野党の雇用法案、参院通過=与党は棄権、衆院で廃案へ
時事通信(2008/12/19)
 参院は19日午前の本会議で、民主、社民、国民新の3党が共同提出した雇用対策関連4法案を可決、衆院に送付した。参院厚生労働委員会での18日の採決強行に反発する自民、公明両党と改革クラブが採決直前に退席。共産党なども賛成したため、全会一致での可決となった。4法案は会期内に衆院で否決される見通しだ。
 与党は当初、衆院では審議しない考えだったが、自民党の大島理森国対委員長は記者会見で「しっかり議論し結論を出すのが政治本来のあり方だ」と強調。4法案はこの後開かれた衆院厚生労働委で政府提出の労働者派遣法改正案と合わせて趣旨説明が行われ、審議入りした。与党は22日の同委で4法案を否決、24日の衆院本会議でも否決して廃案とする方針だ。
 民主党の輿石東参院議員会長は参院通過後、記者団に「仕事がなく、家を失うという事態に政治の責任として応えたい」と述べ、引き続き与党に協力を求めていく考えを示した。これに対し、自民党の細田博之幹事長は記者会見で「(強行採決は)暴挙だ」と民主党の国会運営を批判した。

民主党は雇用問題を『政局の具』にすべきではない
 民主党の政局優先のパフォーマンスが止まりません。民主党が提案し、参議院で強行採決した雇用関係4法案は、すでに与党が第2次補正で提出を予定しているものとほとんど変わら内容であり、またはその実現性が疑問視される内容です。会期末のこの時期にいきなり提案し、わずか数時間の審議での強行採決には、呆れるほかありません。
参考写真 民主党の雇用法案に対し、自民・大島理森、公明・漆原良夫の両国対委員長は、以下のように語っています。
一、政府・与党として新雇用対策を12月9日に決定し、すでに(成立した)第1次補正予算に基づくものは実施している。来年1月5日に提出する第2次補正予算案と来年度予算案にも盛り込み、すべての準備を整えて進めている。野党3党はなぜ今、慌てて法案を出すのか。遅すぎる。
一、野党3党は参院で法案の十分な説明がなく、適正な手続きと議論もさせないまま、わずか2時間半の審議で一方的に採決しようとしている。労働契約は、ILO(国際労働機関)条約で、労使の意見を聞いてまとめるとある。それもせずに法案を出すこと自体、内容的におかしいのではないか。
一、野党の法案は、規模が3400億円ぐらいと、小さすぎる。政府・与党は総額で2兆円の対策を打とうとしている。1次補正と現行予算でやれるものをやりながら、2次補正を早く成立させることこそ最大の雇用対策だ。すでに住居対策で雇用促進住宅への入居を約400件を決定し、雇用止め対策や生活支援をしっかり実施している。生活支援は、政府・与党の方が金額的に非常に大きい。その点でも野党案には賛成できない。
一、野党法案が成立しても施行は来年だ。遅すぎる。むしろ政府の政策遂行を阻害しかねない。野党案の内容は、あまりにも遅すぎ、あまりにも小さすぎ、あまりにも問題がありすぎる。
野党提出法案内  容政府・与党の対応
採用内定取り消し規制法案内定を取り消す場合、書面での理由明示を義務付け現行法でも内定取り消しは解雇の扱いとなり、既に厚労省から企業に周知
派遣労働者等解雇
防止緊急措置法案
「雇用調整助成金」の対象を「2カ月」以上勤務の非正規社員に拡大既に与党の提案で「雇用調整助成金」は非正規社員も対象
住まいと仕事の確保法案職業訓練などとセットで、住宅貸与と最高月10万円の生活資金を給付。解雇後も住居を提供した事業主には家賃助成雇用促進住宅の活用や、ハローワークに特別な窓口をつくって対応。第2次補正では、住宅入居費用などで最高186万円の貸与を予定
有期労働契約順法案契約期間中の退職ルールの明確化。合理的理由がない場合の雇い止めは制限期間満了でも雇い続けなければいけないという立法措置は行き過ぎで企業活動を詐害する懸念がある