10月23日、茨城県教育委員会は、和田芳武委員長名で県内44市町村教育委員会の委員長に対し、全国学力テストの市町村別結果について公表を前向きに検討するよう文書で依頼しました。
 茨城県教育委員会では、公表するかは市町村の判断として、和田委員長の強い思いにより市町村教委の委員長に議論を呼び掛けたもので、県として公表を要請したものとしています。
 同時に、全国で公表の動きがあるのを受け、全市町村教委に対し、公表予定の有無を調査する緊急アンケートも発送しました。
 和田委員長は10月15日に就任し、その就任記者会見で「(学力テストの市町村別結果を)鍵を掛けてしまっておくのはもったいない。市町村教委に公表をお勧めしたい」(茨城新聞の報道)などと発言しました。
 依頼分では、「私(和田教員委員長)としては、テスト結果を教育現場だけでなく、保護者や地域と共有することは、学力向上の課題を明らかにし、学校、家庭、地域が連携・協力して、子どもたちの健全な育成に資するために、調査結果の公表による活用が望ましいと考えております。その結果、次回の全国学力・学習状況調査において、子どもたちの生活習慣の改善と学力の向上が図られることをともに期待するところです。つきましては、各市町村教育委員会委員長におかれましては、公表について、教育委員の方々と十分ご議論いただき、前向きに検討をしていただくようお願いいたします」と、公表について各市町村教育委員会の決断を促す内容となっています。
 また、文末には市町村教育委員長との私的な懇談会の開催も呼びかけており、全国的に見ても県教育員会が、ここまで積極的な姿勢を示した事例はないと思われます。
 県内では昨年、取手市教委が学力テストの結果をもとに、数字は伏せた上で、国や県の平均正答率との比較や課題などをホームページに掲載しました。
 県議会文教治安委員会でも、10月15日、井手よしひろ県議が鈴木欣一教育長に対して結果の公表を行うよう提案をしました。
 全国的には、大阪府の橋下徹知事は16日、住民の情報公開請求に応じ、市町村別平均正答率を請求者に部分公開しました。都道府県単位の学力テストデータが、全国で初めて、市町村名を伏せずに明らかにされたものです。
 さらに、2年連続学力トップの秋田県教育委員会は、10月22日、2007年度と08年度の全国学力テストの市町村別成績について、情報公開請求に対し、全25市町村の科目別平均正答率と平均正答数を、市町村名を伏せて開示しました。
 いずれも住民の情報公開請求に対応する形での公表です。
 一方、文科省は学力テストの実施要領で、都道府県教育委員会に対し市町村の成績を開示しないよう求めており、「知事による開示であっても要領に反する」との見解を示しています。
各市町村教育委員会委員長 殿
平成20年10月23日
茨城県教育委員会委員長 和田 芳武

平成20年度全国学力・学習状況韻査結果の公表について(依頼)

 秋涼の候、貴職におかれましては益々ご健勝のこととお喜び申し上げます。
 市町村教育委員会委員長の皆様方におかれましては、日頃から、本県教育の推進のためにご尽力いただいておりますことに厚く御礼申し上げます。
 また、現在、様々な教育課題が生じてきており、大変ご苦労も多いこととお察し申し上げます。
 さて、全国学力・学習状況調査の結果の公表につきましては、昨今さまざまな場面で話題になっているところです。
 私としては、テスト結果を教育現場だけでなく、保護者や地域と共有することは、学力向上の課題を明らかにし、学校、家庭、地域が連携・協力して、子どもたちの健全な育成に資するために、調査結果の公表による活用が望ましいと考えております。
 その結果、次回の全国学力・学習状況調査において、子どもたちの生活習慣の改善と学力の向上が図られることをともに期待するところです。
 つきましては、各市町村教育委員会委員長におかれましては、公表について、教育委員の方々と十分ご議論いただき、前向きに検討をしていただくようお願いいたします。
 なお、ご案内のとおり、各市町村の結果の公表については、実施要領によりますと、市町村教育委員会にゆだねられておりますので、公表の内容・方法については、ご自由に判断いただき、適切に行われることをお廠いいたします。
 また、市町村教育委員会の委員長との私的な懇談会の機会を設け、意見交換を図りたいと存じますので、その節にはよろしくお願いいたします。