緊急雇用対策費、自治体に5〜8割補助…異例の交付税支援
読売新聞
 総務省は20日、都道府県に対し、急速な景気後退に伴い、地方自治体が失業者に行う年末・年始の緊急雇用・居住安定確保対策の費用を、地方交付税の一種である特別交付税(今年度予算分)によって5〜8割を財政支援することを通知した。
 自治体の財政力に応じて交付額を算出、来年3月に交付する。災害対策などに用いられる特別交付税の雇用関連策への適用は「極めて異例」(同省)という。
 具体的には、自治体が森林整備、介護補助、補助教員による情報技術(IT)教育などの臨時的な雇用確保対策を実施した場合や、自治体による直接雇用、失業者を雇用した民間会社への助成の事例に、財政支援を行う。また、失業者が住居を失い、自治体が〈1〉失業者が社宅に引き続き入居できるよう民間企業に助成〈2〉失業者向け住宅の借り上げ――などを行った場合も支援対象とした。
 自治体の緊急対策では、大分県杵築市が、大分キヤノン(国東市)の工場などで働いていた非正規労働者が雇用契約を解除されたことを受け、失業者を臨時職員として雇用することを決めた例などがある。

 12月19日、鳩山邦夫総務相は閣議後記者会見で、民間企業による非正規従業員らの解雇や契約打ち切りが相次いでいることを受け、地方自治体が取り組む雇用対策に対して今年度の特別交付税で支援する考えを明らかにしました。
 自治体が失業者に公営住宅を提供したり、臨時職員として採用したりする動きが広がり始めており、総務相は「特別交付税を使えるものは、要望を精査して当てはめていきたい」と述べました。
 財政支援は、森林整備や介護補助などによる雇用確保策や、離職者などが社宅に引き続き入居できるよう民間企業を助成した場合に適用されます。
 特別交付税は、災害など特別の財政需要に応じて毎年度12月と3月に交付。地方交付税総額の6%相当を配分しています。今年度は台風被害が少なかったことなどから、9245億円のうち6700億円余りが3月交付分として残っています。
 雇用対策に取り組む地方自治体への財政支援については、公明党の北側一雄幹事長が17日、自民、公明の与党幹部の協議で、年末年始に向けて雇用機会の創出や離職者の住居支援に取り組もうとしている自治体に対し、国が財政支援を行うよう提案。財務、総務、厚生労働の各省に対し検討を要望していました。