井手よしひろ県議は、9月9日の県議会本会議で、公明党を代表して橋本知事に代表質問を行います。景気対策や地域医療問題、農業問題、教育の課題など7項目にわたって知事に具体的な論戦を挑む予定です。
 このブログでは、茨城空港開港に向けての取り組みの部分を事前にアップし、皆さまのご意見・ご批判をいただければと思います。時間的な制限のため、この原案は簡潔にする必要があり、最終原稿はさらに短く簡潔にする予定です。

参考写真 茨城空港開港に向けての取り組みについて、橋本知事にお伺い致します。
 2010年春の開港を目指して、茨城空港とその関連施設、アクセス道路などの建設が順調に進んでいます。しかし、開港後の正否を左右する就航航空会社が未だに決まらないなど、出口の見えない悪戦苦闘が続いているといっても過言ではありません。
 今、航空業界は二つの大きな潮流に洗われています。
 第一に、原油高に端を発する燃料高で、国内航空会社は地方路線を大幅にカットしようとしています。日本航空は今年11月以降、関西空港と北海道、東北方面など計12路線を廃止します。中でも福島空港と関西、伊丹(大阪)、那覇の三空港を結ぶ便を廃止し、福島空港からは完全に撤退するといいます。全日空は、長崎〜那覇便を廃止、関西を中心とした計8路線で減便します。
 もう一つは、格安航空会社(ローコスト・キャリア:LCC)の台頭です。LCC運航コストの徹底的な節減や人件費の削減、機内サービスの見直し、搭乗券の販売方式の簡素化など、既存の航空業者の常識を打ち破る形で、航空料金の引き下げを行ってきました。通常の運賃の半額以下は当たり前で、シンガポール・クアラルンプール間の片道料金が242円といったバス並みの運賃さえ登場しています。(3月18日NHK解説番組より)。
参考:「格安航空会社」フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 燃料高、LCCの台頭という大きな航空業界の大変化に対して、それをマイナス要因ととらえるのではなく、茨城空港は新たなビジネスチャンスと捉えなおす必要があると思います。
 総務省は8月、公共事業で完成後の需要実績が予測を下回るケースが目立つとして、国土交通省などに改善勧告を行いました。空港では調査した5カ所のうち、函館空港と広島空港を除く3カ所については、予測を大幅に下回っていました。
参考:公共事業の需要予測等に関する調査結果報告書(3.空港整備事業
 茨城空港は、札幌、大阪、福岡、沖縄の国内4定期路線を想定し、開港時80万7000人が利用するとした当初の青写真は、大きく修正する必要があると考えます。むしろ、格安航空会社(LCC)台頭という航空業界の大きなトレンドの中で、日本初の本格的なLCC対応空港という位置づけを鮮明にし、新たなビジネスモデルを打ち立てるといった発想の大転換が必要です。
 その際必要な視点を、私は具体的に整理してみたいと思います。
 その第1は、羽田・成田より絶対的に価格競争力に優れた空港を作るということです。
 すでに、空港ターミナルの設計は全面的に見なおされています。すなわち、出発と到着はワンフロア体制で、ボーディングブリッジは廃止し移動式のタラップで対応する。飛行機の移動はトラクターを使わず自走式とする。などの設計変更が施されています。これらは、全て航空機の空港使用料を割安にするための対策です。しかし、茨城空港は国が所管する空港であるために、空港の使用料も県が独自に定めることは出来ないと聞き及んでいます。羽田・成田の都心へのアクセスに比べて、茨城空港は大きなハンディキャップを持っています。それを跳ね返すだけの価格競争力を持てるかが勝負の分かれ道になります。
 第2の視点は、利用者にとって便利で親切な空港を作るということです。飛行機の到着から、入国審査、検疫、手荷物引取などの作業に対して、1機体当たり30分で完了させますといった利用者への利便性を確保する仕組みを構築することが大切だと思います。LCCを利用する海外の方には、イスラム系の方も多くいらっしゃると想定されます。そうした方へは、祈りの場所=プレーヤーズルームの整備が必要になります。簡素な空港ビルといっても障害者や高齢者への対応が出来ていなくてはいけません。その意味では、タラップで車いすの方をどのように搭乗していただくかなどの配慮が必要になります。当然、無料の無線LANなどのインターネット通信環境の整備も必要となります。
 いずれにせよ、茨城空港は「山椒は小粒でピリリと辛い」「痒いところに手が届く」サービス第一の空港を目指す必要があります。
