ウェルサンピア日立 存続求め署名活動へ
茨城新聞(2008/11/19)
年金改革で2010年3月末までに一般競争入札で売却される予定の厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア日立」(日立市みなと町)をめぐり、地元住民が近く存続を求める署名活動を始める。
ウェルサンピア日立は、国が厚生年金や国民年金の保険料を使って全国に建設した施設の一つ。1987年に開館し、宿泊室や結婚式場、テニスコート、屋内スケート場などを備える。厚生年金事業振興団が運営し、06年度は約26万4千人が利用。経営も黒字を出している。
だが、こうした施設は「年金保険料の無駄使い」との批判を背景に、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)が一般競争入札で民間や自治体に売却することになり、ウェルサンピア日立も対象になった。
地元の久慈地区コミュニティ推進会(星野高恵会長)と久慈町観光協会(菊池敬一会長)などは「地域に必要な施設であり、運営を継続してほしい」として、20日から12月にかけ、久慈町やみなと町などを中心に約2700世帯を対象に署名活動を展開する予定。
星野会長は「敬老会や町内会の懇親会などに利用しており、施設がなくなると非常に不便。市が買い取ることも考えてほしい」と話している。
ウェルサンピア日立の存続問題では、既に昨年(平成19年)10月、井手よしひろ県議は、独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」(RFO)を訪ね、RFO幹部職員から運営継続や地元日立市への優先的な払い下げの可能性について聴き取り調査を行いました。その結果は、いずれも法的な縛りもあり不可能であるとの結論を得ました。
一般競争入札に、日立市のような地方自治体が加わることは実体的に非常に難しく、今までには、愛媛県伊予市の事例が一件あるだけです。
井手県議と公明党日立市議団は、今年2月、同規模の施設で民間に売却されたウェルサンピア会津を現地調査しました。この視察では、民間事業者と連携の中で、地域の活性化にどのように貢献していただくかを模索すべきだとの感想を持ちました。
住民の署名運動の趣旨は十分理解できます。その上で、ウェルサンピア日立を日立市が取得することは市民にとって(久慈浜地区の住民だけではなく全ての日立市民にとって)メリットがあるのか。取得するのであれば、どれだけの金額を支出するのが妥当なのか。老朽化や施設の陳腐化が進むアイススケート場や屋外プールの維持はどのようにするのか。こうした点を具体的に、市議会を中心に検討しなくてはならないと思います。
この署名運動が、具体的な議論のスタートとなることは確実です。
参考:ウェルサンピア日立の譲渡問題についてRFOより説明聴取
参考:大江戸温泉物語「湯屋あいづ」を現地調査
(2009/5/9更新)
2009年5月8日、サンピア日立の一般競争入札が行われ、日立市が3億4500万円で落札しました。詳しい経緯は、「サンピア日立、日立市が3億4500万円で落札」をご覧下さい。
(2008/11/29更新)
11月29日、地元の方より「井手議員は、自治体で購入した事例は、一件もないと言っておりますが、平成20年1月25日に、伊予市が、愛媛厚生年金休暇センターを、7億8千万円で落札し、事業を継続しております」とのご指摘をいただききました。このご指摘を確認したところ、私がRFOに確認した平成19年10月現在では、落札自治体はありませんでしたが、その後、本年1月に伊予市が、愛媛厚生年金休暇センターの主要施設を落札しました。伊予市の事例は、最低落札価格として提示された7億8300万円に288万円を上乗せし、7億8588万円で入札し落札したものでした。
また同日、井手県議は署名運動を推進している久慈地区コミュニティ推進会の星野高恵会長らから、署名運動の動向なども直接ご説明を受けました。
以上のような経過を踏まえ、ブログの内容を一部更新させていただきました。
愛媛厚生年金休暇センター 伊予市が落札 7億8588万円 4月から運営 グラウンドは入札なし
愛媛新聞(2008.01.26)
独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)が二物件に分割し売却する愛媛厚生年金休暇センター(ウェルサンピア伊予、伊予市下三谷)の一般競争入札が二十五日、都内であり、宿泊・会議施設など主要施設を含む物件を伊予市が落札した。落札額は、最低売却価格(七億八千三百万円)を二百八十八万円上回る七億八千五百八十八万円。市は施設の名称を変更し、四月から運営する。
