激化する大型SC同士の競合
参考写真 北関東でも最大級のショッピングセンター「イーアスつくば」が10月31日オープンします。井手よしひろ県議ら公明党県議団は、29日、プレオープンした同SCをいち早く視察しました。「イーアスつくば」は、屋内の「インモール」と屋外の「アウトモール」内に、核テナント10店舗、モール専門店211店舗の計221店舗を組み合わせた大型複合商業施設です。
 スーパーマーケットやドラッグストアなどデイリー性と、シネマコンプレックスやサイバーダインスタジオなどエンターテイメント性を兼ね備え、平日は近隣から、週末は広域から集客できる施設構成となっています。また、医療機関、銀行、カルチャー教室、結婚式場なども併設し、単なる物販店舗の集合体としての大型商業施設ではなく、一つの街としての機能を兼ね備えています。
 核店舗は、フードスクエアカスミ(スーパーマーケット)、アカデミア(書籍)、ノジマ電器(家電)、ユニクロ(ファミリーカジュアル)、ゼビオ(スポーツ用品)、ナムコランド(アミューズメントパーク)、トイザらス・ベビーザらス(玩具・ベビー用品)、ムービックス(シネコン)、フィットハウス(ブランドショップ)、サンバーダインスタジオ(ロボットスタジオ)です。
参考写真 一方、チェルシージャパン株式会社は、阿見吉原東土地区画整理事業区域内において、「あみプレミアム・アウトレット」の建築工事を10月7日に着工しました。09年初夏の開業を目指しています。
 「プレミアム・アウトレット」は国内外の著名ブランドが直接出店する、アメリカで完成されたアウトレット専業のショッピングセンターで、米国の街並みをデザインモチーフとした非日常的空間で一日中ショッピングを楽しめるのが特徴です。あみプレミアム・アウトレットはプレミアム・アウトレットとしては全国で8番目の、また関東では「御殿場プレミアム・アウトレット」、「佐野プレミアム・アウトレット」に次いで3番目のセンターとなります。
 建設予定地はつくば市から約18km、圏央道(首都圏中央連絡自動車道)阿見東インターチェンジに隣接して建設されます。2012年には、東関東自動車道、東北自動車道との接続も予定されており、更に広域からの集客が見込まれ、地域観光産業への波及効果も期待されています。
 さらに、09年6月開店を目指して、土浦市高津地区には「イオン土浦ショッピングセンター」(仮称)の建設が進められています。イオン土浦SCの敷地面積は約13.3ヘクタール。建物は鉄骨3階建てで、営業面積は約6ヘクタール、延べ床面積は8.8ヘクタールです。商品構成は、イーアスつくばと重複すると考えられ、車で30分県内の巨大ショッピングセンターの激突となる模様です。
顧客奪い合い必至 イーアスつくば開業
朝日新聞(2008年11月01日)
 つくば市のつくばエクスプレス研究学園駅前に31日、北関東最大級の大型商業施設(SC)「iias(イーアス)つくば」が開業した。年間1200万人の集客を見込む。ただ、同市近辺や沿線には既存店や相次ぐ出店計画があり、個人消費に陰りが見える中、顧客の奪い合いを始めとする競争の激化は必至だ。
 イーアスは、スーパー「カスミ」やシネコンの「ムービックス」など221店が出店。うち80店は県内初進出になる。筑波大発のベンチャー企業サイバーダイン(社長=山海嘉之教授)が運営する「サイバーダインスタジオ」では、医療・福祉用ロボットスーツ「HAL」の体験コーナーや、HALを題材にした15分の短編映画が見られる270度の大型スクリーンなどがある。
 ラジオの中継放送ができるブースも設置。10月10日に開局した地元コミュニティー放送局「ラヂオつくば」は月〜金曜の午後4〜6時、茨城放送(IBS)は「イーアスつくば トーキングモール」を毎週日曜の正午〜午後1時に、それぞれ生放送する。
 子どもたちを対象にした「エジソンKIDS」には、漫画評論に詳しい筑波大の谷川彰英・副学長が選んだ漫画が並ぶ。テーマに沿った作品をそろえ、解説パネルを展示する。1回目は「食」をキーワードに「アンパンマン」や「クッキングパパ」「美味しんぼ」など5作。内容は2カ月ごとに変えるという。
 一方、イーアスが商圏としている半径20キロの中には、SCの「過密感」が一気に高まった。
 近隣では、つくば駅前の「つくばクレオスクエア」、同市小野崎の「LALAガーデンつくば」の市内2店がある。イオンリテール(本社・千葉市)は25日、下妻市のジャスコ下妻店を約2倍の4万9千平方メートルに大幅増床した。土浦市には来夏「イオン土浦SC」(仮称)ができる。阿見町でも来夏、チェルシージャパン(東京)がアウトレットモール「あみプレミアム・アウトレット」を開店させる。
 イーアスの高柳春介総支配人は、成功のかぎを「地域色を出し、地域に愛される施設になれるかどうか」とみる。サイバーダインのスタジオやラジオブースも地域色の一つで、「今後も工夫を凝らした企画、演出で生き残りたい」と、顧客の囲い込みを急ぐ。