日教組発言、ここまで繰り返せば確信犯だ
中山国交相、進退問題で「しがみついているつもりない」
日本経済新聞(2008/9/27)
 中山成彬国土交通相は27日、宮崎市内で開かれた自民党宮崎県連の会合で日本教職員組合(日教組)について「何よりの問題は道徳教育に反対していることだ。日教組は解体する。日教組をぶっ壊す運動の先頭に立ちたい」と言及した。
 国交相は県連の会合後、記者団に「日教組の強い所は学力が低い」などとした25日の発言に関して「撤回はしていない。日本の教育のガンが日教組だと思っている」と改めて強調し、謝罪もしない考えを示した。ただ自らの進退に関しては「絶対辞めないんだと言ってしがみついているつもりはない。推移を見守りたい」と述べた。

 中山成彬国土交通相については、大臣の資質を問うことより、国会議員としての資質を問うことが必要なのかもしれません。
 国交相として成田空港の整備の遅れを指摘され、中山氏は、「ごね得というか戦後教育が悪かったと思うが、公のためにはある程度自分を犠牲にしてでもというのがなくて、自分さえよければという風潮のなかで空港拡張もできなかった」(朝日新聞2008/9/27)。成田空港反対運動と戦後教育を結びつけるのは、全くナンセンス。住民が自らの主張を持って、国と対峙することも、憲法が保障する国民の権利です。
 さらに、外国人観光客をどう増やすかの質問に関連しては、「日本はずいぶん内向きな、単一民族といいますか」。これも全く議員としての常識を疑う。今年6月、国会では「アイヌ民族を日本の先住民族として認める」との国会決議を全会一致で行いました。中川大臣も含めて全会一致であったはずです。
 大分県の教員汚職事件については、「日教組の子供は成績悪くても先生になる。だから大分県の学力は低いんだよ。私がなぜ全国学力テストを提唱したかといえば、日教組の強いところは学力低いんじゃないかと思ったから。現にそうだよ」と、組合活動と学力には相関関係があるのか、感情のままの発言には呆れる限りだ。
 中山大臣は、26日までに一連の発言を「誤解を招いた」と一度は撤回しました。
 しかし、その舌の根も乾かぬ翌27日には、宮崎市で開かれた自民党の会合で、日教組は道徳教育に反対しているなどとして、「何とか解体しなければならない」と発言しました。報道陣が、野党が辞任などを求めていることについての見解を質すと、「絶対に辞めないと、しがみついているつもりはないが、推移を見守りたい」と述べました。
 ここに至っては、麻生内閣への背信行為といっても過言ではありません。公明党は一刻も早く麻生総理に、中山国交相の更迭を進言すべきです。

 9月28日、中山成彬国土交通相は、麻生首相と首相官邸で会い、成田空港拡張への反対を「ごね得」などと発言した問題の責任を取って辞表を提出し、受理されました。
 後任には、金子一義・元行政改革相の就任が決まりました。
 中山氏は首相に、「重要なポストに就かせてもらったのに、職責を全うすることができなくなり、申し訳ない」と謝罪しました。首相は「極めて残念だ」と述べたと報道されています。