ウェルサンピア伊予は土地面積約十三万三千三百平方メートル。伊予市は宿泊室(定員百二十四人)や会議・研修施設、プール、体育館、有料老人ホーム(十四室)などがある物件(十一万七千平方メートル)を落札した。
西テニスコートや多目的グラウンドがある物件(最低売却価格五億七千九百万円、約一万六千三百平方メートル)は、入札参加者がなかった。RFOは最低売却価格を再検討し、二〇一〇年九月末までに再度入札を行うとしている。
伊予市は二月の売買契約後に施設を直営とし運営業務を外部委託、七月からは指定管理者制度に切り替える方針。当面は現状のまま維持し運営するが、有料老人ホームは現在四人の入居者の合意が得られれば廃止する。プールや野球場も、利用者数や収益状況などを見ながら場合によっては廃止も検討するという。
さらに、開発行為の制限される市街化調整区域となっている敷地を市街化区域に編入する手続きも検討しており、実現すれば大幅な施設見直しも可能になるとしている。
市は市民から存続要望があるほか、年間延べ四十万人超の利用者があり経済効果が見込めるなどとして応札。市は複数が入札参加したとしているが、RFOは入札者数を明らかにしていない。
中村佑市長は「市民、利用者の負託に応えられた」とし、今後について「検討を重ね、財政負担がかからず市民に喜んでもらえるよう運営する。効率の悪い部分は廃止、変更していく」と述べた。
同センターは一九八一年に国が総工費四十五億円で開設。年金財源の負担軽減のため、売却対象となった。
施設存続 黒字は厳しく
伊予市は二十五日、ウェルサンピア伊予の主要施設を最低売却価格をわずかに上回る額で落札した。当面は現施設を維持して運営する方針だが、各地で自治体によるレジャー施設などの運営が「苦戦」している中で、施設取得と同時に、さまざまな課題も引き受けた形となった。
入札にあたり、ウェルサンピア伊予にある有料老人ホームは、入居者が入居継続を希望する場合、最低五年間は事業継続するという売却条件が付いていた。さらに、当該土地が開発の制限される市街化調整区域にあたることや、施設が開設から二十八年目で老朽化対策が必要というマイナス要因を含んでいた。
市民には取得を歓迎する声もあるが「八億円近い費用投入の価値はあるのか」と懸念も漏れる。
市は施設の過去三年間の平均経常利益を基に、指定管理者制度の活用で十年間は年間千七百万円程度の黒字を維持できるとする。一方で同期間の修繕費は推計約二億円。リニューアルとなると別途、費用が必要となる。
運営の厳しさを指摘する見方もある。愛媛大の小淵港教授(財政学)は近隣市町に競合スポーツ施設があることなどを挙げ「運営は非常に厳しく、黒字はかなり困難でないか」。いよぎん地域経済研究センターも「厚生年金施設という全国への宣伝効果は失われ、アクセスの問題もあり、相当の経営努力が必要」とする。
「施設存続という市民らの要望を受けて取得を決めた」と強調してきた市。だが理事者や議会の中には、有効活用策として、市街化区域に編入して土地の一部売却や、庁舎移転先などの選択肢も出ている。
施設を存続すれば大きなリスクを伴い、リスク回避のために大幅な用途変更をすれば所期の目的が達成できない。背反する課題を抱えるが、中長期的なビジョンはまだ市民に示されていない。
日頃大変お世話になっております。
今回のサンピア日立の署名運動についても、私が発起人であり、井手議員の活動記録を参考にさせていただきました。
いくつか私の意見を申し上げ、ご意見をお聞きしたいと思います。
1 井手議員は、自治体で購入した事例は、一件もないと言っておりますが、平成20年1月25日に、伊予市が、愛媛厚生年金休暇センターを、7億8千万円で落札し、事業を継続しております。
2 サンピア日立は、日立市が市有地7千坪を、市価の三分の1の坪4万円で売却し、誘致したものです。私も誘致活動に関与しました。
売却した23年前と比較しても、公示価格は、20%しかあがっておりません。
厚生年金事業振興団の都合で廃業するのに、市から安く買って、高く売るのは理屈に合いません。
従って、社会保険庁は、「日立市の意向を確認中」とのことです。(大畠衆議院議員の調査)
3 井手議員は、一定の調査をし、すぐあきらめたようですが、日立市長も購入してもその後の経営がうまくいくかどうか分からない心配があると思います。
地元久慈地区では、電車がなくなり、サンピアもなくなったのでは、寂れる一方です。
行政も議員も地元の意見を尊重し、たとえだめでも、地元のためにもう少し努力して欲しいと思っています。
大和田 稔