マルチ団体が民主党のパーティー券270万円分購入、党の収支報告には記載されず
 10月16日の参院予算委員会で民主党がマルチ商法業界と深い関係にあったことが、自民党の森雅子議員の質疑で明らかになりました。
 質問の中で森さんは民主党とマルチ商法業界との問題について、マルチ商法業者による政治団体からの献金が、民主党の前田雄吉衆院議員(民主党を離党)だけでなく、石井一副代表など複数の国会議員にわたり、さらには民主党のパーティー券の購入まで行われていたと指摘しました。
 マルチ商法業界の政治団体「ネットワークビジネス推進連盟」と「直結」した存在である議員連盟(「健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟」:以下ネットワークビジネス議連と記載します)に関して、「メンバーは石井一議員が名誉会長、山岡賢次国対委員長が2004年に会長に就任。前田雄吉議員が事務局長で、政治団体の事務局長を兼任している。藤井裕久最高顧問が2007年に新会長に就任し、山岡国対委員長は顧問になった」と述べました。その上で、ネットワークビジネス議連から前田氏に1100万円、山岡氏に160万円、石井氏に70万円が献金されていたとの報道を挙げ、「前田議員が民主党を離党表明されたが、前田議員一人が離党して終わる問題なのか」と民主党への疑念を呈しました。
 さらに、森議員は「個々の議員だけでなく、何と民主党そのものにも献金があった」と述べ、2005〜2007年に民主党パーティー券を170万円購入との報道に加え、2004年にネットワークビジネス推進連盟にパーティー券計100万円分を購入してもらったと指摘しました。
 ネットワークビジネス推進連盟の収支報告書には、2004年5月11日に40万円分、18日に60万円分のパーティー券を購入したと記載されています。それに該当する記載が民主党の04年度の収支報告書にあるかを、総務省の門山泰明選挙部長に質問しました。門山部長は「収入の記載はない」と述べ、民主党の収支報告書には、ネットワークビジネス推進連盟からのパーティー券収入が記載されていない事実を明らかにしました。
 このため、森さんは「大変な問題だ」と指摘。さらに「これは(民主)党の体質の問題ではないか」と述べ、「(昨年(2007年)の参院選で)政治とカネの問題を言って民主党は戦った。(自らの)政治とカネの問題にもしっかり取り組むべきだ」と、民主党へ猛省を促しました。
マルチ商法とは?
 マルチ商法は、正式には「特定商取引に関する法律」において、「連鎖販売取引」と呼ばれています。「マルチ商法」以外に、「ネットワークビジネス」、「マルチレベルマーケティング(MLM)」、「口コミマーケティング」、「ネットワークマーケティング」など、多様な名称で呼ばれている商法ですが、これらは全て俗称です。いずれも明確な定義がある訳ではなく、各企業やそのビジネスに参加者している方達が、自分達の行為を正当化するために、勝手に都合の良い名称を使用しているにすぎません。
 一般的にマルチ商法は、初めに一定の金額(特定負担金:ない場合もある)を支払って組織に加入させ、「売り上げに応じてたくさんの報酬が得られる」、「登録すると権利収入が得られる」などと謳って、次々と消費者を販売員(独立した個人事業主)として勧誘し、ピラミッド状の階層組織を形成していく商法のことです。
 また、以前は特定負担金の違いにより「マルチまがい」と呼ばれるものもありましたが、現在では特定負担金による規定は無くなりましたので、すべて「マルチ商法」=連鎖販売取引であると言うことになります。
(このコラムは、「マルチ商法・ネットワークビジネス問題対策の広場」の内容を参考に作成させていただきました)

「マルチ商法」と「ねずみ講」の違いは?
 いずれもピラミッド型の階層組織を形成し、上の階層にいる者が下の者から金を吸い上げるという基本的なシステムは共通していますが、商品販売を目的としておらず、金銭配当のみを目的としている組織が、 「ねずみ講(正式名称:無限連鎖講)」であり、 「無限連鎖講の防止に関する法律」によって 禁止されています。
 マルチ商法はそこに商品やサービスが介在しているので禁止とはなっていません。
 しかしながら、マルチ商法は「特定商取引に関する法律」によって、勧誘などの行為に対して、厳しい規制がかけられています。
 しかし、商材があっても価値がなく、また売買による利益ではなく、参加者を勧誘手する事により得られる金銭の配当が目的の組織であれば、ネットワークビジネスやMLMと主張しても、実質的にネズミ講と判断される可能性が高いのです。「マルチ商法=ねずみ講」はありませんが、限りなく近い存在であるのは事実です。
 さらに、最近はマルチ商法と投資話が一体となった新たな形のビジネスも派生し、大きな社会問題となっています。ワールドオーシャンファームの多額詐欺事件も、その会員はマルチ商法的な手法で拡大されていきました。
(このコラムは、「マルチ商法・ネットワークビジネス問題対策の広場」の内容を参考に作成させていただきました)

マルチ商法について(警視庁のホームページより
 この商法で売られるものには、化粧品、健康食品、健康器具などいろいろな商品があります。
 また、最近はインターネットメールを利用して販売・勧誘が行われるようになってきました。
 販売員になると高い利潤を得ようとして、たくさん仕入れをしてしまったにもかかわらず、思ったほど会員の勧誘ができず、仕入れた商品が売れないため、不必要な売れない商品を抱えてしまうことになるといった問題が生じやすいことから、この商法は、「特定商取引に関する法律」により「連鎖販売取引」として厳しく規制されています。
 規制では、取引を行うにあたっての不実告知や威迫困惑行為が禁止され、また、著しく事実に相違する表示や実際のものより著しく優良であるとか有利であると人を誤認させるような表示(誇大広告)をしてはならないことになっています。
 さらに、契約締結までに概要について記載した書面を交付しなければならず、契約を締結した場合には契約の内容を明らかにした書面を交付しなければならないことになっています。
 販売する商品の性能や品質、入会したり販売員となったときの負担等について、契約の相手方からきちんとした説明を受けるべきです。
 会員を増やせば利益になる、”誰でも” ”簡単に”儲けられるといった甘い言葉にも注意しましょう。
 この商法には、クーリング・オフ制度が設けられています。
《こんな言葉に注意しましょう》
●「会員になって新規購入者を紹介してくれたら、高いリベートが手に入ります」
●「月に100万円の利益をあげている人もいます。」
●「この商品は売れますよ。確実に儲かります」
●「会員を増やすと、その会員が頑張ってくれた分もあなたの利益になるんです。楽に儲けられますよ」