「定額給付金」に関する批判の声が多い。しかし、その多くは国民生活の現場の窮状を理解していない、机上の批判だと考えます。山口那津男政務調査会長(参院議員)が、公明党「ウェッブTV」で定額給付金に関する批判について反論しています。この記事では、その要旨を転載します。

Q:世論調査では「評価しない」という声もあるが。
A:11月17日付の日本経済新聞の報道では、63%の人が期待すると答えています。国民の反応はさまざまです。評価しない結果が多かったのは、所得制限をめぐる議論によるものだと思います。しかし、仮に所得制限を行っても、対象は全国民の1%程度です。大多数の人は定額給付金の対象となり、期待している人も多くいます。
Q:理念がないという批判があるが。
A:理念は明確です。当初、物価が上がる一方で所得が伸び悩んでいることから、生活支援の必要性が強調されました。そして金融不安によって経済対策が重要となりました。定額給付金はこの両方の目的を持っています。
 ワシントンで行われた金融サミットの首脳宣言は、即効性のある景気刺激対策も含め財政政策を実行すべきだという内容でした。まさにそれに対応するのが定額給付金をはじめとする、わが国の経済対策です。
Q:所得制限の判断や実施方法などを国で決めずに地方に「丸投げ」したという批判があるが。
A:丸投げ批判はまったく当たりません。実施については、政府の実施本部で検討しています。この実施本部は28日から地方自治体に説明会を開始します。
Q:所得制限の下限は年間所得1800万円だが、最終的な自治体の判断や見通しは。
A:所得制限という選択肢を設けましたが、実際、地方自治体にとってみれば年度内にスピーディーかつ確実に実施しようとすると、派生的な問題が出てきます。大事なことはスピーディーかつ確実に支給できるように、自治体の迷いをなくしていくことです。結果的には所得制限を設けるところは、ほとんどなくなると思います。
Q:ネットカフェ難民やホームレス、またDV(ドメスティック・バイオレンス=家庭内暴力)など、家庭に帰れない方にも支給されるのか。
A:定額給付金は住民基本台帳を基に支給する仕組みなので、住民登録が必要です。さまざまな事情で住民登録ができない方もいます。しかし、DV被害者に関しては、自治体が相手方に知られないよう登録できる道を開きつつありますので、給付を受けたい方には住民登録を促す必要があります。
Q:定額給付金の裏付けとなる第2次補正予算案をなぜ今国会に提出しないのか。
A:私たちは第1次補正予算をすでに成立させました。この中には、中小企業の資金繰り支援として事業規模で9兆円にわたる貸付保証枠を用意しています。これで十分に年末年始の資金需要に対応できます。また、福祉ガソリンや福祉灯油の制度を実施する予算も第1次補正で措置しています。
 一方、10月30日に政府、与党が決めた新たな経済対策(生活対策)は、来年度予算や今年度補正予算、税制改正で対応するものなど、さまざまな内容が一体となっています。経済対策として大きな効果を出すためには、これらを一体として、切れ目なく実行していくことが必要です。そのため、第2次補正予算案は来年1月冒頭の通常国会に提出する必要があると考えています。
Q:年明けの通常国会に提出した場合、年度内実施は大丈夫か。
A:補正予算は、例年だと野党も理解をした上で、1週間から10日くらいで成立しています。従って、1月冒頭に第2次補正予算案を提出したとしても、野党がそうした対応をすれば十分に定額給付金を年度内に実施できることになります。
Q:消費税付き定額給付金という批判もあるが。
A:まったくのこじつけです。消費税は、恒久的な税制の制度です。定額給付金は臨時に行う一時的な対策であり、税の制度ではありません。消費税だけをつまみだして、故意に一時的な対策の定額給付金と結び付けるのは、“ため”にする批判と言わざるを得ません。