 3番目の視点は、茨城空港を、「秋葉原」と「ゴルフ」と「温泉」のゲートウェーとして世界に売り込むという戦略です。秋葉原は、日本を代表する電化製品の一大拠点であるだけではなく日本が誇るオタク文化の聖地として世界的に有名です。つくばエクスプレスに乗り継ぐと、茨城空港はそのまま「アキバ・エクスプレス」の玄関口となります。そのためには、空港へのアクセス方法の確保が重要です。これには、リムジンバスの活用が最も有効と考えます。私は、成田・羽田、東京駅行きなども大切ですが、一番重要な路線はつくばエクスプレスへの連絡便であり、TXつくば駅直行便などを検討し、海外にも日本の代名詞となっている『秋葉原』に90分程度で直結できるメリットを強調すべきだと考えます。TXの延伸や新たな鉄道敷設などの将来の夢を語ることも必要ですが、最早、現実的な議論に集中すべき時期に差し掛かっています。
 また、茨城県は日本でも有数のゴルフ場立地県で、県内には127ものゴルフ場があります。その内、茨城空港から30分程度で到着できるゴルフ場は、実に22箇所に上ります。福島空港は、定期便は週7便就航し、ゴルフを目的とした観光客が多く訪れています。しかし、茨城のゴルフ場は冬でもプレーが出来るという絶対的な優位性があります。さらに北関東道の開通により、茨城空港は日光・鬼怒川といった日本一の温泉地の玄関口になります。2003年に開港の能登空港は、地元温泉旅館「加賀屋」の働き掛けで、台湾の観光客が毎年1万人以上もチャーター便で訪れています。しかし、能登空港からこの温泉旅館までの移動には1時間程掛かることを考慮すれば、北関東道を使うと茨城空港・日光間は1時間強で移動できることになります。茨城空港は世界遺産「日光」のまさに表玄関といっても良いわけです。
 茨城空港がターゲットとするのは、13億の人口を誇る中国、韓国、そして台湾、成長著しい東南アジア諸国の観光客です。こうした広域的な観光客の誘致を図ることによって、茨城空港の新たな可能性が見えてくると思います。

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 第4の視点は、航空会社の誘致に際して、安易に県費を投入すべきではないということです。ご存じのように茨城空港は、国が運営する空港です。一部に、「国内線誘致のために県が搭乗率保証をすべきである」との声があるようですが、私は言語道断であると主張します。茨城空港は、日本初の本格的LCC対応空港であるというビジネスモデルを掲げ、サービスや使いやすさ、空港使用料の安さで勝負するべきです。航空会社の収益を保証するという発想で、県民の負担を強いることは絶対に避けるべきです。
 第5の視点は、国土交通省や外務省、防衛省などの国の機関との連携です。先頃、茨城空港を実地調査したマレーシアのエア・アジアXのCEOとの話し合いでは、ビザ発行の迅速化の問題が提起されました。アシアナ航空との交渉では、「竹島の帰属問題」までが話題に上ったと報道されています。
空港見学会の模様 さらに、防衛省との交渉は実際の空港運営にあたっては一番の課題になることが想定されます。現在、茨城空港のPRのために、空港見学会を開催しようとすると航空自衛隊百里基地との交渉が最大の関門になっています。私も、この春3月に空港見学会に参加いたしましたが、基地方面をカメラで撮影しないよう、再三自衛隊の広報担当者より注意を受けました。現在のターミナルビルの設計でも、展望ロビーなどについては明確に位置づけられていません。子どもたちが飛行機にカメラを向けられない飛行場など考えられません。
 橋本知事にあっては、強いリーダーシップで国の機関との難問調整を行っていただきたいと期待いたします。
 6番目は、「茨城空港」のパブリシティ戦略です。特に、ホームページの活用については、全面的に見直しが必要だと思います。現在、空港対策課が運営している「茨城空港」のホームページをみると、そこには、旧来のイメージの「茨城空港」のイメージしか浮かび上がってきません。日本初の本格的LCC対応空港を目指すという、意気込みは全く感じられないホームページになっています。更新のスピードも全く遅いといわざるを得ません。
また、ホームページのターゲットが内向きです。もちろん、茨城県民に茨城空港の意味をお知らせすることも重要ですが、開港まで1年半と迫った現在、全国民に、利用のターゲットといわれる中国、東アジア、東南アジアの諸国に対して、情報を発信することこそ、今一番必要なことではないかと考えます。今年春、橋本知事は世界にアピールできる「茨城空港」の愛称をと提唱されました。私は、「トウキョウ・メトロポリタン・イバラキエアポート」との名称は大賛成です。こうしたわかりやすい名称を冠した、英語や中国語、ハングル、アラビア語などの外国語対応のホームページは一刻も早くリリースすべきだと思います。
 こうした現状を考えると、「茨城空港」のパブリシティ全体を、総合的に見なおす必要があると思います。特に、ホームページはその戦略の中心となるものです。外部業者への委託も含めて、積極的な戦略を講ずるべきだと考えます。
 以上、私が申し上げた6つの視点を踏まえ、橋本知事の茨城空港開港への取り組みをお聞かせ下さい。