西松建設OBが団体作り多額献金 規制後も“抜け道”
中日新聞(2008/12/29)
 準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)のOB2人が設立した2つの政治団体が、2006年末までの約10年間に、総額計約4億8000万円の政治献金をしていたことが分かった。複数の同社関係者は本紙の取材に「実体は同社がつくった政治団体」と認めている。政治資金規正法改正で政治家個人への企業献金が禁じられたが、同社は“抜け道”を利用した脱法的な献金を続けていた可能性が強い。
 同社については、海外事業で捻出(ねんしゅつ)した裏金1億円を、無届けで国内に持ち込んだ外為法違反の疑いで、東京地検特捜部が捜査を続けている。
 団体は「新政治問題研究会」(新政治研)と「未来産業研究会」(未来研)。西松建設の営業管理部長を務めたOB2人がそれぞれ、1995年と98年に設立。事務所は東京都千代田区内のビルの同室で、2006年末にそろって解散した。
 両団体の政治資金収支報告書や官報によると、新政治研は12年間で約3億5500万円を寄付し、約7100万円分のパーティー券を購入。未来研は99年以降の8年間で、約2900万円を寄付、約2200万円分のパーティー券を買っていた。
 04−06年の主な献金は、小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」へ1400万円、自民党・二階派の政治団体「新しい波」(二階俊博代表)へ778万円など、与野党首脳や建設族の議員が中心。小沢代表については、岩手県の政党支部にも1700万円を寄付している。
 両団体の収入は会費と、年3回ずつ都内で開いていた政治資金パーティーの2本柱。会員は新政治研が数百−1400人、未来研が100人前後。パーティーでは1回平均200万円近い収入が計上されているが、参加者など実態は不透明だ。
 両団体の代表を務めた西松建設OB2人には文書などで取材を申し込んだが、28日までに応じていない。西松建設総務部は「捜査が続いている現時点では、何もコメントできない」としている。
 小沢代表の事務所は、取材に対し「両団体からの寄付金は収支報告書に記載の通りだが、どのような経緯で献金を開始したのかは当方が知るところではない」と回答。「新しい波」事務所は「パーティー券を購入していただいたのは事実だが、どういう経緯かは記憶にない。代表とも面識がない」としている。

民主党小沢代表に1400万円の不正献金?
 年末になって読売新聞や中日新聞等が民主党小沢一郎代表に1400万円の違法献金が行われていたと大きく報じています。「小沢代表と金」の問題は、来年の政治決戦に向けて益々クローズアップされてくるかもしれません。
 準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)が、OBを代表にした政治団体を隠れみのに使い、国会議員などへの企業献金を続けていたことが判明し、与野党の国会議員などへの献金やパーティー券購入などの総額は、計約4億7800万円に上ったと報じています。このうち04〜06年には、国会議員6人の資金管理団体に計2600万円を献金しており、多い順で民主党の小沢代表(1400万円)、自民党の尾身幸次元財務相(400万円)、森喜朗元首相(300万円)などでした。
 政治資金規正法では、他人名義での献金を禁じており、違反すると3年以下の禁固などの罰則があります。また、政治家の資金管理団体への企業献金も2000年以降、禁じられ、禁固1年以下などの罰則になります。
 小沢代表の事務所は、取材に対し「両団体からの寄付金は収支報告書に記載の通りだが、どのような経緯で献金を開始したのかは当方が知るところではない」と答えているといいます。
 また国民新党の亀井静氏にも、社員の寄付を装い1300万円が献金されていたことも判明しました。
 こうした報道は今年(平成20年)1月21日に毎日新聞が伝えています。しかし、この時期の報道は西松建設の裏金づくりの実態を解明するため、11月21日に、東京地検特捜部が西松建設社長宅の家宅捜索をした結果を受けての報道と推測され、今後の更なる真相究明が期待されます。
参考写真