は6.4%ということになります。
 日本の完全失業率には、いわゆるワーキングプアなどの実態が反映されていないとの指摘もあります。日本でもこの指数を注意深く監視する必要があるかもしれません。
(画像は、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」よりキャプチャー)